H1 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2017 Spring Vol.11 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい ロングインタビュー トヨタ東京カローラ株式会社 代表取締役社長 向井 英夫 トヨタアルバルク東京株式会社 代表取締役社長 林 邦彦 Everyone connects to someone. 誰もが、誰かと。 P2 KIZZNA vol.11 Theme 寄り添う 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」紲。 第11号のキーワードは「寄り添う」です。 人が、誰かの役に立ちたいと思う気持ちはとても尊いものです。 同時にその気持ちは、誰もが持っていて、 そして誰もが必要としているものなのではないでしょうか。 今回ご紹介するのは、常にナチュラルに、常にフラットに、 誰かに寄り添い、同じ方向を向いて前に進もうとしている人たち。 そして、そこから自分もたくさんの喜びを得て、明日への活力にしている人たちです。 そんな人たちが語るひとつひとつの言葉からは、 奉仕や献身という言葉とは少し違う、新しい“真心”の形が見えてきます。 どうかページをめくって確かめてみてください。 きっと、新しい世界が開けるはずです。 P3 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2017 Spring Vol.11 CONTENTS 04 ロングインタビュー 思いやりの輪が紡ぐ未来 トヨタ東京カローラ株式会社 代表取締役社長 向井英夫さん トヨタアルバルク東京株式会社 代表取締役社長 林 邦彦さん 09 ケアフィット ファーム勝沼レポート ケアフィットファームのおいしいフルーツを召し上がれ! 10 未来創人〜みらいつくりびと NPO法人 日本トイレ研究所 代表理事 加藤 篤さん 12 おも活 13 ボランティア活動TOPICS 16 学生団体flat〜ふらっと〜 ふらっと日記 17 care-fit通信 24 特集 : 行こうよ! ボランティア! 25 より高まる社会貢献活動の意識  企業×ボランティア 29 Interview with leader 株式会社JR 東日本ステーションリテイリング 代表取締役社長 貝瀬 厚さん 発行人 畑中 稔 発行所 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 URL: http://www.carefit.org E-mail: toiawase@carefit.org 製作 タクトシステム株式会社 制作 株式会社フリート 編集長 中川純一 編集 城田晃久 取材・文 城田晃久 撮影 阿部栄一郎 西原樹里 平野慎一  アートディレクション&デザイン 笛木 暁 印刷 日経印刷株式会社 本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、転載することは禁じます。 (c) Kizzna 2017 Printed in Japan P4-8 思いやりの輪が 紡ぐ未 昨年、プロバスケットボールリーグ『B リーグ』が開幕しました。 B リーグに参戦するクラブのひとつ、アルバルク東京のホームゲームには、 サービス介助士資格を有するトヨタ東京カローラ株式会社の社員が ボランティアスタッフとしてお手伝いしています。 両社がそうした連携に至った背景にはどのような思いがあったのでしょうか。 トヨタ東京カローラの向井社長と、アルバルク東京を運営する トヨタアルバルク東京株式会社の林社長にお話しを聞きました。 トヨタ東京カローラ株式会社 代表取締役社長 むかいひでお 向井 英夫さん トヨタアルバルク東京株式会社 代表取締役社長 はやしくにひこ 林 邦彦さん ボランティア活動は、 実体験ができる貴重な場だと思っています。(向井) 熱のこもった説明に、向井社長の 強い気持ちを感じました。(林) ――まず、両社の関係についてお聞かせいただけますか? 向井 アルバルク東京さんは、もともとトヨタ自動車株式会社実業団として活動されていたので、私も知ってはいたのですが、トヨタ東京カローラとしては直接的な関係はありませんでした。一方、トヨタグループ全体で、東京オリンピックに向けて、スポーツに力を入れてユーザーの皆さまと一緒に盛り上がっていこうという流れがあり、同じ東京で活動しているご縁もありますし、アルバルク東京さんを応援していこう、ということになりました。  また数年前から、ご高齢のお客さまや障がいのあるお客さまをきちんとお手伝いしていきたいという思いと、家族の介護が必要な社員のサポートをしていきたいという思いから、社員のサービス介助士資格取得を進めていましたので、その実体験の場として、バスケットボールの試合をお手伝いさせていただくのがよいのではないかと思いついたんです。それでアルバルク東京さんにお願いして、ホームアリーナで行われる試合にサービス介助士の社員をボランティア派遣するようになりました。 林 わざわざ当社の事務所までお越しいただいて、プレゼンしてくださったんです。お手伝いしていただくわけですから、本来であればこちらからお願いしないといけないところを、サービス介助士というのはどういう資格で、どんな人が有資格者で、その人たちは何ができるのか、といった熱のこもった説明をしてくださいました。向井社長の強い気持ちを感じましたね。 向井 そこはお互いさまといいますか、私もサービス介助士資格を取らせていただいたのですが、せっかく講習を受けても、会社に帰ってきて仕事モードになると、忘れてしまうんですね。ですから、アルバルク東京さんの試合を始めとしたさまざまなボランティア活動への参加は、実体験ができるとても貴重な機会だと思っているんです。 ――お互いの利益になる関係性ということですね。 向井 はい。サービス介助士資格を生かせる場の確保と、社内でスポーツ、特にバスケットボールを応援する機運が高まった。まさに一石二鳥ですね。アルバルク東京さんの試合にはいつも5〜6人の社員が参加させてもらっています。 林 私たちのホームアリーナである代々木第二体育館は建物が古く、バリアフリーにはまだ対応しきれていないんです。そこをサービス介助士の皆さんにお手伝いしていただいています。皆さんは有資格者であり、自己流ではなくてきちんとした介助技術と客観的な知識をお持ちなので、私たちが考えつかないようなところまでサポートしてくれる。本当にありがたいですね。 向井 当社ではバスケットボール以外にも、ブラインドサッカーや車いすテニスの大会、障がい者コンサートなどにも社員がボランティアとして参加しています。みんな最初は珍しがって参加したがりますが、こういうことは継続が大切ですからね。今のところは、サービス介助士の講習で学んだことを実体験できる場として続けて参加したいという声が多いです。ボランティアがきっかけでバスケットボールに興味を持ったという社員も多いですよ。 林 それは嬉しいですね。Bリーグのなかでも、歴史のあるクラブは町をあげて応援されているので、地域コミュニティ内の助け合いの延長で、地域住民の方がボランティアとして参加されているようなケースも多いんです。私たちももっと地域の皆さんに応援していただきたいですし、ボランティア参加がそのきっかけになるのであれば、お互いにとって素晴らしいことだと思います。 ――Bリーグは地域とのつながりを大切にされているんですね。 林 Bリーグでは、地域密着がすべての基本になります。残念ながら、アルバルク東京の知名度は、野球やサッカーのクラブと比べたら高くはありません。地域の皆さんに応援してもらうにはどうすればよいか、また、さまざまなエンターテイメントのなかから私たちの試合を選んでもらうにはどうすればよいか。それこそが我々が取り組むべき課題だと思っていまして、学校や商店街といった、実際にそこで暮らしている方々と触れ合える場所に積極的に顔を出して、地域の皆さんに受け入れていただけるような取り組みを進めているところです。 向井 アルバルク東京さんが地域に浸透してくれたら、応援している当社もより親しみを感じてもらえるようになるので、ありがたいですね(笑)。当社も、もっと地域の皆さんが楽しめてくつろげる店舗にしていかないといけない。自動車の販売とメンテナンスだけではなくて、車のことに限らずお客さまから気軽にご相談いただけるような親しみやすさが必要だと考えています。そのためには、サービス介助士の講習で学ぶこと、さらにボランティアの現場で実体験することはとても役に立つと思います。 ――社会貢献活動についてはどのような考えをお持ちでしょうか。 向井 当社では、東京のトヨタ販売店同士で協力しながら、震災ボランティアや東京湾のゴミ拾いを継続して行っています。こうした取り組みを通して、社員に、世の中の役に立つことに積極的に取り組む会社の一員であるということに誇りを持ってほしいと思っています。大切なのは、私や上司に言われたからやる、ということではなくて、一人ひとりが本気で取り組めるようになること。社会貢献というような大げさなものでなくてもいいんです。地域の清掃をする、お祭りに参加するといったことから、自主的に取り組めるようになってほしいですね。 林 私たちも、社会貢献というよりは、社会の活性化の役に立てればと思っています。試合を見に来ていただいた皆さんに勇気を与えられたり、リフレッシュして普段の生活に戻っていただけたりするような楽しみを提供できるクラブであり続けたいと思います。そして、選手たちも試合が終わればいち市民ですから、市民として地域のなかでどんな役割を果たすべきか考えられるような人間になってほしい。そんな真の社会人を育てる人材育成の場でもありたいと思っています。 ――Bリーグでは『B.LEAGUE Hope』という活動をされていると聞きました。 林 はい。コートの外でも社会的責任活動を行い、持続可能な社会づくりに貢献することを目的とした活動です。その一環として、1月に行われたオールスター戦に、小児難病のお子さんとそのご家族をご招待しました。このプロジェクトで私が共感したのは、小児難病当事者であるお子さんに楽しんでもらうことはもちろん、ご家族のケアまで考えられていたことです。普段はお子さんにつきっきりで自分たちがリフレッシュすることもできない親御さんやきょうだいたちにも、バスケットボールの試合を楽しんでいただくことができました。  また、こうした問題に社会全体で取り組む必要性を強く感じる機会でもありました。一人で1週間お手伝いしてほしいと言われると難しいけれど、1時間であれば無理なくお手伝いできることがわかりました。つまり、24人集まれば1日ケアできるわけです。今後はこういった意識の普及もしていきたいですね。アルバルク東京からも、スタッフが一人活動に参加したのですが、お手伝いしたご家族からそのスタッフ宛にお礼のお手紙をいただけたんです。それがなにより嬉しかったですね。思いやりというのはいろいろなところにつながって、ひとつの形になるんだな、と実感しました。 向井 素晴らしい取り組みですね。当社でも、サービス介助士を導入したきっかけは社員の介護負担を減らしたいという思いなので、今後もきちんとケアしていきたいです。 ――ぜひこれからも、人に寄り添う取り組みを継続してください。 林 はい。私は、スポーツも車も、生活の豊かさにつながるものだと思うんです。車を好きな方は、ハンドルを握るだけでリラックスできて、なおかつ好きな場所に移動できる。一人でもいいし、複数人で体験を共有することもできる。とても素晴らしい乗り物だと思います。スポーツも同様です。常に私たちを応援してくれる人たちの生活を豊かにできる存在でありたい。そのために、選手たちはがんばっている姿を見せないといけません。負けていても常にゴールを目指す。そんな姿勢を大切にしていきたいと思います。 向井 会社で働くのが楽しくて、その結果お客さまにも喜んでいただけるというのが理想ではありますが、ともすればその前にまず実績を上げたい、利益を出したいという思いが強すぎて、理想とは逆に回転してしまうことが往々にしてあるんです。そうなると働くことがしんどくなってしまう。順方向に回転させるためには、制度を整えてあげることももちろんですが、互いに助け合ったりスポーツを一緒に楽しんだりといった、一体感を醸成する風土づくりが必要だと感じています。そういった背景から、スポーツイベントやクラブ活動を盛んにしたいと思っていまして、近々、アルバルク東京さんに触発されてバスケットボール部が発足する予定なんですよ。 林 実は、試合のあとにコートを開放して一般の方に楽しんでいただく試みを始めているんです。ぜひバスケットボール部の皆さんも遊びに来てください。日ごろボランティアの皆さんにはお世話になっていますから、その恩返しに、元日本代表のスタッフがレクチャーしますよ。 向井 それは楽しみですね。ぜひ! 応援してくれる人の生活を豊かにできる存在でありたい。(林) 大切なのは、一人ひとりが本気で取り組むこと。(向井) チームを引っ張る日本代表の田中大貴選手。Bリーグ初代チャンピオンを狙う。 トヨタ東京カローラの店舗には必ずサービス介助士資格を有するスタッフが在籍。福祉車両の展示もあり、車いすの修理なども、希望に応じて対応している。 トヨタグループではアルバルク東京を応援。「世界に名だたるトヨタグループに応援していただける私たちはとても恵まれていると思います」と林さん。 アルバルク東京ホームゲーム日程 アリーナには車いす専用スペースがあります。サービス介助士がご案内しますので、車いす利用の方も安心してご来場ください! 3月10日(金)19:15〜 大阪エヴェッサ戦 3月11日(土)15:10〜 大阪エヴェッサ戦 3月25日(土)17:00〜 秋田ノーザンハピネッツ戦 3月26日(日)14:10〜 秋田ノーザンハピネッツ戦 ※会場はすべて国立代々木競技場第二体育館。 試合情報、チケット購入はアルバルク東京公式HPから https://www.alvark-tokyo.jp/ 日本代表の竹内譲次選手 (c) ALVARK TOKYO P9 ケアフィットファーム勝沼レポート 障がい者就労支援事業所 就労移行支援 就労継続支援B型 ケアフィットファーム活動レポート 〜障がいの有無にかかわらず、みんなが活躍できる場の実現を目指して〜 ケアフィットファームのおいしいフルーツを召し上がれ! ケアフィットファームでは、就労支援事業の一環として、自分たちで育てたブドウや山梨産の原材料を加工した商品を製造・販売しています。今回はその製造過程の一部をご紹介します。 干し 「山梨の☆(干し)りんご」のつくり方 山梨産のふじりんごは酸味と甘味のバランスが抜群です。 原材料のりんごを洗浄し、カットします。 カットしたりんごをトレーに並べます。 トレーを食品乾燥機で10時間ほど乾燥させます。 おいしそうな干しりんごができました。 パッケージの表面と裏面にシールを貼ります。 POINT 誰が作業してもきれいに貼れるよう、ホワイトボードにガイドラインを入れ、マグネットで押さえて簡単に貼れる自助具を手づくりして使っています。 パッケージに干しりんごと脱酸素剤をいれます。 シーラーで封をして、できあがり。 おいしいよ! ケアフィットファームの製品 通信販売のごあんない ケアフィットファームでつくられた製品は通信販売で購入いただけます。ぜひお試しください! 購入方法: 下記までお申し込みください! お電話の場合: 0120-102-339 メールの場合: koshu@carefit.org NEWS 通販サイト近日オープン! 日本ケアフィット共育機構のホームページでお知らせいたします! 山梨県産 ワイン ケアフィットファームで採れたぶどうを絞ったワイン。今年はいい出来にしあがりました。 無添加加工 山梨の☆ドライフルーツ 勝沼の☆ぶどう(4種類) ケアフィットファームで採れた「巨峰」「ピオーネ」「シャインマスカット」「瀬戸ジャイアンツ」。それぞれの味がしっかり残っています。 ※大好評につき昨シーズン製造分は完売いたしました。今シーズン製造分は9月から販売予定です。お楽しみに! 山梨の☆柿 山梨名産『甲州百目』を使用。こんなに甘くていいの? 山梨の☆りんご ひそかに有名な山梨のりんご。数が少ないので貴重! 山梨の☆キウイ 山梨はキウイも名産。高級ゴールドキウイも山梨産! 読者プレゼント 赤ワイン・白ワインセットまたは、ドライフルーツ詰め合わせセット(りんご・柿・キウイ)を抽選で各2名様にプレゼントいたします。 詳しくは本誌30ページをご覧ください。 ※ワインセットのご応募は20歳以上の方に限ります。未成年者の応募はできませんので、あらかじめご了承ください。 お問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 甲州事業所 ケアフィットファーム 〒404-0033山梨県甲州市塩山赤尾650 TEL:0553-39-8681 FAX:0553-39-8682 E-mail:koshu@carefit.org WEB http://www.carefit.org/farm/ P10-11 未来創人 みらいつくりびと 未来を見据え、 どんな困難も 楽しみながら乗り越える。 そんな人生の達人を、 私たちは 『未来創人(みらいつくりびと)』 と名づけました。 NPO法人 日本トイレ研究所 代表理事 加藤 篤さん 最終目標は、“トイレからの世界平和”です。 トイレは設備ではなくライフライン。 トイレからの社会改善を目指す。 名前で画像検索すると、黄金色に輝く冠とマントを身にまとって子どもたちの前でマイクを握る男性の姿が。よく見ると胸には『うんち教室』の文字。別の画像では、そのものずばり、うんち型の帽子をかぶって笑顔を浮かべている…。この男性こそが、今回の未来創人。『NPO法人 日本トイレ研究所』代表理事の加藤篤さんだ。「私たちは、トイレを単なる設備ではなくライフラインとして考え、トイレを通して社会問題の改善にアプローチする活動を行っています」と真剣な面差しで語る加藤さん。画像検索でヒットしたのは、日本トイレ研究所が全国の小学校で子どもたちにトイレや排泄の大切さを伝えることを目的に行っている、出前教室での加藤さんの姿だ。「子どもたちの五人に一人は便秘だと言われています。無理もないですよ。学校のトイレは快適性は低いですし、そもそも教育のなかで食事と運動は推奨されているけれど、排泄についてはケアされていないんですから」。 加藤さんは子どもたちが楽しく学べるように、自ら『うんち王子』や『ウンコビッチ博士』といったオリジナルキャラクターに扮して、子どもたちの前に立つ。恥ずかしさはありませんか? という質問に、「子どもたちには嘘はバレますからね。トイレやうんちへの愛を全面に出して本気でぶつからないと、うんちの大切さは伝わらないんです」。この言葉だけでも、加藤さんがトイレと排泄の問題に真摯に取り組んでいることが伝わってくる。 日本トイレ研究所は、1985年に活動をスタート。加藤さんは2代目の代表だ。大学で建築を学び、卒業後は建築設計事務所に就職した加藤さんだが、「学生時代から取り組みたいと考えていた『まちづくりやコミュニティづくりを通した社会貢献』というテーマを考えたときに、建築そのものよりも、もっと生活に密着した部分からアプローチするほうが自分には向いていると思ったんです」。そこでたどり着いたのがトイレだったのだという。「学校や公園のトイレ、街なかの公衆トイレの状態が悪い場所があるのは、もしかしたらトイレそのものだけに原因があるのではなくて、そこにいる人や地域のSOSがトイレの乱れとして現れているのではないかと思い至りました」。それからというもの、トイレひとすじの生活が20年も続いているのだという。 トイレ問題は人類共通の課題。 他分野にも“思い”を広げていきたい。 日本トイレ研究所の会員は総勢250名ほどで、参画企業・団体は58社にのぼる。『子どもたちのトイレ環境』『災害時におけるトイレ対策』『多様性社会に対応するトイレ対策』を3本柱とし、フォーラムやワークショップ、その他さまざまな調査や活動を通して、トイレから見た社会問題の改善に向けた取り組みを行っている。特徴的なのが、建築家や医療従事者、絵本作家やコピーライターといった、一見トイレとは無関係な肩書を持つ人たちが『トイレ向上委員』として名を連ねている点だ。加藤さんは語る。「トイレは誰もが使う場所です。つまり私たち全員が当事者なんです。ですから、さまざまなスペシャリストと一緒に課題の解決方法を考えていくことが大切だと思っています」。オリジナルキャラクターや絵本をつくったり、公衆トイレを美術館に変身させたりといったユニークな企画も、そうした姿勢があるからこそ生まれたものなのだろう。加藤さんは、異なる分野の人と思いを共にして課題に取り組むときに、最もやりがいを感じるという。「食育の専門家に、食べるのも大切だけど出すのも大切だよね、と言ってもらえるようになったり、福祉の専門家に障がいのある人たちのトイレ問題についてより重点的に考えてもらえるようになったりすることで、トイレ改善の “思い”が広がります。さまざまな分野と連携して、トイレという人類共通の課題解決のためのプラットフォームをつくっていきたいんです」。 最終目標は、“トイレからの世界平和”。「あまりにもトイレにのめり込みすぎているもので…ちょっと普通の感覚じゃないですよね」と苦笑いする加藤さんだが、その思いが本物だということは、これまでトイレ研究所の取り組みに参加してきた人たちや、うんち王子の出前授業を受けた子どもたちにはしっかり伝わっているに違いない。 子どもたちと一緒に、自身が作詞した「うんちっち!のうた」に合わせて「うんちっち体操」を踊る。講演会やシンポジウムは自主開催も含めて年間50回以上。全国を飛び回る日々だ。 大切にしている言葉は“トイレは身体の一部である”。「災害看護の大先輩、故黒田裕子さんの言葉です。理想のトイレはウエアラブルトイレ。それくらいの視点で考えないとトイレ問題は解決しないと思っています」。 Profile NPO法人 日本トイレ研究所 代表理事 加藤 篤(かとう あつし) 1972年生まれ、愛知県出身。大学で建築を学んだのち、建築設計事務所、まちづくりシンクタンクを経て、NPO法人日本トイレ研究所の代表理事に就任。講演活動や著作、実践活動を通して、トイレから社会問題の改善に取り組んでいる。キャラクターに扮装して小学校に出向いたり、排泄をテーマにした歌を作詞したりするなど、活動は多岐にわたっている。 NPO法人 日本トイレ研究所 『トイレを通して社会問題を改善すること』をテーマに、子どもたちのトイレ環境の改善、公共トイレ環境の改善、災害時のトイレ対策などを中心とした活動を行っている。『トイレに、愛を。』をスローガンとした『トイレアート』や『トイレの詩』キャンペーン、『日本トイレひと大賞』の実施でも注目を集めている。 イベント開催予定: 『災害時トイレ衛生管理講習会』 日時:2017年5月下旬〜6月上旬頃を予定  HP:http://www.toilet.or.jp/ P12 おもてなしの心、 おもいやりの心を大切に。 おも活 「そっと、さっと、あんしんを。」プロジェクト おも活とは・・・ 日本ケアフィット共育機構のサービス介助士・講師が小学校を訪問し、子どもたちに障がいのある方への案内方法やレクリエーションを通して、相手の立場になって考えることの大切さを伝える活動。日本ブラインドサッカー協会が開催するダイバーシティ教育プログラム「スポ育」実施校に対しても活動を展開し、2020年に向けてボランティア文化を育てていきます。 「おも活」に参加してくれた みんなから嬉しいお手紙を もらったよ! お助けノ介 新宿区立戸塚第一小学校4年生の皆さん 感想を冊子にまとめてくれました! わたしが一番びっくりした事は、ほ助犬にもいろいろいる事です。 声で伝えあうことが大切なことを実感しました。 先生からも、「おも活のあと、地域の視覚障がいのある方を招いてのパーティで、階段の上り下りや道案内がとても上手にできました」とお便りをいただきました! 墨田区立菊川小学校3年生の皆さん  イラスト入りメッセージありがとう! 点字ブロックのしゅるいや、ほじょけんのことが分かりました。 目が見えない人は、ぼくがふつうに歩いている道を、なんて不安な気持ちで歩いているんだろうと思いました。 わたしができることはお手つだいしてあげたいなと思います。 学校関係者、保護者の皆さまへ 日本ケアフィット共育機構では「おも活」に参加していただける学校、施設を募集しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB http://www.carefit.org/ P13-15 ボランティア活動TOPICS 日本ケアフィット共育機構では、サービス介助士やボランティアの皆さんとともに、さまざまなイベント会場で、誰もが娯楽やスポーツを楽しめるお手伝いをしています。 次はあなたも一緒に参加してみませんか? 誰もが混ざりあって一緒にサッカーを楽しむイベント JIFFインクルーシブフットボールフェスタ2016 12月24日(土)に、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)が開催した「JIFFインクルーシブフットボールフェスタ2016」を、サービス介助士の皆さんでお手伝いしました。このイベントでは、子どもたちが障がいのあるなしにかかわらず同じチームでサッカーを楽しむ『インクルーシブフットボール』のゲームと、アンプティサッカー、ブラインドサッカー、電動車いすサッカーの体験会が行われました。プロのサッカー選手と触れあえるとあって、子どもたちも大はしゃぎでした。サービス介助士の皆さんは、子どもたちへの目配りや体験会のサポートなどを担当。コートを元気に駆け回る子どもたちの笑顔に、とても癒やされるクリスマス・イブでした。 障がいのある子もない子も一緒になって同じゴールを目指してボールを追いかける様子は、とても感動的でした。 齊藤絵美さん(IT企業勤務) サッカー好きな子どもたちが、障がいのあるなしにかかわらず、みんなで一緒にサッカーを楽しんでいる様子が印象的でした。JIFFの目指す『誰もが混ざりあう社会』の実現を感じられた、とても意義のあるイベントだったと思います。 お知らせ サービス介助士、齊藤絵美さんのこの日の密着レポートを本誌P22〜23で特集しています。 ボランティアのことがよくわかりますので、ぜひご覧ください! 共生型ウォーキングイベントにTASKALを設置 ジャパンウォーク in TOKYO オリンピアン・パラリンピアンと歩こう2016秋 11月23日(水祝)、東京オリンピック・パラリンピックの会場ともなる豊洲周辺を、31名のオリンピアン・パラリンピアンと一緒に、障がいのある人もない人も一緒になって楽しむ共生型ウォーキングイベントが開催されました。春に続いて第2段となる今回の参加者はなんと2,000名以上!障がい者スポーツ体験会にもたくさんの人が参加していました。日本ケアフィット共育機構も介助とおもてなしの心構えを学ぶボランティア講座を実施。当日もリレーションセンターTASKALを設置してお手伝いしました。 春に続いて二回目となったジャパンウォーク。運動を通じて障がい者理解につながる素晴らしいイベントです。 ご協力ありがとうございました! インドへの支援物資が届きました。 毎年、サービス介助士の皆さんや関係者の方々にご寄付いただいた衣類や衛生用品、おもちゃなどが、日本ケアフィット共育機構の協力団体であるCare-Fit Indiaを通じて、現地の子どもたちや高齢者に配られました。おかげさまで、寒さの厳しい北インドにある孤児院や生活に困難を抱える家庭の、述べ200名以上の子どもたちに、日本からのクリスマスプレゼントを届けることができました。ご寄付いただいた皆さまに改めてお礼を申し上げます。今後も引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします! ■ 引き続き募集しています! ・衣類(セーター/ジャージなど) ・衛生用品(石けん/生理用品など) ・文具(鉛筆〈新品〉/ノートなど) ・かんたんなおもちゃ(ボードゲーム) ※判断が難しい場合はお問い合わせください。 ※送料はご負担ください。 ※内容(品物、個数など)をご記載ください。 皆さんの気持ちが現地の子どもたちの笑顔につながります。 問い合わせ/送付先 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 MAIL:toiawase@carefit.org 1年間おつかれさまでした! 2016年ボランティア慰労会&ワイン試飲会 12月9日(金)、日本ケアフィット共育機構本社1階のミーティングスペースで、日ごろサービス介助士としてボランティア活動に参加いただいている皆さんと、2016年の慰労会&ケアフィットファームで採れた葡萄でつくったワインの試飲会を開催しました。1年間の活動を振り返り、おいしい食事とワインを楽しんだ皆さん。いつもはイベント会場などでしか会わない人同士も仲良くなれたようです。2017年もよろしくお願いいたします! 視覚に障がいのある方の手引きを実践 第27回日本ブラインドテニス選手権 1月21日(土)と22日(日)、所沢市において第27回日本ブラインドテニス選手権が開催されました。鈴の仕込まれたボールの音だけを頼りにラケットで敵陣に打ち返す、とても高度なスポーツ。ラリーが続いたり鋭いショットが決まるたびに、観客席からはどよめきが起こっていました。真剣ながらも楽しそうにプレーする選手たちに盛んに拍手が送られ、寒い体育館での大会でしたが、とても温かい空気が流れていました。この日参加したボランティアの皆さんは、視覚に障がいのある選手や観客の手引き(案内方法)を中心にお手伝い。初めてのボランティア参加という方も多かったようですが、戸惑いながらも真心を込めてお手伝いしている様子が印象的でした。 参加者の声 サービス介助基礎検定を受講後、初めて介助ボランティアに参加してくれたNECグループの皆さん 大内 一哲さん 最初は椅子や扉の位置などをうまく伝えられなくて、結局相手の方に手探りさせてしまうところがあったり、講習を受けてやるべきことはわかっていたのですが、難しさを感じました。それでも何人かご案内しているうちに慣れてきたかなと思います。やはり頭で覚えるだけではなくて、実践することが大切ですね。 松下 直子さん サービス介助基礎検定で基礎は学んできたつもりだったのですが、即実践だったので最初は戸惑ってしまいました。学んだことを思い出しながら、笑顔を大切にして応対できたかな、と思います。 上田 尚嗣さん 相手の方の立場に立って、選手には快適にプレーしてもらえるように心がけました。ご案内の際に、見ていることをどのようにお伝えしたらいいのかといった感覚を掴みかねていて、そのあたりは今後の課題ですね。 家村 健さん 初めての手引きの実践でしたが、慣れている方のアドバイスを聞いたりその方の動きを見ながら少しずつ慣れていく感じでした。こうした体験から、高齢の方やベビーカーを持っている方などにも目を向けていきたいと感じました。 NECグループの皆さんは、サービス介助基礎検定で学んだ介助の技術や知識を生かす場として、このボランティア活動に参加されました。実践の場での学びがたくさんあったようです。 ボランティアに興味のある方、サービス介助士講習に興味のある法人、個人の方 資料請求・問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 http://www.carefit.org/ P16 Universal Tourism 学生団体flatふらっと日記 気の合う4人で始めた「学生団体flat〜ふらっと〜」。右も左もわからない、 でもなにか楽しいことがやりたい! そんな彼らの奮闘記をお届けします。 flat〜ふらっと〜って? サービス介助士資格を持つ東洋大学の同級生、「まいきー」こと谷麻衣香と「まゆつん」こと高野真優が中心となって立ち上げたボランティアサークル。大野泰平(たいちゃん)と三浦華(はな)を加えた4人で、「ユニバーサル×ツーリズム」を掲げて、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが楽しめるツアーを企画・運営しています。 11月12日(土)@お台場 レインボーブリッジ&フジテレビツアー 日記担当:はな  今日はみんなでレインボーブリッジを渡り、フジテレビに行きました。参加者は過去最多の22名と、いつにも増して賑やかでした。今回が第4弾のツアーになるのですが、リピーターの方もちらほらと! メンバーと一緒にツアーを盛り上げてくれるのが嬉しいです。それが初めて参加する人を巻き込み、ツアー全体の温かい雰囲気を作っているな、と感じます。ゴールした瞬間の参加者の笑顔、とっても素敵で印象的でした。写真の撮りがいがありました(笑)! 12月12日(月)@東洋大学 第3回学内ワークショップ 日記担当:まいきー 第3回目の今回は、ゲストに森田貴水さんをお招きして、ちょっとしたゲームや、森田さんによる手話講座で簡単な挨拶と自己紹介を教えていただきました。森田さんはwebデザイナーとして働くサラリーマンでありながら、手話サークルなどさまざまな活動をされている『Sign Monstars』の代表として活動していらっしゃいます。障がい当事者ならではの意見に、参加者も真剣に耳を傾けていました。参加者のほとんどが初対面だったにもかかわらず、森田さんが明るく気さくな方だったので、とてもいい雰囲気のワークショップでした。 大学生にお話しするのは初めてでしたが、皆さんすごく興味を持って耳を傾けてくれたことが心に強く残っています。お話ししている私までが熱くなりました。アイスブレイクでは、身振り手振りで一生懸命伝えようと思う想いが伝わりました。この想い大切にしてほしいですね。(森田さん) メンバーからのメッセージ 私たち学生団体ふらっとが目指しているのは、障がいのある方と普段そういった場面にかかわらない学生との架け橋になることです。ふらっとのワークショップは知識や経験問わず、ふらっと参加できるので、少しでも興味を持ってくれた方には積極的に参加してほしいと思います!! 学生団体flat〜ふらっと〜メンバー一同 社会人になっても、ふらっとの活動を継続させる!(まいきー) 更始一新、これまで挑戦しなかったことにあえて取り組みたいですね。(まゆつん) 健康第一!!!(はな) 楽しいこといっぱいする!(たいちゃん) “ふらっと”いっしょに楽しみませんか? お問い合わせ otoiroka@gmail.com Web http://flat-barrierfree.sakura.ne.jp/ P17 care-fit通信 サービス介助士トピックス サービス介助士導入レポート「湘南ステーションビル株式会社」 誰もが同じように買い物を楽しんでいただくために。 八木 佐千子さん 湘南ステーションビル株式会社 茅ヶ崎店 営業部 CS推進課 主任 湘南エリアの主要駅で『ラスカ』という名称の駅ビルを運営している湘南ステーションビル。地域全体の価値を高める『人に優しい駅ビル』を目指し、社員だけでなくラスカで働くすべてのスタッフにサービス介助の知識や技術の習得を推奨しています。 すべてのお客さまに安心・安全に ご利用いただける駅ビル。 当社の運営する『ラスカ』では、ご来店いただいたすべてのお客さまに安心・安全にご利用いただけるように、いろいろな取り組みを行っています。その一環として、私たちインフォメーションスタッフを中心とした、手話での応対ができる人員の育成や、店舗ごとの普通救命講習の受講などとあわせて、社員へのサービス介助士資格取得を推奨しています。 2007年からサービス介助士を導入し、2017年1月現在で全117名の社員のうち85名が資格を取得しています。また、社員だけでなく、ショップスタッフや清掃スタッフ、防災センターのスタッフも対象にしたサービス介助のセミナーを開くなど、全社的にお客さま応対に役立つ知識や技術を共有しています。 高齢者や車いす利用のお客さまが増えてきた背景もあり、誰もが同じように買い物を楽しんでいただくには、サービス介助士の技術や知識は必要不可欠なものだと感じています。 お客さまにかけていただいた 言葉に誇りを感じました。 私も2009年に入社したあと、サービス介助士の講習を受けました。資格を取ったあとは、視覚に障がいのあるお客さまや車いす利用のお客さまも自信を持ってご案内できるようになったかな、と思っています。お手伝いしたお客さまから、「皆さんに案内してもらえるからラスカに来るんです」と言っていただけたときには、とても誇らしく感じました。 先日、ショップスタッフの方に、サービス介助士の講習で使う白内障体験用のゴーグルをかけて店内を見渡してもらいました。すると、「うちのショーケース、全然見えない!」「魚の色が全然わからない!」と、その場で改善の検討が始まったんです。やはり自分で体感してみないとわからないことも多いですし、今後はショップスタッフの研修にも取り入れていきたいと考えています。 手話で応対できるスタッフは缶バッジを着用。ひと目で頼りになることがわかります。 ■サービス介助士講習地方開催のお知らせ たくさんのご要望をいただいていた地方開催が決定しました! 青森 2017年6月15日(木) 2017年6月16日(金) 会場:青森県観光物産館アスパム 仙台 2017年6月20日(火) 2017年6月21日(水) 会場:仙台青葉カルチャーセンター 金沢 2017年7月13日(木) 2017年7月14日(金) 会場:石川県文教会館 横浜 月2〜3回の開催 会場:横浜会場 今年度より、横浜会場が常設となりました。 お申し込み、お問い合わせ 日本ケアフィット共育機構 TEL:03-6261-2333 http://www.carefit.org/ P18 care-fit 通信 認知症介助士トピックス 認知症Q&A 第二回 「認知症かもしれないお客さまへの応対」 認知症のこと、どれだけ知っていますか? 認知症介助士のインストラクターが、素朴な疑問にお答えします! Q レジで困ってしまいました…  スーパーマーケットでレジを担当しています。先日、60代と思えるご婦人が買い物をしてレジに並ばれたのですが、「○○円です」とお伝えしても「はあ?」という返事。最初は耳が遠いのかと思い、大きくゆっくり「○○円です」と話しかけてみたのですが、やはり「はあ?」。2、3度繰り返してみましたが、「はあ?」と繰り返すだけでした。認知症の方だったのかもしれません。どのように応対すればよかったのでしょう。 A 数字に弱くなるのが多くの方に共通する特徴です。  認知症の場合、数字に弱くなるのが多くの方に共通する特徴です。日付が分からなくなる、計算ができなくなるといった話をよく聞きます。この例のご婦人はそれが顕著で、数字そのものの認識が難しくなってしまっているのでしょう。  認知症の方はプライドを傷つけられることをとても嫌います。「おいしいお茶がありますので、一緒に飲みませんか」とお伝えし、事務所でゆっくりお話しを聞くなど、無理に家族の住所などを聞きだそうとせず、リラックスできる環境で、ご婦人に寄り添いながら、記憶を呼び戻していくことでヒントが得られるかもしれません。認知症の方に対しては「寄り添う」ということがとても大切です。 回答者 宮本若菜 専門学校の非常勤講師を経て、現在サービス介助士・認知症介助士インストラクター。確かな知識と終始笑顔で穏やかなインストラクションに定評がある。 認知症介助公開セミナーに参加してみませんか? 認知症介助士とは? ◯おもてなしの心と、認知症に関する正しい知識を持っている ◯認知症の人を受け入れ、寄り添える存在である ◯地域のつなぎ役として、社会に貢献する役割を持った人である 日本ケアフィット共育機構が公認する検定試験に合格すると資格が与えられます。 認知症介助公開セミナーではどんなことを学べるの? インストラクターによる講義とディスカッションなどでお伝えするセミナーです。 「認知症の基礎知識」「グループワーク」「具体的な応対方法の検討」などを経て認知症に対する理解を深め、最後に認知症介助士の検定試験を行います。認知症に対する理解をより深めたい方、職場や地域で認知症の人への適切なケアを身につけたい人に最適です。 受講料 : テキスト付19,440円(税込) テキストをお持ちの方16,200円(税込) お問い合わせ 開催日程とお申し込みに関しては、日本ケアフィット共育機構のホームページまたはお電話にてお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 TEL:0120-0610-64 http://www.carefit.org/ P19 防災介助士トピックス 『視覚障害者と支援者のための 防災イベント』に参加しました! 1月14日(土)、日本点字図書館で『視覚障害者と支援者のための防災イベント』が開催されました。このイベントは、障がいのある方自らが取り組む防災プログラムとして毎年開催されており、今年は晴眼者向けのガイドヘルプ体験、起震車体験、防災グッズの販売などが行われました。そのなかで、日本ケアフィット共育機構の防災介助士インストラクターが、視覚障がい者及びガイドヘルパー向けに、自らの命を守るための「自助」の大切さと応急手当方法についてお伝えしました。 【視覚に障がいのある方への避難誘導のポイント】 ・災害時に単独での避難は難しいので、視覚障がい者を見かけたら、すぐにお手伝いを申し出ましょう。 ・視覚障がい者にとっては視覚での情報収集が困難なので、周囲の状況をなるべく具体的に伝えましょう。 ・避難誘導は基本的に手引き(誘導方法)で行いますが、災害の種類により緊急を要する場合は、おんぶをしたり、リヤカーに乗ってもらったりしましょう。 参加者 岩本謙司さん 見える人にとっては「溢れかえる情報」が、我々にとっては希少価値になります。ちょっとしたことで学べることが多いので、その意味でも、今日の講習はとても楽しく参加させていただきました。 主催者にお聞きしました。 社会福祉法人日本点字図書館 副館長 長岡英司さん Q 開催してみていかがでしたか? A 私も、この防災イベントで起震車に乗り、震度7を体験しました。驚くほどの揺れでした。実際にこのような揺れに遭遇したらどうなるのか、改めて日頃の備えの大切さを実感しました。 社会福祉法人日本点字図書館 常務理事・館長 杉山雅章さん Q 今回のイベントの趣旨を教えてください。 A 災害が発生した際に、視覚に障がいのある方が周囲の状況を把握することは困難です。避けられない災害を最小限にとどめるために、いかに事前準備をするかは、視覚障がい者にとって特に大切なことなのです。このイベントがその準備の一助になればと思っています。 社会福祉法人日本点字図書館 視覚障がい者の読書環境向上を目指し設立された施設。点字図書や録音図書の製作・貸し出し、便利グッズの販売を行っている。 〒169-8586 東京都新宿区高田馬場1-23-4 TEL:03-3209-0241 http://www.nittento.or.jp/ P24(誌面構成に対応し、逆順で抽出。P20まで) 特集 行こうよ! ボランティア! 〜一歩を踏み出せば、世界が広がる!〜 ひと昔前と比べればずいぶん身近になったボランティアですが、実際に活動に参加したことがある人はそれほど多くないかもしれません。興味はあっても、「どんなところで募集しているのかわからない」「自分にできるとは思えない」と構えてしまっている人もいるかもしれません。 でも、実はボランティアはとても手軽に、楽しく参加できるものなんです。今回は、先輩ボランティアの密着レポートや、ボランティアとよい関係を築きながらイベントを運営している企業・団体の方へのインタビューをお届けします。まずは一歩を踏み出して、自分の世界を広げてみませんか?  密着レポート 教えて先輩! ボランティアってどんな感じ? サービス介助士 齊藤 絵美さん 現場の声 共に笑い、共に創る ボランティアの力!! 取材協力 NPO法人日本ブラインドサッカー協会 佐藤 豪さん ライオンズクラブ国際協会  330複合地区ガバナー協議会 マーケティング・コミュニケーション委員会 副委員長 伊澤 憲二さん 東京ヴェルディ1969 フットボールクラブ株式会社 試合運営部 試合運営グループ兼ボランティア事務局長 新井 隆法さん 普及部 普及グループ 竹内 涼子さん P23-20(誌面構成に対応し、逆順で抽出。) 教えて先輩! ボランティアってどんな感じ? ボランティアに興味はあるけど、どうやって参加すればいいのかわからない… そんな方のために、ボランティアの先輩、齊藤絵美さんにお話しを聞いてみました。 絵美さんは「誰かの役に立つことはなんでもやる!」がモットーの25歳。 とってもわかりやすくボランティアのことを教えてくれました。 密着レポート 絵美さんに1日密着! 12月24日(土)、JIFF(日本障がい者サッカー連盟)が開催した『JIFFインクルーシブフットボールフェスタ2016』で、絵美さんに密着させてもらいました。 10:00 全体ミーティング。今日のイベントについて確認 当日のみ参加のボランティアとはいえ、スタッフの一員。わからないことがあればしっかりと先輩や運営スタッフに確認します。 11:00 コートで子どもたちをサポート 特にサポートが必要そうな子は常に視野に入れて、その子も周りの子も危険がないように。全体を見て、一番必要なことを判断します。 12:00 細かいところまで目配り こまめに靴を整理したり、入口のネットを束ねる絵美さん。誰もが居心地よく過ごせるように、少しのバリアであっても取り除く目配りが大切です。 14:00 アンプティサッカーの体験コーナーをサポート ボール拾いやビブスの受け渡しを担当。参加者が安全に楽しめるように見守りながら、笑顔で声をかけます。 16:00 子どもたちへのクリスマスプレゼントを準備 ボランティアは縁の下の力持ち。次の段取りを考えながら、自主的に行動できるかどうかも重要です。 17:00 お疲れさまでした!最後はみんなで記念撮影 優しさと思いやりが一番大切だということをみんなが知っているボランティアの仲間同士。「一度一緒にお手伝いすればすぐ仲良くなれます」。 絵美さんに質問! 素朴な疑問をぶつけてみました。 ――ボランティアはどんなところが楽しいですか? いろいろな人と関われるところと、知らなかった知識を得られることです。利害関係や上下関係がなく、純粋にイベントを楽しみに来ている人たちと触れ合えるのはとても楽しいです。 ――お手伝いするときにはどんなことに気をつけていますか? 『誰に対してもフラットに関わる』ということです。たまたま苦手なことをサポートしているだけですからね。あとは笑顔。コミュニケーションの基本です。 ――ボランティアの皆さんは仲がいいのですか? 以前一緒にお手伝いした方と別の現場でお会いすることも多いので、自然と仲良くなりますね。皆さんとてもいい人ばかりですよ。 ――どんな基準で参加するイベントを選んでいますか? 私の場合、スポーツが好きなので、スポーツイベントが中心です。自分が興味のある分野の方が参加しやすいと思います。 ――初心者はどんなイベントを選ぶとよいでしょう? 規模の大きいマラソン大会などのメジャーなイベントであれば、ボランティアも体系化されているので、戸惑うことも少ないと思います。 ――ボランティアを始めてみたい人にひとことお願いします。 一度参加してみると、そこに関わっているいろいろな方と出会えますし、自分自身の学びも多いので、まずは一歩を踏み出してみてほしいですね。私たちもサポートします! Interview インタビュー 「ボランティアは、私にとってとても意義のあること」  大学時代に日本ブラインドサッカー協会でインターンをしていたのですが、運営として携わっていた大会の会場で、日本ケアフィット共育機構さんが運営のサポートをしてくれていたんです。ボランティアの皆さんは、困っていることをフォローしてくれる、とても頼りになる存在でした。  卒業後、一般企業に就職したのですが、日常生活を充実させたいという思いと、私の好きなサッカーやスポーツのイベントをサポートしてみたいと思い、サービス介助士の資格を取って、ボランティアとしてイベントに携わるようになりました。なので、実はボランティア活動歴はまだ1年ちょっとなんです。  ボランティアに大切なのは、『相手が何をしてほしいのかを察する力』と、『一歩を踏み出す勇気』だと思います。慣れていない人にとっては声をかけるのはとても勇気がいることだと思いますが、「大丈夫ですか?」「お手伝いしましょうか?」とひと声かける勇気を持つことで、いろいろな人と知り合えて、いろいろなことを学べる。それは私にとって、とても意義のあることだと思っています。 昨年、サービス介助士の資格を取得した齊藤さん。「正しい知識と正しい接し方を学べたので、ボランティアの現場でも日常生活でも役に立っています」。 現場の声 共に笑い、共に創る ボランティアの力!! 日本ケアフィット共育機構と関係の深い団体の方々に、ボランティアの皆さんの活躍ぶりと、受け入れ側の現状や課題についてお聞きしました。 それぞれのお話しのなかから、ボランティアとしてイベントに参加することの意義やボランティアの楽しみ方が見つかるかもしれません。 会場の雰囲気づくりまでサポートしてくれています。 NPO法人日本ブラインドサッカー協会  チーフ さとうごう 佐藤 豪さん  私たちの開催する大会で、一般ボランティアの方には会場準備や一般のお客さまのご案内を、サービス介助士の皆さんには主に障がいのあるお客さまのご案内などをお願いしています。皆さんには、私たちが大切にしている『障がいの有無に関わらず誰もが楽しめる雰囲気づくり』まで含めたサポートをしていただけていると感じています。常に笑顔でどんな方にも気持ちよく接してくれるおかげで、会場の雰囲気がぐっと明るくなるんですよ。  私は、障がい者スポーツの現場は、障がいのある方と接したり、視覚障がいのある選手たちが走り回る姿を見たりすることで、ひとつの気づきの場になり得ると思っています。ボランティアとして参加してくれた皆さんにも、助け合いの精神や障がい者理解といった、普段の生活ではなかなか感じられないものを見つけていただけたらと思っています。  私たち運営側の課題としては、ボランティアの皆さんにも参加してよかったと思っていただけるよう、さらに環境を整える必要があると考えています。スケジュール管理や役割分担などを整理して、お客さまも選手もボランティアも、誰もがブラインドサッカーを楽しめる場にしていきたいですね。 皆さんのサポートで継続が可能になりました。 ライオンズクラブ国際協会  330複合地区ガバナー協議会 マーケティング・コミュニケーション委員会 副委員長 いざわけんじ 伊澤 憲二さん  年に一度開催している、「車いす利用者江の島見学会」のサポートをお願いしています。藤沢市内の老人介護施設の入所者や市内に在住の車いす利用の方を江の島の頂上にご案内する催しで、今年で9回目を迎えました。2年前から東洋大学の学生さんにボランティアとして参加していただいています。  ほとんどの皆さんがサービス介助士の資格をお持ちなので、しっかりした介助技術がありますし、なにより参加者が、学生の皆さんと接することでとても元気になってくれることが一番ありがたいかもしれません。私たちとしても、ライオンズクラブの活動を学生の皆さんに理解してもらえるのは嬉しいですし、学生の皆さんも、参加者や私たちのような社会人と接する機会はなかなかないでしょうから、よい経験になっているのではないでしょうか。  もともとライオンズクラブのメンバーだけで始めた企画で、運営資金やマンパワーといった課題もあり、先細りになりかねなかったところを、ボランティアの皆さんのサポートを得たことで、継続が可能になったと感じています。地元の皆さんや自治体の協力も得ながら、もっと裾野を広げて、いろいろな方に参加してもらえるようにしていきたいですね。 共につくりあげるファミリーだと思っています。 東京ヴェルディ1969 フットボールクラブ株式会社  試合運営部 試合運営グループ 兼ボランティア事務局長 あらいたかのり 新井 隆法さん 普及部 普及グループ たけうちりょうこ 竹内 涼子さん  私たちのクラブの規模だと、会場づくりから試合の運営まで少数のスタッフでこなさなければならないため、お客さま一人ひとりへの手厚い応対が難しいケースもあるのですが、ボランティアの皆さんにお手伝いしていただくことで細かい部分までサポートできるようになり、とても助かっています。  また、運営改善のために情報をキャッチアップしたくてもなかなか手が回らない私たちにとっては、サービス介助士資格をお持ちで経験豊富なボランティアの皆さんから、ほかのイベントがどのように運営されているかといった情報を教えてもらえるのはとてもありがたいです。私たちは、皆さんのことを共にイベントをつくりあげてくれるファミリーだと思っています。  後は、サービス介助士の皆さんの力を借りて、スタジアム内で介助技術をレクチャーするイベントを開催するなど、一般のお客さまも障がい者理解を深められる機会がつくれたら、と思っています。2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックで東京ヴェルディのサポーターがボランティアとして活躍してくれるようになったら嬉しいですね。 P29-25(誌面構成に対応し、逆順で抽出。) Interview with leader 株式会社JR東日本ステーションリテイリング 代表取締役社長 かいせあつし 貝瀬 厚さん 社会課題の解決のために、 取り組みを進化させていきたい。 駅という多くの人が集まる空間で、商業施設『エキュート』を展開しているJR東日本ステーションリテイリング。 すべてのお客さまに優しいサービスを提供することを目指して、 施設もそこで働く人たちも、時代に合わせて進化し続けています。 サービスに対する取り組みや社会に貢献する企業としての姿勢を聞きました。 『駅を変える』ことを目的に、 半歩先のサービスを提供。 ――業務の内容についてお聞かせください。  『エキュート』という、いわゆるエキナカの商業施設を運営しています。会社の設立は2003年で、現在は大宮、品川、立川、日暮里、東京、そして神田万世橋の6ヵ所でエキュートを展開しており、主に駅を利用されるお客さまに対して、食物販や雑貨の販売を中心にしたサービスをご提供しています。  当社では設立当初から、JR東日本の推進する新しい駅づくり『ステーションルネッサンス』の一環として『駅を変える』というミッションを掲げており、それまでは通過するだけという単純な機能しか持っていなかった駅を、お客さま視点で見直し、お客さまが求めるものをきちんと考えたうえで、将来を見据えて改良していくというのが当社の事業の根本となります。 ――業務においては、どのような点に力を入れていますか?  私たちが大切にしているのは、『お客さまの考える半歩先をご提案する』という意識ですね。お客さまに直接ご要望を伺うと、「本屋がほしい」「カフェがほしい」といった、既存のものを望むお答えが多いんです。これは、いわばお笑い芸人や落語家がお客さまに「どうしたら笑ってくれますか」と聞くようなもので、お客さまご本人に尋ねても、無意識に求めているニーズはつかめないということなんですね。  そこで必要なのは、『今までなかったもの』をご提案する、という考え方です。例えばギフトコーナーの充実ですね。実は、エキュートでは男性のお客さまが家族へのお土産にスイーツを購入されることが多いんです。お父さま方に、スイーツというモノではなく、家族との幸せな時間というコトを買っていただく。そのためのご提案が大切で、そのご提案を通してお客さまに喜びや幸せを感じていただくことこそが、私たちが目指すべきサービスだと思っています。 すべてのお客さまに 優しい駅でありたい。 ――お客さまへの応対ではどのような取り組みを行っていますか?  当社のサービスコンセプトに『ハートフルステーション』という言葉があります。すべてのお客さまに優しい駅でありたい、という思いから発想された言葉で、施設面では、鉄道施設と一体となったエスカレーターやエレベーター、わかりやすいサインといったバリアフリー設備、照明のLED化による店舗の省力化や省エネ対応の空調設備の設置を行っています。一方、ソフト面はなかなか見える化しにくい部分がありますし、忙しい時間帯にはつい型どおりの接客に流されてしまうこともあると思うのですが、当社では社員全員にサービス介助士資格の取得と救命講習の受講を義務付けていて、ショップのキャスト(販売員)の方にも資格取得を推奨しており、ショップマスター(店長)には全員サービス介助士の受講をしてもらっています。  また、ショップのキャストの皆さんに対してはキャリアアップ制度を採用しており、年に数回、特典と組み合わせた試験と覆面調査を実施しています。これらの施策を通してスキルアップすることで、既存のエキナカとは異なる、お客さまに感動を与えられる接客を実現できると信じています。 ――そこまでサービスを徹底されるのはなぜですか?  エキュートは、エキナカという立地の性質上、ご高齢の方や障がいのある方など、お手伝いの必要な方のご利用が比較的多い施設です。ですから、それにふさわしい形に進化していく必要があると思っています。また、社会に目を向けると、高齢化や少子化といった課題があります。当社では設立当初からご高齢の方でも使いやすいようにバリアフリーを基本とした設計を行ってきましたし、立川駅のリニューアルに際しては、子育て世代のお客さまのニーズを考えて、託児施設を設けました。こうした社会的な課題に対してできることをやっていくということも、我々の義務だと思っています。 地域との繋がりを大切に、 街の魅力を発信していく。 ――『マチコト』という社会貢献活動を行っていると伺いました。  『マチコト』は、エキュートのある駅周辺地域の皆さんと一体になって、その地域の魅力を発信していこう、という取り組みです。例えばエキュート日暮里では、地元にある東洋大学の学生さんと街歩きマップを作成して、駅を訪れる人に紹介しています。マーチエキュート神田万世橋では、地元の方にご協力いただいて実施した神田川の水上観光ツアーがとても好評でした。また立川駅では、エキュートをリニューアルした際に新しくできた『エキュートosoto』の天井や陳列棚に地元の多摩産材を使用したのですが、それに加えて都の森林組合から、休憩スペースで使えるようにと、多摩産材でつくったテーブルの天板をご寄贈いただきました。私たちの取り組みが地域のよい「モノ」のご紹介に繋がったのを実感できて嬉しかったですね。  駅では、我々だけでの事業は成り立ちません。地域や街が元気になってその街を訪れる人が増えてくれれば、地域の方々にも喜んでいただけるし、駅にとってもありがたいことです。これからも、普段通勤や通学で何気なく通過している駅にこんな魅力があったのか、というところに気づいていただける取り組みを続けていきたいですね。 ――社員の皆さんが積極的にボランティアに参加されているそうですね。  はい。車いすラグビーやブラインドサッカー、パラトライアスロンなどの障がい者スポーツの現場でボランティア活動に参加しています。会社としての社会貢献という意味もありますし、サービス介助士資格で身につけた技術をボランティアという実践の場で活用して、普段の業務でのご案内に生かしていけるという相乗効果もあると感じています。  実際に、店舗でご案内をしている際に、視覚に障がいのある方から頻繁に案内を頼まれるようになったという声も聞かれます。的確なご案内を続けてきたことで、お客さまにもここの人なら頼りになると思っていただけるようになったのでしょう。とても嬉しいですね。 ――今後に向けてメッセージをお願いします。  日本を代表する駅でお客さまのためになる事業を展開できるのはとてもありがたいことだと思っています。駅を変えるという作業には終わりがありません。幸い当社には若くて意欲的な社員が揃っていますので、どんどん新しいことを試して、日本の社会課題の解決に少しでも貢献できるように、取り組みを進化させていきたいと思います。 「年末年始に店頭に立っていて、お客さまから温かい言葉をかけていただけたのが嬉しかったですね」と語る貝瀬社長。 社員全員が携帯するブランドブック。行動指針から会社の理念に沿った具体的な取り組みまで紹介されている、社員のバイブル。 2013年開業のマーチエキュート神田万世橋。進化し続ける『エキュート』では、社員、キャスト(販売員)が一体となってサービスの向上に努めている。 より高まる社会貢献活動の意識 企業×ボランティア 東日本大震災の復興支援を契機として、 社会貢献活動を推進する企業が増えています。 ボランティア休暇の推奨や資格、表彰の導入など、 企業を挙げて社会への貢献を行うことは、 もはや当たり前の時代に入っていると言えるかもしれません。 実例1 スポーツイベントでの取り組み JR東日本ステーションリテイリングでは、車いすテニスやブラインドサッカーといった障がい者スポーツの大会をお手伝いするボランティア活動に、社員の参加を推奨しています。 株式会社JR東日本 ステーションリテイリング 代表取締役社長 貝瀬 厚さん 駅というのはさまざまな方が利用されますが、そのすべての人に優しい駅でありたいというのが当社の根本理念です。ですから、自分たちの職場だけでなく、社会のなかでご高齢の方や障がいのある方のためにできることをするというのは当然のことと捉えています。また、実際にボランティアの現場でさまざまな方と接することで、その経験を職場でのご案内に生かせるという相乗効果が得られる点も、非常に意義があると思います。 実例2 地域貢献の一環としての取り組み 湘南ステーションビルでは、街の清掃や地域の子どもたちの職場体験、チャリティコンサートなど、地域に密着した活動に取り組んでいます。 湘南ステーションビル株式会社 茅ヶ崎店 営業部 CS推進課 主任 八木 佐千子さん 当社は創業以来、地域に貢献するショッピングセンターを目指しています。街の清掃活動もその理念に則った取り組みのひとつで、私にとっては入社当初から当たり前の光景ですね。また、お客さまから店舗内のことだけでなく街の情報を聞かれることも多いので、できる限りお調べしてお答えできるようにしています。お客さまも喜んでくださいますし、私自身も勉強になるので積極的に地域の情報収集に努めています。 POINT 東日本大震災を契機に意識が高まった企業ボランティア 一般社団法人日本経済団体連合会の調査によると、2011年度の企業による社会貢献活動支出額は1社平均でおよそ5億7,100万円。そのうちの東日本大震災関連を除く額はおよそ3億7,100万円でした。2015年度の社会貢献活動支出額は1社平均でおよそ5億4,000万円ですが、震災関連を除く額はおよそ5億2,100万円でした。つまり、震災をきっかけに高まった社会貢献への意識は、下がるどころかより高まっていると言えます。 「社会貢献活動支出額(1社平均)の推移」 出典:一般社団法人日本経済団体連合会「2015年度社会貢献活動実績調査結果」をもとに作成(http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/092.html) P30 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2017 Spring Vol.11 CONTENTS 29 Interview with leader 社会課題の解決のために、 取り組みを進化させていきたい。 株式会社JR東日本ステーションリテイリング 代表取締役社長 貝瀬 厚さん 25 より高まる社会貢献活動の意識 企業×ボランティア 24 特集: 行こうよ! ボランティア! 23 密着レポート 教えて先輩! ボランティアってどんな感じ? サービス介助士 齊藤絵美さん 21 現場の声 共に笑い、共に創る ボランティアの力!! NPO法人日本ブラインドサッカー協会 佐藤 豪さん ライオンズクラブ国際協会 伊澤憲二さん 東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社 新井隆法さん/竹内涼子さん 17 care-fit通信 16 学生団体flat〜ふらっと〜 ふらっと日記 13 ボランティア活動TOPICS 12 おも活 10 未来創人〜みらいつくりびと 加藤 篤さん 09 ケアフィットファーム勝沼レポート 04 ロングインタビュー トヨタ東京カローラ株式会社 向井英夫さん トヨタアルバルク東京株式会社 林 邦彦さん 次号予告 『紲 Kizzna』vol.12は 2017年5月25日(木)発行予定です。 読者プレゼント アンケートに答えて 山梨の美味をゲットしよう!! ケアフィットファームで採れたぶどうからつくった赤ワイン・白ワインセットまたは、山梨産のドライフルーツ詰め合わせセット(りんご・柿・キウイ)を抽選で各2名様にプレゼントいたします! 応募方法 QRコードからアンケートにお答えいただき、ワインセットまたはドライフルーツセットのどちらかご希望の品物とケアフィットファームへの応援メッセージをお書き添えのうえご応募ください。 ※応募締め切りは2017年4月30日(日)とさせていただきます。 ※当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。 ※いただいた個人情報は、当機構プライバシーポリシー (https://www.carefit.org/privacy.php)に則り、適正に扱います。 ※ワインセットのご応募は20歳以上の方に限ります。未成年者の応募はできませんので、あらかじめご了承ください。 応募QRコード https://qooker.jp/Q/auto/ja/kizzna10/11/ 応募締め切り 2017年4月30日(日) 日本ケアフィット共育機構の フェイスブックページのご案内 日本ケアフィット共育機構の活動報告やイベント告知をアップしています。現場からの生の声もたくさん。あなたの「いいね!」をお待ちしております! https://www.facebook.com/ ncsa.carefit/?fref=ts P31 すべての人に やさしい社会をめざして 日本ケアフィット共育機構が ご提供する3つの学び 防災介助士 災害にどのように備えるか、 災害時にどのように 行動するかを 理解、実践する資格。 サービス介助士 高齢の人や障がいのある人を お手伝いするときの 「おもてなしの心」と 「介助技術」を学ぶ資格。 認知症介助士 誰もがなり得る 認知症について、 正しい知識と 応対方法を学ぶ資格。 わたしたちは、心豊かな共生社会の創造に向けて、共に育み、実践し、場をつくります。 ケアフィットファーム 耕作放棄地を再生、有効活用し、高齢な人や障がいのある人も共に働ける場をつくっています。 ボランティア活動 資格取得者を中心に広く呼びかけ、お手伝いする方、される方の境界線がない楽しいボランティアを目指しています。 セミナー・シンポジウム 資格取得とは別に企業様向けの研修セミナーを展開。研究発表の場としてシンポジウムを開催しています。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB:http://www.carefit.org/ H4 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2017 Spring Vol.11 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい Interview with leader 社会課題の解決のために、 取り組みを進化させていきたい 株式会社JR東日本ステーションリテイリング 代表取締役社長 貝瀬 厚 特集 : 行こうよ!ボランティア! 〜一歩を踏み出せば、世界が広がる!〜