2020特別号 Kizzna きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」“紲” 目次 バリアフルレストラン完全ガイド あたり前ってなんだろう? バリアフルレストランにようこそ! 寺田ユースケ 「僕がバリアフルレストランの店長になった理由」 星加良司(東京大学准教授) 「日常のなかの『偏り』を見つめる勇気を」 チーム誰とも、始動 バリアフルレストラン完全ガイド 2020年2月に「バリアフルレストラン」が期間限定オープンしました。「車いす利用者が多数派で、二足歩行者(にそくほこうしゃ)が少数派」という社会を前提としたレストラン。現実の多数派と少数派を逆転させた仮想世界を通して「障害の社会モデル」を体験する特別企画です。レポートや図解を手がかりに、あなたも追体験してみてください。 あたり前ってなんだろう? たくさんの「多数派にとっての当たり前」でこの社会は成り立っています。 立ち止まって周りを見直してみてください。無意識に「これが当たり前」だと思い込んではいないでしょうか。 当たり前ってなんだろう。 『紲 Kizzna』とともに考えてみませんか。 バリアフルレストランにようこそ! 体験レポート 足を踏み入れれば、自分は「障害者」 「二足歩行の方なんですね...。介助の方は...?」背の低い入口から屈んで入店すると、車いすのスタッフから声を掛けられました。店内の天井やテーブルも低め。いすは置いてありません。ここでは車いすユーザーであることが「当たり前」。頭をぶつけないようにとヘルメットを貸し出されました。  ビュッフェ形式の料理を取りに行くのも一苦労です。体を屈めながらお盆を持ち、お皿や料理を選びます。車いす利用のお客さんは、膝にお盆を乗せて移動して、両手も使えるからスムーズです。  料理を食べようとすると、また声を掛けられました。「消毒液、ひとりで使えますか?お手伝いしましょうか?」。両手はあいていてもちろん使えます。戸惑っていると、「おひとりでは難しいかと思いまして!」。障害者への気遣いを受けていたのです。  中腰になって食事をしていると、店長がスタッフを指導する声が聞こえてきました。「面倒なのは分かるけど、二足歩行の人にはちゃんとした態度で対応してあげてよ!かわいそうでしょ?」「…すみません。でもなんで今日はあんなに二足歩行の方来てるんですか、イベントでもあるんですか?」。  配慮や気遣い、優しさや憐れみ、障害をめぐる「心のバリアフリー」の難しさを感じずにはいられません。  体も心も、なんともいえない居心地の悪さを感じながらの食事となりました。 多数派の暮らしやすさが、バリアになることも レストランの外へ出ると、体験ゾーンは終了。店長の寺田ユースケさんが解説します。 「多数派にとっての暮らしやすさは、少数派にとってのバリアフルだったりもします。そういう思いで『バリアフルレストラン』と名付けました」。  この社会には、実にいろいろな人にとっての「バリア」が潜んでいます。何を「障害」とするかによって、「障害者」という言葉が対象にするものは簡単に変わります。自分自身は変化していなくても、環境が変化することで「障害者」になるかもしれません。  いままで「当たり前」だと思っていたことは何をもって「当たり前」だったのか。これからも考え続けていきたいと思います。 バリアフルレストランの世界を覗いてみよう! バリアフルレストランは「車いすユーザーであることが当たり前」なレストラン。ここでは、二足歩行者(にそくほこうしゃ)は障害者です。現実の多数派と少数派をひっくり返した仮想世界を通して「障害は社会の仕組みから作り出されている」ことを体験することができます。 現実世界 @プロローグ 入店前に「車いすユーザーが暮らしやすい環境とは?」を考えてスタート 仮想世界 Aレストラン 「車いすユーザーであることが当たり前」なレストラン エントランス 二足歩行者(にそくほこうしゃ)は屈まないと入店できないほどの低い入り口 「今日は車いすはお持ちですか?」 「介助の方はいらっしゃいますか?」 ニュース映像 「二足歩行者(にそくほこうしゃ)を蔑視しない法律」の制定を伝えるニュースが流れている いすのないテーブル ・車いすユーザーには必要ないので、いすはほぼない ・車いすを漕ぐときには手が汚れるので、アルコール消毒液と2種類のおしぼりが用意されている ・お皿を持ち上げて食べるのはマナー違反。二足歩行者(にそくほこうしゃ)が高い目線にいると、車いすユーザーに失礼なため腰を屈めながら食事をしなければいけない 「消毒液、ひとりでつけられますか? お手伝いしましょうか?」 「できれば、屈んで食べていただけませんか?」 低い位置に並べられた料理 屈んだ姿勢で移動しつつトレイに料理を載せていくのは、二足歩行者(にそくほこうしゃ)には一苦労 170cmの天井 背が高い人は常に背中を丸めて移動 「危ないので、よかったらヘルメットつけますか?」 漏れ聞こえるスタッフの会話 スタッフ 「なんで今日はあんなに二足歩行の人来てるんですか?」 店長 「面倒なのは分かるけど、ちゃんとした態度で対応してあげて! それが優しさだから」 オリンピック・パラリンピック 壁には車いす競技アスリートのパネル。この世界では「車いすスポーツがオリンピック、二足歩行障害者のスポーツがパラリンピック」 つるつるの床 車いすで動きやすいように、床は凹凸がない 現実世界 Bクランク 車いす操作に不便なふかふかのじゅうたんと狭い幅の通路で「現実世界」へ 現実世界 C気づき 店長・寺田ユースケさんとのディスカッションで「個人モデル」と「社会モデル」の違いを考える 現実世界 D「多数派の偏り」の展示 車いすユーザーや障害者に限らず、いまの社会で少数派の人々を困らせている仕組みを紹介 エスカレーターの「片側空け」の慣習では、片麻痺などの身体障害がある人は、ベルトに掴まることが難しく、乗るのが難しいことも 多くの急須は右利き仕様に作られている 未来 E問いかけ 「健常者」に戻った二足歩行者(にそくほこうしゃ)に投げかけられる問いかけの言葉 寺田ユースケ店長日記 僕がバリアフルレストランの店長になった理由 みなさん、こんにちは! バリアフルレストラン店長の寺田ユースケです。僕は生まれつきの脳性麻痺で足が不自由です。そのことでネガティブな生活を送っていたのですが、20歳の時に車いすに乗る選択をしたことが人生の転機でした。車いすはまるでシンデレラのかぼちゃの馬車のように、僕の人生をワクワクする道へ導いてくれたのです。 バリアフルレストラン店長は僕の天職  まさか自分が「店長」という大役を任せていただけることになろうとは思ってもいませんでした(笑い)。元々は、車いす生活の「あるある」を助言するという形で、チーム誰ともに参加させていただいたのがきっかけです。  コンセプトを理解すれば理解するほど、僕にとってこの店長という仕事は天職だったと気がついたのです。それには僕の過去の失敗をお話しせねばなりません。 「知ることから差別はなくなる」 車いすホストだった僕の後悔と教訓  2015年、お笑い芸人として活躍するという夢に敗れた僕は、ひょんなことから新宿歌舞伎町のホストの世界へ足を踏み入れました。「車いすホスト」の誕生です。それは普段車いすとして少数派で生きている僕が、同時に水商売という職業的にも少数派の世界に足を踏み入れた瞬間でもあります。  当初の僕には「ホスト=女性を騙すいけ好かない人たち」というイメージが強くあり、同じお店で働いていてチームワークが必要なのに、無意識に彼らを偏見の目で見てしまっていたのです。  僕の無意識の偏見は、彼らへの態度やしぐさなどに表れてしまい、一部のホストたちと揉めてしまうこともありました。しかし、時間をかけてお互いがお互いを知ることで、お互いの偏見が消えていきました。  「『知ることから差別は無くなる』。お前は偶然ホストクラブというコミュニティーだったけど、障害者とホストを繋ぐ架け橋になれたんだよ。」ホストクラブを離れる時に会長からもらった人生の教訓です。  そんな僕が今、バリアフルレストランの店長として、「無意識の偏見に気づこう!」「当たり前ってなんだろう?」と発信する立場になったこと。人生の点と点は繋がり線になるんだと改めて実感しています。 「障害者VS健常者」という構造ではなく、障害は社会がつくっている  今回のバリアフルレストランには、「障害の社会モデル」を広く知ってもらいたいという意図があります。  障害者である僕自身も学びの連続で難しく、どうやって皆さんに伝えたら誤解の無いように伝わるのか、今も悩みながら進んでます。  「理解してくれ!」と戦いたいわけではありません。身体の問題で苦しい思いをしてるんじゃない、少数派として置かれた環境によって障害が生まれているんだということをお伝えし、共に歩み寄りたいのです。  環境とは、物理的なことだけではありません。人が無意識に持ってしまう偏った見方も、障害をつくりだす環境です。このあたりをしっかり伝えていくのがお店としての今後の課題なのかなと思います。 当たり前ってなんだろう?  このコロナ騒動を機に、時代が大きく変わるでしょう。秋に予定していたバリアフルレストランの一般公開も延期が決定しました。しかし、チーム誰とものコンセプト「誰もが誰かのために共に生きる社会」を大切に前に進んでいけば、人類がウイルスに勝利した時には、少数派にとっても多数派にとっても明るい未来が待っているのではないかと思います! 写真右 )バリアフルレストランのスタッフのみんなと 写真中 )レストラン店内の様子 写真左 )メインキャストを務めてくれた中嶋涼子さん(車いすインフルエンサー)と、曽塚レナさん(車いすシンガーソングライター) またバリアフルレストランでお会いしましょう! 寺田ユースケ 1990年、名古屋市生まれ。YouTubeチャンネル「寺田家TV」を夫婦で運営する車いすYouTuber。 日常のなかの「偏り」を見つめる勇気を 東大准教授に聞く、バリアフルレストランと「障害の社会モデル」 バリアフルレストランを通じて「多数派の偏り」を体験した私たちが、実際に社会を変えていくにはどうすればいいんだろう。チーム誰ともの顧問である障害学研究者の星加良司准教授(東京大学)に、あらためて「障害の社会モデル」とバリアフルレストランに込められた意図、そして私たち一人ひとりにできることを聞きました。(構成:小池真幸) 星加良司 東京大学大学院 教育学研究科附属 バリアフリー教育開発研究センター 准教授。内閣官房「心のバリアフリー」に向けた汎用性のある研修プログラム検討委員会、ほか歴任。専門は社会学、障害学。著書に『障害とは何か』(生活書院)など。自身も全盲という障害を持つ当事者。チーム誰とも、バリアフルレストランの監修を務める。 「障害」は社会がつくり出す ??質問 まず、バリアフルレストランの企画意図を教えてください。 回答 私の研究テーマである「障害の社会モデル」という考え方を、直感的に理解できる場をつくりたかったんです。多くの人は障害というと、「目が見えない」「耳が聞こえない」といった個人の心身機能に由来するものと考えていると思います。一方障害の社会モデルは、そうした人がいることを考慮せずに作られてしまった環境、社会の側が「障害」を生み出していると考えます。  バリアフルレストランでは、その考え方を体得してもらうために、障害者の身体の疑似体験ではなく、環境側の変化“だけ“で困難/障害が生じる仕掛けを施しました。あえて参加者の身体への制限を加えないことで、「自分たちに不向きな環境が困難を生み出しているんだ」と感じてほしかったのです。  内装、店員のコミュニケーション、店内で流れている映像……あらゆる観点で工夫を凝らし、「車いすユーザーが多数派(マジョリティ)で、二足歩行者(にそくほこうしゃ)が少数派(マイノリティ)」の世界を体験してもらいました。 ??質問 体験してくださった方のなかには、店員さんが来店者である二足歩行者(にそくほこうしゃ)に過剰に気を遣うので「来ちゃってごめんなさい」という気持ちになったとおっしゃっていた方もいました。 回答 あからさまな差別や排除だけが、マイノリティにとっての生きづらさや困難を生み出すわけではありませんからね。マジョリティ側は受け入れているつもりでも、対応やコミュニケーションの節々に、マイノリティ側に「自分はここにいるべきではない」と思わせてしまうニュアンスが現れてしまうことはよくあります。その点に気づいてもらうことも、企画で気をつけたポイントの一つです。  バリアフルレストランは「二足歩行者(にそくほこうしゃ)」を基準とした偏りを反転させた作りになっていますが、現実社会にはそれ以外にも様々な「偏り」が潜んでいます。電話しか置かれていなくて、耳が聴こえない人への配慮がなされていない建物のエントランス。右利きの人向けのデザインになっていて、左利きの人は使いづらいトランプなど。そうした困難に気づけるようになってもらうために、バリアフルレストランでは、現実に存在する偏りをデフォルメした架空の世界をつくり出したんです。 ??質問バリアフルレストランを開催した感触はいかがでしたか? 回答 企画側の狙いが、しっかりと届いていたと思います。このプログラムを皮切りに、より一層、社会の障害モデルを前提としたムーブメントが増えていくことを期待しています。 ネガティブな反応も「想定内」 ??質問メディアに掲載されたバリアフルレストランの記事をみたネットユーザーの一部からは、ネガティブなコメントもあがっていました。 回答 私は想定の範囲内だと考えています。主に「車いす体験のほうが擬似体験として意味があるのでは?」「健常者に対する当てつけではないか?」といった声が挙がっていました。これらは、まさに社会ではなく個人の側に障害の原因があるとみなす「障害の個人モデル」で考えているからこそ出てくる意見です。あらためて、障害の社会モデルをもっと広めていかなければ、と認識するような反応でした。 誰もがマイノリティ性を抱えて生きている ??質問障害の社会モデルを理解することで、マジョリティはどのように変わっていくのでしょう? 回答 まず、マジョリティにとって、障害の社会モデルを受け入れるのは非常にしんどいです。これまで当たり前だと思っていた環境が、実は自分にとって有利に構築されていた、すなわち下駄を履かされていたと気づかされるのですから。場合によっては、自己肯定感も傷つくでしょう。 だから、バリアフルレストランにネガティブな反応が来るのも、自然なことなんです。これまでに築き上げてきた足元が崩れてしまうリスクを回避すべく、ある種の防衛反応が働いてしまう。自分の特権に気づきたくない、ということです。  でも実は、誰もが自分の中にマイノリティ性を秘めています。ジェンダー、国籍、年齢……ある属性をとればマジョリティだった人が、ある属性や環境においてはマイノリティに容易になり得ます。そのあらゆる側面で、マジョリティとマイノリティの間での力の不均衡は発生します。そうした不均衡は個人ではなく社会が生み出すものだと知ることで、それまで感じていた生きづらさやコンプレックスを相対化できるかもしれません。 ??質問誰もがある環境ではマイノリティになり得るし、不均衡が一切ない状況は、存在しえないと。 回答 私はそう思っています。マイノリティが直面している不都合から目をそらさず、対話やコミュニケーションを重ね、関係性を築いていく。そうすることで初めて、多様性ある共生社会を構築できるのだと思います。 1日3分でも、「社会モデル」で考えるトレーニングを ??質問 マジョリティ側が、マイノリティ側との対話から逃げないことが大切なのですね。 回答 はい。マイノリティ側が声を挙げ、それに対してマジョリティ側が対応するだけでは不十分です。何も意識しないと、力関係で勝るマジョリティ側にとって、圧倒的に有利な社会ができあがってしまいますから。マイノリティ側に対話の責任を課すのではなく、マジョリティ側から耳を傾けられるようにしなければいけません。 ??質問 障害の社会モデルをより深く理解し、広めていくために、私たち一人ひとりには何ができるのでしょうか? 回答 自らが持っているマジョリティ性に対して、社会モデル的な認識を持ち続けるのは、ものすごく難しいことです。バリアフルレストランに参加して目から鱗が落ちても、数日も経てばその感覚を忘れてしまうのが普通でしょう。ですから、まずはそうした視点を内面化するためのトレーニングをしてみてください。通勤途中の街並みでも、職場でも、家族でもいいです。1日3分でもいいから、身の回りに潜むマジョリティ性やマイノリティ性を探す時間を取ってみてください。  チーム誰ともは、「当たり前ってなんだろう?」というキーワードを掲げていますよね。「当たり前」にしてほしいことを、「当たり前」にしてもらえない人たちがいる。そのことをよく認識し、日常に潜む「偏り」への感度を高めていきましょう。 ??質問 昨今は、新型コロナウイルス感染症の影響で、社会の不確実性や不安がどんどん高まっています。 回答 東日本大震災のときもそうでしたが、こうした危機的状況では、人びとは異質なものに対してどんどん不寛容になっていきます。マジョリティの人たちですら安全が脅かされる状況ですから、自らのマイノリティ性を見つめる「余裕」が失われてしまう。だからこそ、より一層危機感を持って、社会モデルを広めていかなければいけないと考えています。 誰もが誰かのために共に生きる委員会 チーム誰とも、始動! 「チーム誰とも」は、“誰もが誰かのために共に生きる社会”を創るためのムーブメントです。 日本ケアフィット共育機構は、あらゆる「ちがい」を超えて、誰もが他の人を支え、その人がさらに誰かを支える、相互に作用しあう暮らしやすい社会を創りたいと考えています。私たちには全員「ちがい」があります。その「ちがい」に上も下もありません。多数派に合わせることを前提とした社会の仕組みが、少数派に「障害」を生み出してしまう。これが「障害の社会モデル」の考え方です。社会の仕組みによって生まれてしまう「障害」に注目し、無意識に「当たり前」になっていることへ疑問を促していく。それが、「チーム誰とも」のムーブメントです。 どうしたら障害の社会モデルという考え方が浸透し、誰もが誰かのために共に生きる社会が創れるのか、「チーム誰とも」は考えながら動き続けたいと思います。 △「多数派にとっての当たり前」が前提の共生社会 「段差」にスロープをつけるように、車いす利用者などの少数派でも不便なく暮らせるような配慮がされた、多数派を前提とした社会 ◯目指す共生社会 そもそも「段差」がないような、車いす利用など様々な「ちがい」があってもちがいによる不便を感じない社会 「チーム誰とも」は、日本ケアフィット共育機構の2020年活動全体戦略として活動を開始しました。5月現在、新型コロナウイルス感染症による影響が世界を覆っています。私たちの活動も変更を余儀なくされていますが、共生社会を目指すという理念は変わりません。一緒に活動してくださる仲間をいつでも歓迎しています。 そっと、さっと、あんしんを サービス介助士 「サービス介助士」のリニューアル サービス介助士は、おもてなしと介助技術のプロフェッショナル資格です。2000年のスタート以来、高齢者や障害者と接する機会の多い交通・小売・サービス・観光業、大学や専門学校の講座にも取り入れられ、全国に18万人の資格取得者がいます。 サービス介助の学びでは、これまでも障害の社会モデルの考えを紹介していました。2020年4月からは、さらに深く取り入れた内容へとリニューアルしています。 たとえば接客などで障害者の介助をするときに、“自分たち事業者側が、この方の困りごとを作り出しているのでは”という視点を持つこと。それがまさに障害の社会モデルの視点です。 社会は絶えず変化しており、障害も時代とともに変わっていきます。同じ人にとっても、状況や環境によって、障害のあり方も変わります。 リニューアルするサービス介助の学びでは、障害の社会モデルなど時代の流れを取り入れ、これからの社会を担う人材をさらに輩出することを目指していきます。 カリキュラム改訂のポイント 1 実技教習における障害当事者講師の項目追加 2 学識者、障害当事者団体の協力 3 テキスト及び実技教習時の解説ポイントの変更 4 実技教習時の追加カリキュラム マイページの開設 ウェブ上から資格取得状況などを確認できるマイページを、2020年6月1日から開設します。マイページでは、電子認定証の表示、資格継続手続きおよびクレジットカード決済などが可能になります。 https://www.carefit.org/carefit ※2020年5月現在、実技教習等の開催を中止しています。再開時期などの詳細はウェブサイトをご確認ください。 おもてなしの心、おもいやりの心を大切に。 おも活 「そっと、さっと、あんしんを。」プロジェクト 「おも活」と障害の社会モデル 子どもたちが体験を通して、相手の立場になり「気づき」「考え」「行動する」ことを目指した出張授業が「おも活」です。これまでに170校で合計12000人の体験機会を作ってきました。 「おも活」にも障害の社会モデルの考えを取り入れ、多数派に合わせた社会を当然と思っていることに気づけるよう、プログラムを大幅リニューアルしていきます。2020年5月現在は活動を休止していますが、9月の再開を目指して準備を進めています。 https://www.carefit.org/personal/omokatsu.php ウェブサイト情報発信中 チーム誰ともでは、ウェブサイトで新着情報をお知らせしています。イベント情報などもお届け予定です。ぜひチェックしてみてください。 https://dare-tomo.team ブログサービスnoteも更新しています。今号の『紲 Kizzna』に掲載されている「バリアフルレストラン体験レポート」「僕がバリアフルレストランの店長になった理由」「日常のなかの『偏り』を見つめる勇気を」は、noteでロングバージョンを公開しています。こちらも是非ご覧ください。 https://note.com/team_dare_tomo わかってくれ、ではありません 一緒に考え続けましょう ・店員さんが配慮のつもりで発する、間違った気づかいの言葉は、我々の接客場面でもありえると思った ・必要以上に声がけしたりすることはおもてなしではなく不快につながると気づいた ・レストランで食事をすることは楽しいことのはずなのにすごく居心地の悪さや申し訳なさを感じた ・レストランで過ごしてる時間、常に不安な気持ちになっていた(場違いな感じ、いちゃいけない感じ) ・自分が不快と感じる環境を体験できたのがとても有り難かった ・無意識のうちに悪気なく、自分の当たり前を押しつけていたことに気づけた ・誰もが生きやすい環境にはなりつつあると思っていたが、実際はほど遠く、一人ひとりの考え方、視点を変える必要があると思った ・障害者のことをわかったつもりになってはならないと思った ・レストランでは自分は少数派なので、(不便なのは)しかたないと本当に思ってしまった ・障害者には優しくしようじゃなくて、人に優しくしよう、になるといいなと思います ・多数派少数派に関わらず、誰もが暮らしやすい環境を作るのが大切だなと思った ・予想を越えたバリアと対応に、驚き、考えさせられた ・店員さんが何を話しているか、聞き耳をたててしまう。私が車いす利用者で、ふだんは言われている側だからかも ・障害者同士でも知らないことばかり ・今までのセミナーや体験型研修とは全く違う感覚を得られた ※2020年2月のバリアフルレストランに来場してくださった方へのアンケートをもとに作成 発行人 畑中 稔 発行所 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 URL:https://www.carefit.org E-mail:toiawase@carefit.org 制作 Story Design house株式会社 編集 鈴木亮一、原光樹 アートディレクション&デザイン 進藤琉風(株式会社アトリエ428) 印刷 日経印刷株式会社 発行日 2020年5月29日  本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、転載することは禁じます。 Kizzna 2020 Printed in Japan