H1 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2017 Summer Vol.12 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい ロングインタビュー ユニバーサルデザインアドバイザー 松森 果林 未来創人/横山 万里子 一般社団法人 HAND STAMP ART PROJECT ボランティア活動 TOPICS Fly high with pride. 胸を張って、前へ。 ? P2 KIZZNA vol.12 Theme 一歩前へ 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」紲。 第12号のキーワードは「一歩前へ」です。 なにかを成し遂げようとするときや、なにかを乗り越えようとするとき。 思わぬ困難に突き当たって、疲れ切ったり、 途方に暮れたりしてしまうこともあるかもしれません。 今回ご紹介するのは、ときに迷い、ときに遠回りしながらも、 常に前を向いて一歩ずつ歩みを進める人たちと、歩みを進めようとする人を支える人たちです。 そんな彼らの言葉が、読者の皆さんが新たな一歩を踏み出すきっかけになれば。 そんな思いを込めてお届けします。 ? P3 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2017 Summer Vol.12 お悔やみ 網走にて地域社会の環境作りに尽力し、長くサービス介助士の普及に努めていただいた新海康孝さまに、謹んでお悔やみを申し上げます。 日本ケアフィット共育機構 読者プレゼント 巻頭インタビューにご登場いただいた松森果林さんの著書(各1名)を、松森さんのサイン入りでプレゼント! 下記のQRコードをスマートフォン等で読み込むか、URLよりアクセスしてアンケートにお答えのうえ、奮ってご応募ください! 応募QRコード https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/kizzna/12/ 応募締め切り 2017年7月31日(月) ※当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。 ※いただいた個人情報は、当機構プライバシーポリシー(https://www.carefit.org/privacy.php)に則り、適正に扱います。 発行人 畑中 稔 発行所 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 URL: http://www.carefit.org E-mail: toiawase@carefit.org 製作 タクトシステム株式会社 制作 株式会社フリート 編集長 中川純一 編集 城田晃久 取材・文 城田晃久 相馬佐江子 撮影 西原樹里 平野慎一 岡村智明  アートディレクション&デザイン 笛木 暁 印刷 日経印刷株式会社 本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、転載することは禁じます。 ?Kizzna 2017 Printed in Japan ? P4-7 誰もがかけがえのない、 ユニバーサル社会を目指して。 聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐ ユニバーサルデザインアドバイザーとして活躍している松森果林さん。 「みんなが一緒に楽しむにはどうすればよいか」を常に考え、製品やサービス、そしてエンターテイメントにもユニバーサルデザインの考え方を広める活動を行っています。 聞こえないことを強みと捉え、人生を前向きに歩む松森さんにお話しを聞きました。 ユニバーサルデザインアドバイザー 松森 果林さん Profile まつもり かりん 1975年生まれ。群馬県出身。筑波技術短期大学デザイン学科卒。小学4 年生で右耳を失聴、中学から高校にかけて左耳も聴力を失う。現在はユニバーサルデザインアドバイザーとして、東京国際空港(羽田空港)国際線旅客ターミナルビルのユニバーサルデザインなどに携わる。来たる8月に都内で開催されるソーシャルエンターテイメント「ダイアログ・イン・サイレンス」を監修。著書に『誰でも手話リンガル』(明治書院)、『音のない世界と音のある世界をつなぐ』(岩波ジュニア新書)など。 元内閣府障害者政策委員。NHK E テレ「ワンポイント手話」に出演中。 「みんなと同じようにする必要はない。 世界は多様性に満ちているんだよ」って。 ―― 松森さんのお仕事についてお聞かせください。  まず、バリアフリーという言葉は皆さんもご存知だと思いますが、バリアフリーは「今あるバリアをなくしていく」考え方で、ユニバーサルデザインは「最初からバリアをつくらない」ようにしていくことです。どちらも必要なことなんですよ。私は今、ユニバーサルデザインアドバイザーとして、講演や執筆、大学の講師などを務めながら、聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐためのアドバイス等を行っています。今年度からは、羽田空港内で手話ができるスタッフを増やすお手伝いや成田空港のユニバーサルデザイン検討委員会も始まりました。  私がユニバーサルデザインに興味を持ったのは、大学時代に東京ディズニーランドのバリアフリー研究をしたことがきっかけでした。聞こえる人も聞こえない人も、一緒にディズニーランドを楽しむためにはどうすればいいのかを提案したのですが、それがとても楽しかったんです。その後、オリエンタルランド勤務を経てフリーランスとなり主に企業に対して製品やサービスのアドバイスをする仕事をしてきましたが、大きな転機となったのは羽田空港の国際線旅客ターミナルビルのユニバーサルデザインに関わったことですね。 ―― 別の取材(P20〜 P29 参照)で国際線旅客ターミナルビルに行く機会があったのですが、とても利用しやすい建物だと感じました。  清潔感もあって楽しい場所ですよね! できる限り多くの人にとって利用しやすく、気持ちの良いサービスや環境を追求するのがユニバーサルデザインなんです。ターミナルをつくるにあたり、当事者参加型のワークショップが開かれ、関係者や有識者のほか、聴覚障がい者、視覚障がい者、車いす利用者、外国人、高齢者などさまざまなメンバーが集まって、誰もが利用しやすい空港にするために、約 2 年半で 38 回も話し合ったんです。  私にとってそれはとても楽しい体験でした。ときには障がいのニーズがぶつかることもあるんです。例えば、視覚障がいのある人を誘導するための点字ブロックが、車いす利用者やスーツケースを使う人にとってはバリアになってしまう。そんなときには必要性と目的を明確にし、より安全なのはどちらか優先度を決めていきます。そうした仕事の進め方は勉強になりましたし、どこまで歩み寄れるかチャレンジする楽しさも感じました。 ―― お互いが歩み寄ってものごとを進めていくというのは、人と接するどんなときでも大切な考え方だと思います。  私は、コミュニケーションはゲームのように楽しんでもよいのではないかと思っているんです。例えば、私が飲食店で聞こえないことを伝えると、店員さんが慌てて引っ込んでしまって、なかなか注文を取りに来てくれないことがありました。しばらく経ってから店長さんが出てきて筆談で応対してくれたり。そんなに身構えなくてもいいのに(笑)。  そんなときは、立場を変えて考えてみてほしいと思うんです。聞こえる人たちの多くは、聞こえない人たちとのコミュニケーションを難しく感じると思うのですが、逆に考えれば、聞こえない私たちも、手話ができない人とのコミュニケーションは大変だな、と感じるんです。立場を変えればお互いさま。それを理解できたら心が豊かになるし、自分の世界も広がっていくのではないでしょうか。手話がわからなければ筆談という方法もあるし、紙がなければ手のひらでも空間でも文字は書けます。今はスマートフォンの音声認識アプリも浸透していますしね。聞こえる側の人も聞こえない側の人も、もっと目の前の人とのコミュニケーションを楽しむ意識を持てるようになったらいいな、と思います。 ―― 徐々に耳が聞こえなくなるという辛い経験をされながら、そんなふうに前向きに考えられるようになったのはなぜですか?  私の耳は、高校2年生のときにほぼ聞こえなくなってしまいました。授業も聞こえない。友だちの声も自分の声すらも聞こえない。こんな状態で生きている意味があるのか、どんなに考えてもわからなくて。そしてある冬の日、吹雪のなかに身を投げだして、自殺未遂をしたんです。命は取り留めたものの、よかったとも思えずに毎日泣いてばかりいました。そんな私に、父が一言紙に書いて見せてくれました。「お前の涙を見ているといっそのことお父さんたちも聞こえなくなればと思う。できることなら変わってあげたい。でも、もしお父さんが同じ立場だったら、絶対に乗り越えるぞ」。この言葉が私を支えてくれました。両親は、ただ「がんばれ」と言うだけではなくて、私の気持ちに寄り添って励ましてくれたんです。それで私も、少しずつ現実と向き合っていこうと思えたのだと思います。 ―― ご家族の支えがあったのですね。  同じころ、学校の先生も「聞こえなくなってもあなたの価値は変わらないんだよ」と言ってくださいました。そして「でも、外見はほかの生徒と変わらないあなたに、どう対応すればいいのかわからない」と言われたときに、聞こえないことは外見でわからないんだ、ということに気づいたんです。それまでは自分だけが苦しい思いをして悩んでいると思い込んでいたのですが、それは伝えようとしないと伝わらないんだ、と。  それで校長先生に聞こえなくて困っていることを打ち明けて、少しずつサポートしてもらえるようになり、友だちとも筆談を通じてコミュニケーションを取れるようになりました。今思い返すと、思春期まっただなかだった私は、この苦しみを誰かにわかってほしい、でも自分が聞こえないことを周りに知られたくない。そんな気持ちのはざまで、ひとりですったもんだしていたんです。もし今の私がその頃の自分に会えたら、こう言ってあげたいです。「みんなと同じようにする必要はない。世界は多様性に満ちているんだよ」と。 ―― 松森さんの著書にある「聞こえる世界と聞こえない世界の架け橋になりたい」という言葉がとても印象に残っています。  私は中途失聴者なので、聞こえる世界と聞こえない世界、そしてその間の聞こえにくい世界を知っています。その経験を持つ私だからこそ、できることがあると思っています。私には、今でも大切にしている言葉があります。大学時代の恩師の「今の社会は健康で元気な人を基準としてつくられている。だから君が生活しにくいんだ。バリアは障がい者ではなく社会や環境がつくっているものなんだよ」という言葉です。例えば、私は映画を見るのが趣味なのですが、日本映画には字幕がないので、聞こえる家族や友人と楽しめないのです。2016年のデータでは、年間で公開された日本映画610本のうち、字幕がついた作品は13%しかありません。一方テレビでは、対応可能な番組には字幕が付与されていますが、CM は2010年まで字幕がなかったのです。そこで「CM にも字幕を!」という活動を始めました。20年間の活動を通して字幕つきCM を実現しているのは現在13社ほど。社会のバリアを、少しずつでも無くしていきたいですね。 ―― 近所のお母さんたちと一緒に「井戸端手話の会」を開催されていると伺いました。  今のマンションに引っ越してきた当時、同じマンションに息子の同級生が20人以上いたんです。当然お母さん方も20人以上いるわけですから、ここで子育てするにはお母さんたちとのコミュニケーションが欠かせないと思って、勇気を出して自分から聞こえないことを伝えていくなかで、手話に興味を持ってくれるお母さんが増えてきたのが始まりです。週に1回集まって、学校や地域の情報交換や、子育ての悩み、日常生活などを手話でおしゃべりするのですが、いまや私がいなくてもお母さんたちのなかで教えあっていて、地域の小学校で毎年夏休みに開かれる手話講座では、全員が先生を務めているんですよ。ランチや遊びにでかけるときには、手話通訳体験をしてもらうこともあります。こんなことを15年も続けていると、お母さんたちから子どもたちへ手話が広がって、手話が使える子どもたちも増えますし、お母さんたちが自分の職場で手話を広めて、いまや街の本屋さんやカフェ、衣料品店などに、手話で接客するお母さん方がたくさんいるんです。 ―― まるで共生社会のひな型を見ている気がします。最後に松森さんの目標と、皆さんへのメッセージをお願いします。  「英語で“Thank you”と言えるように、手話で“ありがとう”が言える社会」をつくりたいですね。それから、子どもたちにとってよりよい環境をつくっていきたいと思っています。生まれてくる子どもたちが、障がいのあるなしにかかわらず同じように祝福されて同じように育つことができる社会、昔の私のように違いを隠すことなく、誰かと同じことをする必要もなく、一人ひとりがかけがえのない存在として役割を持てるようなユニバーサル社会が理想です。  そして、以前の私のようにバリアに悩んでいる人たちに「前へ、前へ」という言葉を贈りたいですね。立ち止まったり座り込んだりしてもいい。でも、いつでも前を目指す気持ちを忘れずにいること。私も挫けそうになることはよくありますが、100回ダメでも、101回目にはなにかにつながるかもしれないと信じて、前に向かって活動を続けていきたいと思います。 聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐために、積極的に講演活動や執筆活動を行う ときには立ち止まったり座り込んだりしても、 前へ、前へ。 聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐ便利ツール 「音声認識アプリは私のコミュニケーションをがらっと変えてくれました」と語るほど松森さんが使い込んでいるのはシャムロック・レコード社製のアプリ『UDトーク』。話した言葉がリアルタイムで画面上に表示される。「『電話リレーサービス』も便利です。オペレーターが画面越しの手話やチャットで会話をつないでくれるんです。日本ではまだ限定的なので、早く公的サービスになってほしいですね」。 シャムロック・レコード株式会社 http://udtalk.jp/ 読者プレゼント! 松森さんのサイン入り著書を各1名様にプレゼントいたします。詳しくはP.03の応募方法をご覧ください。 ? P8 手話リンガル 澁谷さんオススメ 使えるプチ手話講座 手話は、日本語と同じようにさまざまなことを表現できる言葉です。 独特の文法もあり、表情も重要な要素のひとつです。 とっても楽しい“ことば”なのです。 松森さんのインタビューをお手伝いしてくれた音声言語も、手話も自由に使える澁谷さんに、今すぐ使える手話と、手話を使う際のポイントについてお聞きしました。 Profile 澁谷 鮎美さん (しぶや あゆみ) 國學院大學 文学部 外国語文化学科 4年大学の講義で手話学を学び、その豊かな表現手法に衝撃を受け、手話サークルに参加して手話を学ぶ。現在就職活動中で、手話を生かせる職業に就くのが目標。 覚えておきたい手話3選 ありがとう @手の甲にもう一方の手を直角に乗せます。 Aその手を上げて拝むような形に。感謝の気持ちをしっかり表情に込めましょう。 こんにちは @時計の正午を表すようにおでこに人差し指と中指を当てます。 A両手の人差し指を人の頭に見立ててペコリ。これは「挨拶」を表します。 大丈夫? @左胸に手を当てます。(右利きの場合) A右胸に手を移動させます。同じ動きでも、心配そうな表情なら「大丈夫?」、自信のある表情なら「大丈夫!」と意味が変わります。 澁谷さん流、手話の楽しみ方! ポイント1「 ポジション」 手の高さや指の角度、相手から見えやすい位置で話すことが大切です。相手の正面に立って、はっきりと手や身体の動きを見えるようにしたうえでお話ししましょう! ポイント2「 表情」 手の動きだけでは表せない感情を表情に込めることが大切です。「大丈夫?」のように同じ動きでも表情で意味が変わるものもありますからね。手話を学んでいると自然と表情豊かになりますよ! ポイント3「 勇気」 手話は言ったもの勝ち!こちらが一歩進めば相手も近寄ってくれます。忘れてしまっても大丈夫。文字通り、身振り手振りで伝わることもありますし、筆談という手もありますからね! さあ、あなたも今日から手話仲間! 手話通訳者の派遣について 本人が手話通訳を必要とする場合はもちろん、聴覚に障がいのある人が参加する会合やイベントには、市区町村や派遣センターに有資格の手話通訳者派遣を依頼することができます。謝礼金の免除や補助を受けられたり、短い時間でも派遣してくれたりと、気軽に依頼できますので、まずは市区町村に問い合わせてみましょう。 ? P9 ケアフィットファーム勝沼レポート 障がい者就労支援事業所 就労移行支援 就労継続支援B型 ケアフィットファーム勝沼レポート ?障がいの有無にかかわらず、みんなが活躍できる場の実現を目指して? 今年もぶどうづくりの季節がやってきました! あたたかい季節に入り、いよいよぶどうづくりが本格的に始まりました。 今年もおいしいぶどうができるように、スタッフ一同しっかりぶどうの世話をしていきます! ぶどうのつくり方 4月 雑草の草刈りをして本格的なシーズンに備えます。 5月 余計な房を切り落とす「房づくり」や枝の手入れを行います。 6月 ひとつひとつの房に「傘かけ」を行い、風雨や病気から守ります。 7月 「袋かけ」で外界からシャットアウト。収穫の時期を待ちます。 8月 お盆を過ぎる頃には甘〜いぶどうができあがります。今から収穫が楽しみです! ケアフィットファームからのお知らせ ケアフィットファームのホームページはこちら! ぶどうづくり体験 参加者募集! ぶどうの栽培を通じて、どのようにぶどうができあがっていくのかを、実際に作業をしながら体験できます。都会の喧騒から離れたのどかな農園で、いつもとは違った休日を過ごしませんか? きっといろんな発見があるはず! 巨峰狩り収穫祭2017 開催決定! 8月27日(日)に巨峰狩り収穫祭を行います。東京からのバスツアーもありますので、お誘い合わせのうえぜひご参加ください。詳しくはホームページをご覧ください。 通販サイトオープン! ケアフィットファームのワインやドライフルーツなど販売しています。これからもケアフィットファームでつくったさまざまな農産物や加工品を販売していきます。ぜひお立ち寄りください! 新しい仲間が加わりました! 就労支援員 小澤尚美 今までは、障がいのある方々の日常生活の支援等の仕事をしてきました。ここでは、さまざまな障がいのある皆さん個々に合った支援を行い、就労に結び付けられるように一緒にがんばります。これから日々勉強していきますので、よろしくお願いいたします。 募集要項 ●日程:5月〜9月の毎週土曜日(天候、その他の理由により中止する場合がございます。また、定員になり次第、締め切ります。予めご了承ください) ●作業内容:ぶどうづくりの作業がメインになります。時期により作業内容が異なります。 ●参加費:3,000円(当日の昼食代、おみやげ込。当日現金にてお支払いください) ●特典:年間4回以上参加された方には、ケアフィットファーム赤白ワインセットをプレゼント! ●申し込み:ホームページからお申し込みください。 ケアフィットファームは、あらゆる人たちが共に働き、共に学べる場を創造し、みんなが活躍できる場の実現を目指します! 平野 隆司 一之瀬 新悟 一之瀬 昭子 竹川 華 お問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 甲州事業所 ケアフィットファーム 〒404-0033 山梨県甲州市塩山赤尾650 TEL:0553-39-8681 FAX:0553-39-8682 E-mail:koshu@carefit.org WEB http://www.carefit.org/farm/ ? P10-11 未来創人 みらいつくりびと 未来を見据え、 どんな困難も 楽しみながら乗り越える。 そんな人生の達人を、 私たちは 『未来創人(みらいつくりびと)』 と名づけました。 一般社団法人 HAND STAMP ART PROJECT 代表理事 横山 万里子さん 幸せな子育てができる環境づくりをしたいんです。 「子どもたちのために」 ひたむきな思いが繋ぐスタンプの輪  公式ホームページやフェイスブックページに使用されているカラフルな花のイラスト。よく見ると人の手のひらの形を重ねて描かれているのがわかる。今回の未来創人は『一般社団法人HAND STAMP ART PROJECT』の代表理事を務める横山万里子さん。同法人は、難治性の病気や障がいのある子どもたちとその家族や周囲でサポートする人たち、そして法人の活動に賛同する人たちの手形(ハンドスタンプ)を集めて世界一のスタンプアートをつくり、2020年のパラリンピック東京大会で掲げるプロジェクトを進めている。  「子どもたちに、たとえ病気や障がいがあっても、みんなで力を合わせれば大きなことを成し遂げられるんだ、ということを体感してほしいという思いから、世界一のハンドスタンプアートというアイディアが生まれたんです。スタンプを押すだけなら、ひとりでは身体を動かすのが難しい子でも参加できますからね」と微笑む横山さん。手でスタンプを押せない場合は足の裏でもほかの身体の一部でもOKで、活動開始から3 年間で集まったスタンプは1 万枚を超える。目標は、2020年までに10万枚。スタンプアートの大きさ、使われたスタンプの数、そして参加国の数でギネス記録を狙う予定だ。  まだ道半ばではあるものの、活動の輪は着実に広がっている。「最初はお友だちにお願いしてまわって、ひと月で30枚も集まれば多いくらいでした。活動を続けるうちに、全国のお母さんたちが患者会や学校などで自主的に呼びかけてくださるようになったんです」。横山さんたちの「子どもたちのためになにかしてあげたい」というひたむきな思いが、日本中に散らばる病気や障がいのある子どもたちの親の気持ちを動かしているに違いない。 小さな声を10万人の声に。 笑顔が花開く未来を夢見て  スタンプの申込用紙には「病名」「症状」の欄が設けられている。これには、子どもたちのスタンプにその子の病気や障がいの情報をひも付けることで、見た人が興味を持つきっかけにしたいという意図と、スタンプアートをつくって終わりではなく、スタンプの持ち主の情報を活用して、彼らが抱える問題や要望を世の中に発信できるシステムづくりを進めたいという意図が込められている。「患者会の規模も小さい希少難病の子どもたちの「学校に行きたい」「薬を開発してほしい」といった声は、世の中に届きにくいのが現状です。でも10万枚のスタンプが集まれば、その小さな声を10万人の声にして世の中に届けることができると思うんです」。横山さんの言葉に力がこもる。  横山さんがこの活動を精力的に続ける背景にあるのは、自身の体験だ。「私の息子も、希少難病で生まれてきました。治療法もなく、薬も効くものがない。そんな状況でも楽しく子育てができたのは、同じ境遇のお母さん方のブログのおかげだったんです。皆さんの体験談を聞けたり、皆さんと繋がりを持てたりすることがとても大きな救いになりましたし、息子と一緒だった5年間は本当に幸せな時間でした。ですから私はこの活動を通して、病気や障がいのある子の親御さんが、私のように幸せな子育てができる環境づくりをしたいんです」。同法人のフェイスブックページでは、同じ病気の子ども同士が友だちになったり、母親同士が情報交換したりといったやりとりが頻繁に行われているそうだ。  横山さんがこれから取り組んでいきたいのは「相互理解」。「なんらかの難病や障がいのある子どもたちの数は、糖尿病の患者数より多いと言われています。でも、ほとんどの子どもたちが社会と接点を持たない場所で生活しています。それでは理解は進みません。ですから、もっとみんなが露出する機会を増やしていきたいんです。例えば、お母さんたちに企業のイベントで体験や思いを語っていただいたり、スポーツイベントに障がいのある子どもたちが参加する機会を増やしたり」。そう語る横山さんの目は、常に子どもたちの幸せな未来を見すえている。「そのためにも、できるだけ多くの人にハンドスタンプアートに参加してもらわないと」と気を引き締める横山さん。きっと2020年には、きらびやかなパラリンピック会場に咲くたくさんのスタンプの花と子どもたちの笑顔を見ることができるに違いない。 スタッフもハンドスタンプ体験。手に塗料を塗るのは小学生以来?スタンプにつかう塗料や紙は基本的には自由だが、同法人では貸し出しにも対応しているので問い合わせてほしいとのこと。 趣味は家族で行くキャンプや料理、お絵かき。「家族で一緒に過ごせる時間を大切にしています」。娘さんの成長を楽しみに、病気や障がいにかかわらず、誰もが当たり前に一緒に過ごせる世の中の実現を目指す。 Profile 一般社団法人HAND STAMP ART PROJECT 代表理事 横山 万里子(よこやま まりこ) 1980年生まれ。母親同士の雑談から生まれたハンドスタンプアートプロジェクトを実現するためにHAND STAMP ART PROJECT を設立。代表理事を務める。普段は介護施設で勤務している。 一般社団法人HAND STAMP ART PROJECT 2014年から活動を開始し、2016年に法人化。世界一のハンドスタンプアートをつくるプロジェクトと同時に、病気や障がいのある子どもたちやその親たちが自由に楽しめるイベントや音楽ライブの企画、当事者の言葉や思いを伝える企業向け講演なども行っている。現在は6 名の事務局メンバーを中心に活動しており、拠点は、さまざまな病気や障がいのある子どもたちが通う治療院として知られる板橋区の小茂根鍼灸院。本稿のインタビューも同院の待合スペースを借りて行われた。 HP: http://www.handstampart.com/ Facebook: https://www.facebook.com/handstampproject/ Mail: handstampart@gmail.com P12 おもてなしの心、 おもいやりの心を大切に。 おも活 「そっと、さっと、あんしんを。」プロジェクト おも活とは・・・ 日本ケアフィット共育機構のサービス介助士・講師が小学校を訪問し、子どもたちに障がいのある方への案内方法やレクリエーションを通して、相手の立場になって考えることの大切さを伝える活動。日本ブラインドサッカー協会が開催するダイバーシティ教育プログラム「スポ育」実施校に対しても活動を展開し、2020年に向けてボランティア文化を育てていきます。 2017年度も、「スポ育×おも活」の輪を広げていくよ! お助けノ介 スポ育ってなあに? 日本ブラインドサッカー協会が実施するダイバーシティ教育プログラム「スポ育」は、ブラインドサッカーを通して、障がい者理解だけではなく、子どもたち一人ひとりの気づきや学びを促進できるプログラムです。視覚に障がいのある選手との触れ合い、ブラインド状態でのコミュニケーションによって、それまで意識しなかった多くのことに気づき、感じることができます。「スポ育」で“障がい”への見方が変わった子どもたちの次のステップとして、「おも活」を通して、視覚に障がいのある人への具体的なお手伝い方法を伝えていきます。 「スポ育」では、ブラインドサッカーの選手やコーチと一緒に、楽しく学べるんだ! ブラビ 小島雄登 コーチ (こじま ゆうと) スポ育を通して、子どもたちには、いろいろな人がいることを知ってほしいと思います。体験のなかで、個性として自分と違うことを認めあい、相手のことを考えながら伝えることで人との関わりの大切さを知ってもらえたらいいな、と思っています。 寺西 一 選手 (てらにし はじめ) 身体を動かしたり、楽しみながら行うブラインドサッカーの体験から、思いやりを持つことを学んでほしいと思います。また、スポ育を越えて、普段の教室のなかでも、友だちを思いやることができていたら嬉しいです。 おも活2016年度実績報告 2016年度は、関東・大阪で36校・約2,000名がおも活を体験しました! 関東 ・荒川区1校 ・板橋区1校 ・江戸川区1校 ・大田区4校 ・葛飾区1校 ・品川区1校 ・新宿区6校 ・杉並区1校 ・墨田区1校 ・世田谷区1校 ・台東区1校 ・中央区1校 ・練馬区4校 ・港区1校 ・日野市1校 ・武蔵村山市1校 ・立川市1校 ・西東京市1校 ・府中市1校 ・高崎市1校 大阪 ・大阪市2校 ・尼崎市1校 ・神戸市1校 ・西宮市1校 学校関係者、保護者の皆さまへ 日本ケアフィット共育機構では「おも活」に参加していただける学校、施設を募集しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB http://www.carefit.org/ ? P13 特別レポート ジェロントロジー国際学会 in Miami 3月9日(木)〜12日(日)にかけて、日本ケアフィット共育機構のスタッフがアメリカのフロリダ州マイアミで開催された「43th Association for Gerontology in Higher Education(AGHE :ジェロントロジー高等教育協会)」に参加し、ジェロントロジーを実践的に生かしている事例として、サービス介助士の学びに関する取り組みを発表してきました。 ジェロントロジー(創齢学、老人学)とは? ジェロントロジーとは加齢に関する体系的な学問で、一般的に「老人学」と訳されています。加齢の複雑さを理解するため、また高齢社会の影響を予測し、それに備えるために、多くの専門分野にわたる学際的な研究が行われています。年を重ねることを決して恐れず、しっかりと受け入れて、社会と共生していくために、これからの一人ひとりに必要となる学問です。 AGHEの取り組み AGHE はジェロントロジーを専攻する学識者の国際的な学会です。 年に1 度定例学会を開催しており、今年で43回目を迎えました。 世界中のさまざまな教育機関のジェロントロジー高等教育における事例発表、高等教育における学部生を巻き込んだ次世代の育成課題の共有、ジェロントロジーの未来などを、分科会・委員会形式で発表し、ディスカッションを行います。 超高齢社会の課題とサービス介助士の活動を紹介 日本ケアフィット共育機構では、元気な高齢者が街に出かけて、楽しみながら暮らしていける明るい社会を目指し、ジェロントロジーを“自ら「齢」を創造する学問”・「創齢学」として考えています。今回のAGHE においては、世界に先駆けて超高齢社会になった日本の課題、サービス介助士の社会的な意義を紹介。白内障体験ゴーグルを使って、加齢による身体機能の低下とはどのようなものなのかを体験を交えて紹介しました。 懇親会にて、左から日本ケアフィット共育機構理事 橋亮、全米高齢知的障がい認知症研究班委員長 Matthew P. Janicki氏、佐藤。 佐藤雄一郎 日本ケアフィット共育機構 広報担当 海外ではジェロントロジーの研究は多岐にわたり進んでいますが、サービス介助士のように実践的に活用している事例は少なく、今回の発表で多くの学者の皆さまに関心を持っていただけました。 アメリカのバリアフリー事情 滞在中に見かけたバリアフリー。良いも悪いも…勉強になりました! 欧米人の体型に合わせた大型車いす。空港内のいたるところに常備されていました。 室内の扉には車いす利用者用の開閉ボタンがついていました。しかし引き戸は無く、かなりの重量でした。 エレベーターは音声付タッチパネル方式。しかし車いす利用者には画面が見えない高さ。 ? P14-15 ボランティア活動TOPICS 日本ケアフィット共育機構では、サービス介助士やボランティアの皆さんとともに、誰もが同じように娯楽やスポーツ、日々の暮らしを楽しめるお手伝いをしています。 次はあなたも一緒に参加してみませんか? 超満員のお客さまに笑顔で応対 ブラインドサッカー国際親善試合 さいたま市 ノーマライゼーションカップ2017  3月20日(月祝)に、ブラインドサッカー「さいたま市ノーマライゼーションカップ2017」が、さいたま市のフットメッセ大宮で開催されました。強豪ブラジル代表が相手とあって、入場制限が出るほどの大盛況。日本ケアフィット共育機構では、例年どおりリレーションセンターTASKAL を設置して、音声ガイドの貸し出しや、観戦に訪れた方の誘導・案内をお手伝いしました。  この日は、ボランティアスタッフとして株式会社JR 東日本ステーションリテイリングとトヨタ東京カローラ株式会社の皆さんが参加。何度も参加されたベテランの方も、初めてのボランティアという方も、サービス介助士の講習を思い出しながら、車いす利用の方や視覚に障がいのある方を、笑顔でご案内されていました。 社長も一緒にボランティア!! この日は、トヨタ東京カローラの向井社長とJR東日本ステーションリテイリングの貝瀬社長もボランティアスタッフとして参加。奇しくも紲vol.11の表紙を飾っていただいたおふたりの揃い踏みとなりました。おふたりとも、サービス介助士資格をお持ちです。率先して声かけをされる様子が印象的でした。 井筒 栄吉さん 株式会社JR東日本ステーションリテイリング エキュート大宮 今回初めての参加です。車いす利用者や視覚に障がいのある方をご案内したのですが、皆さん自立されていて、お手伝いが必要な場面が思った以上に少なかったのが印象的でした。思い切って「なにかお困りですか」と声をかけてみたら、思っていたよりスムーズにコミュニケーションが取れましたし、お礼を言っていただけてうれしかったです。 田中 翠さん トヨタ東京カローラ株式会社 代田橋店 視覚に障がいのある方のお手伝いをしたのですが、最初のうちはサービス介助士の講習で教わったような適切なご案内ができなくて、何人かご案内するうちにようやく慣れたかな、という感触です。こうしてボランティアとしてゼッケンをつけているときだけではなくて、普段の生活の場や職場でも、もっとやれることがあるんじゃないか、ということに気づけました。 山本 靖之さん トヨタ東京カローラ株式会社 営業推進部 2年ほど前にサービス介助士の資格を取得して以来、ボランティア活動にはときどき参加しています。今日のように人がたくさん集まるときには、いつもより車いすや白杖利用の方をお手伝いする機会が増えますね。日常生活でも似た状況のときはあると思うので、より気をつけなければいけないな、と感じました。 障がい者サッカー体験イベントをお手伝い Warm Blue 2017  4月2日(日)は、国連の定めた世界自閉症啓発デー。日本でも「Warm Blue 2017」が開催され、東京中でシンボルカラーの青い衣服を身にまとった人々が、各種イベントを通して自閉症やさまざまな障がいについて学んだこの日、渋谷の神南小学校ではJIFF(日本障がい者サッカー連盟)による障がい者サッカー体験イベントが行われました。日本ケアフィット共育機構は、参加者の方が楽しく体験できるよう会場でお手伝い。ボランティアの皆さんのおかげで無事に終えることができました。抜けるような青空のもと、大人も子どもも障がいのある人もない人も、みんながまぜこぜになって笑顔でサッカーを楽しむ様子が印象的でした。 雨のなか、力を合わせて大会の成功に貢献 KPMGカップ ブラインドサッカー クラブチーム選手権2017  3月25日(土)〜26日(日)に、富士通スタジアム川崎と川崎市立向小学校において、「KPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権2017」が開催されました。この大会では、2月にサービス介助基礎検定を受講した東京ガス株式会社の方にボランティアとして参加いただきました。あいにくの雨でしたが、覚えたばかりの介助技術をフルに発揮し、大会の成功に貢献してくれました。 東京ガスでは2月17日(金)にサービス介助基礎検定を実施。 87名の皆さんが受講されました。今後の活躍に期待です! 鬼頭 みゆきさん 東京ガス株式会社 神奈川導管事業部 神奈川設備保安チーム 介助技術の基礎を学び、今まで心のなかになかった自信が少しできました。また、ボランティアを経験させていただくことで大変勉強になりました。次はトライアスロンのボランティアです。微力ですが、お手伝いができればと思っています。 ボランティアに興味のある方、サービス介助士講習に興味のある法人、個人の方 資料請求・問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 http://www.carefit.org/ ? P16 Universal Tourism 学生団体flatふらっと日記 最終回 気の合う4人で始めた「学生団体flat〜ふらっと〜」。右も左もわからない、でもなにか楽しいことがやりたい! そんな彼らも、この春大学を卒業して、それぞれの道を歩み始めました。この「ふらっと日記」も、今回でいったん最終回。いつかまた、大きく成長して戻ってくる4人に会えるのを楽しみにしています! flat〜ふらっと〜って? サービス介助士資格を持つ東洋大学の同級生、「まいきー」こと谷麻衣香と「まゆつん」こと高野真優が中心となって立ち上げたボランティアサークル。大野泰平(たいちゃん)と三浦華(はな)を加えた4人で、「ユニバーサル×ツーリズム」を掲げて、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが楽しめるツアーを企画・運営しています。 2月5日(日)@両国 江戸東京博物館ツアー 日記担当:はな 活動休止前最後のツアーとなった今回は、両国にある江戸東京博物館に行きました! 当時の食や文化、生活様式を見るだけでなく、実際に体験して楽しめるつくりになっており、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。参加者の皆さんは、好みや興味を持つ箇所はバラバラでしたが、お互いに知っていることを教え合う光景も見受けられたのが嬉しかったです。 メンバーからのご挨拶 私たち学生団体flat〜ふらっと〜は、障がいに関係なく楽しめる場を生み出すことによって「知る?きっかけを提供する」そして「架け橋になる」ことをコンセプトとして、参加した人たちが、目の前にいる人を「もっと知りたい」と思ってもらえるような活動をしてきました。  先日、参加者の方が、当団体のイベントで知り合った車いすユーザーの方と「日帰り旅行に行ったんだ」と教えてくださいました。このエピソードを聞いて、参加者同士がひとりの友人として繋がる小さなきっかけになれたことを、とても嬉しく思いました。  この春からメンバーが大学を卒業して社会人となったため、団体の活動を一時休止することにしました。ですが、日程は未定ではありますが、また活動を再開したいと考えています。(もしかしたらこの「紲」が発行された頃には、もう次の活動が決まっているかも??)そのときには、また参加してくださいね! これまで支えてくれた皆さま、本当にありがとうございました! 学生団体flat 〜ふらっと〜の活動実績 2015年 12月 学生団体flat〜ふらっと〜設立 2016年 2月 谷中まち歩き 3月 鎌倉ユニバーサルツアー 4月 第1回学内ワークショップ 6月 文京区白山まち歩き 7月 高尾山ユニバーサルツアー 9月 浅草まち歩き 第2回学内ワークショップ 11月 第3回学内ワークショップ 芝浦・お台場まち歩き 2017年 2月 両国まち歩き 文京区白山まち歩き 高尾山ユニバーサルツアー 芝浦・お台場まち歩き 浅草まち歩き 第2 回学内ワークショップ “ふらっと”いっしょに楽しみませんか? お問い合わせ otoiroka@gmail.com Web http://fl at-barrierfree.sakura.ne.jp/ P17 care-fit通信 サービス介助士トピックス サービス介助基礎検定導入レポート「第一生命保険株式会社」 気づきの感度を上げてお客さまの「気持ち」に寄り添うサービスを。 吉田 久子さん 第一生命保険株式会社 補佐役 人事部  兼 コンプライアンス統括部担当 相良 詠美さん 第一生命保険株式会社 上野総合支社  第一生命保険では、お客さまに寄り添い、期待を超えた行動・サービスを提供していく「一生涯のパートナー With you プロジェクト」をミッションとしています。補佐役の吉田さんと、サービス介助基礎検定を受け、実際にお客さま応対に生かされている相良さんにお話を伺いました。 お客さま誰もが同じサービスを受けられる会社を目指して。 吉田  2年ほど前から企業ができる合理的配慮について検討をしていました。社内のビルを調べ、スロープの設置や、筆談器・コミュニケーションボードの設置などを行いましたが、社員一人ひとりがスキルを身につけ、ソフト面も質を高めよう、という意見が出まして、サービス介助基礎検定の受講を導入することにしました。現在、基礎検定を受けたのは149 名です。  私もサービス介助士の資格を取得しましたが、この検定を受けることで、相手の立場に立って考えることが、より自然にできるようになったと感じています。こういった意識の醸成を社員に広げていくことで、段差がある窓口に障がいのあるお客さまがいらしたとしても、「誰もが同じサービスを受けられる会社だね」と言っていただけるようにしていきたいですね。 技術を習うことで「相手に寄り添う」という考え方を学ぶ。 相良 基礎検定受講後、白杖利用の方のお手伝い方法を、お客さまサービス担当の朝礼で紹介させていただきました。窓口から出口までご案内するという、本当に数歩のことですが、周りの社員からも「白杖利用の方がこんなに大変な思いをされていたとは」と驚きの声が上がり、実際のお客さまを目の前にしてできるように練習を重ねていかなくてはならないね、という話になりました。実際、それ以降は窓口でのお客さま応対の際に、周りのスタッフがスムーズに補助してくれたり、お声がけをしてくれたりするようになりました。お客さまからのアンケートでも感謝の声をいただくことがとても多くなり、嬉しく感じています。 吉田 基礎検定では、どうしてそのようにしたほうがよいのか、ということを最初にレクチャーされますよね。何のためにやるのかということが分かっていないと、そういう行動って身につかない。技術を習うことで「相手に寄り添う」という考え方?を学ぶんです。何のためにやるのかということを理解して、自分なりに行動することで、より一層お客さまに心を添わせることができる。やっぱり人なんですよね。 「社内に介助の技術と考え方を広げていきたい」と語る吉田さん(左)と相良さん(右)。 Run with You 第一生命保険では、身近なスポーツである「市民マラソン大会」への協賛を通じて、健やかな生活の支援をしていきたいという想いから「Run with You」プロジェクトを立ち上げました。 全国16の市民マラソン大会(2016年度)に協賛し、ブースでの健康チェックや沿道応援を通して、全国のランナーの皆さんを応援するとともに地域の活性化にも貢献しています。 P18 care-fit 通信 認知症介助士トピックス 認知症Q&A 第三回 「駅で見かける、気になる男性」 認知症のこと、どれだけ知っていますか? 認知症介助士のインストラクターが、素朴な疑問にお答えします! Q どこに行きたいかわからない様子… 通勤途中、最寄り駅でときどき見かける男性が気になっています。切符を手にしてはいるのですが、人を待っているふうでもなく、切符をじっと見て立っているだけなのです。なにか困っているのかもしれないので、見かけるたびに声をかけてみようかと思うのですが、接し方がわからず、いつも素通りしてしまいます。どうすべきでしょうか? A 場所がわからなくなることがあります。 もしかしたら、その人は認知症かもしれませんね。認知症の症状により、自分がどこにいて、なにをしたいのかわからなくなってしまうことがあります。なかには、不安からだんだんパニックになってしまう方もいます。まずは「こんにちは。いいお天気ですね」など、安心してもらえるような話題で声をかけてみましょう。人と会話をすることで、気持ちが別のところに向き、ご自宅の場所を思い出すこともありますし、「お住まいはお近くですか?」など会話の中から、糸口を見出せることもあります。 回答者 宮本若菜 専門学校の非常勤講師を経て、現在サービス介助士・認知症介助士インストラクター。確かな知識と終始笑顔で穏やかなインストラクションに定評がある。 Report レクリエーション介護士ワークショップを開催しました  4月10日(月)、日本ケアフィット共育機構にて、レクリエーション介護士認定団体 BCC株式会社所属の富永雅美インストラクターによる、認知症の方が抱える不安が垣間見えるワークショップを開催しました。ワークショップ参加者は、認知症の特徴である「人・物・場所についての記憶が失われていく状態」を、カードを使ったワークで体験。終了後には「自分の意思に反して記憶が少しずつ失われていくことはとても不安です」などの意見があがり、認知症による記憶障がいと本人の抱える不安について学ぶ機会になった様子でした。 レクリエーション介護士とは レクリエーション介護士は、介護レクリエーションを学び、自分の趣味や特技を活かしながら、高齢者に喜ばれるレクリエーションを提供するための資格です。 ●お問い合わせ BCC株式会社 スマイル・プラスカンパニー  tel: 06-6443-3720 info@japan-ac.jp お問い合わせ 開催日程とお申し込みに関しては、日本ケアフィット共育機構のホームページまたはお電話にてお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 TEL:0120-0610-64 http://www.carefit.org/ P19 防災介助士トピックス 防災介助士特別講演 『大災害から命を守る行動力 〜大災害の現場から学ぶ〜』 秋冨慎司 氏   3月22日(水)、日本ケアフィット共育機構東京共育センターにて、医師の秋冨慎司さんを講師に迎えた防災介助士特別講演が開催されました。参加者は、防災介助士資格所有者や企業のBCP 担当者、秋冨さんのもとで学ぶ防衛医大の学生など20名ほど。1時間半の密度の濃い講義に、熱心に耳を傾けていました。ここでは、秋冨さんの講義内容から重要な3つのポイントを紹介します。防災に対してどんな心構えを持つべきか、大きなヒントになるのではないでしょうか。 POINT 1 目的(AIM)と目標(GOAL)を明確に  災害対応の目的は「人命救助」で、目標は「目的達成のために3T?を進めること」です。3T とは@Triage( 重傷者を見つける)、A Treatment( 応急処置)、B Transport(搬送)の、災害医療の3つの要素のことです。過去の災害医療の現場では、プロフェッショナルが揃っているにもかかわらず、目的と目標を混同してしまったために、助かったはずの人命が失われてしまったケースもありました。普段から情報を集める習慣をつけ、もしものときに自分がどう行動するかを具体的に決めておくことが重要です。 POINT 2 声なき声に耳を澄ます  例えば、傷病者のなかでも、大きな声で痛みを訴えている人が治療を優先されてしまいがちですが、本当に具合が悪い人は声を出すこともできません。この「声なき声を探すこと」がなにより大切です。また、もっと女性や子ども、高齢者、外国人、障がい者といった災害弱者を想定したシミュレーションをするべきです。もし2020年の東京オリンピックで首都直下地震やテロが起きたとしたら、海外から来た人たちをどう守るのか。そこまで考えなければ本当のおもてなし?とは言えないのではないでしょうか。 POINT 3 自助:共助:公助=7:2:1  災害時に、なんでもかんでも自治体や行政がやってくれると思ってはいけません。もし首都直下地震が起きたら、その被災規模は甚大なものになります。大の大人が避難所で炊き出しに並ぶような状況では、本当に救援が必要な場所に手が回らなくなるのは目に見えています。有事に備えて、【自助】少なくとも1週間は公的な支援がなくても耐えられるように準備しておくこと。そして、【共助】地域で助け合える環境づくりをしておくこと。「自分たちが生き延びることで、より多くの人命が助かる」という意識を持っていただきたいと思います。 講演後、参加者同士でディスカッションが行われました。最後に参加者から「自分と家族を守れるようにしっかり準備して、そのうえでほかの誰かを守れるようにすることが私たちの務めだと思います」と感想が述べられました。 「誰かにしてもらおう」と思うのではなく、災害を自分ごととして捉えて、自助・共助・公助の概念をしっかり意識しながら、普段から「自分でもできることがある」と思って活動してほしいですね。 Profile 秋冨慎司 (あきとみ しんじ) 防衛医科大学校 准教授。福知山線脱線事故、岩手宮城内陸地震など数々の災害医療に従事してきた災害医療のプロフェッショナル。岩手医科大学附属病院在籍中に東日本大震災が発生し、医療活動の陣頭指揮を執った。このときの活動を題材とした書籍『ナインデイズ』が出版されている。 P23-20(誌面構成に対応し、逆順で抽出。P20まで) 羽田空港大特集 担当者インタビュー 優しさの現場から 羽田空港では、たくさんのスタッフが最大限の笑顔とおもてなしでお客さまをお迎えします。 彼らは、さまざまな人が訪れる空港という空間で、普段からどんな思いを持って、お客さまに接しているのでしょう。 日々おもてなしの最前線でお客さまと接している皆さんに、お話しを聞きました。 初めて出会う日本人として 一期一会を大切に 羽田旅客サービス株式会社 旅客サービス部 エアポートコンシェルジェ(国際線担当) 吉田 すず花さん From 東京国際空港ターミナル 株式会社(TIAT)  国際線ターミナルでご案内をしていると、到着時に応対したお客さまと出発時に再び出会うことがあるんです。以前、国内線から国際線へのお乗り継ぎの際に、雪の影響で飛行機が飛ばなくなってしまった海外のお客さまがいらっしゃいました。ご案内を終え、もうお会いすることはないだろうと思っていたら、後日国際線から出発されるときに偶然お会いして、お互いに「あっ!」て(笑)。短い応対でしたが、お客さまにも私にとっても記憶に残る偶然の出会いに感激し、この出会いを大切にしたいと思いました。この仕事は、業務を通じてたくさんの方と出会える魅力があると思います。  私のモットーは「一期一会」です。好奇心旺盛な性格でもあるので、短いご案内時間でもお客さまとはよくお話しをします。自分も楽しいですし、そのなかで観光情報をご案内できたりお客さまのニーズに応えられたりするきっかけにもなると感じています。また、海外からのお客さまにとって私が初めて出会う日本人ということもありますから、日本人の印象を感じていただけるポジションとしてやりがいを感じています。どんなときでも笑顔で、家族のような思いやりを持った接客を心がけていきたいです。 Special symposium & interview お客さまにとって 常に頼りになる存在でありたい 羽田旅客サービス株式会社 旅客サービス部 エアポートコンシェルジェ(国内線担当) サブリーダー 内山 知子さん From 日本空港ビルデング株式会社  館内施設やフライトのご案内、総合電話の応対、旅行保険の販売など、空港内のあらゆる情報を把握し、お客さまにご案内しています。入社1年目のころ、日本語がまったく分からないお客さまの応対をさせていただいたことがありました。つたない英語で一生懸命コミュニケーションをとったのですが、後日そのお客さまから「親切にしてくれてありがとう。嬉しかった」というお手紙が届きました。その頃は一日一日が精一杯だったので、お手紙が本当に嬉しくて、今でも大切にとってあります。  もともと人見知りの性格で、積極的に話しかけるタイプではなかったのですが、英語ができるようになると外国籍のお客さまに抵抗感なく話しかけられるようになりました。それと同様に、サービス介助士の資格を取得してからは、お手伝いが必要と感じられる場面で、お客さまに自分から声をかけることも多くなりました。最近は社内で手話研修にも力を入れていますし、どのような方ともコミュニケーションがとれるように語学力の向上にも努めていきたいです。私も旅行に行くとインフォメーションスタッフは頼りになる存在だな、と感じるので、自分もお客さまにとって、常に頼りになる存在でありたいなと思います。 声をかけてもらう喜びを お客さまから学ばせていただいた 株式会社JALスカイ 羽田事業所 国内パッセンジャーサービス担当 スーパーバイザー 大石 典子さん From 日本航空株式会社(JAL)  私はチェックイン業務などのほか、出発便の時間調整を担当しているのですが、車いす利用のお客さまをご案内する時間を含めて次の便の出発時間を調整することもあります。カウンター業務では、お客さまに安心してご利用いただけるように私たちからお声がけをし、また、お客さまから声をかけていただきやすいような立ち居振る舞いを心がけています。実は以前、知的に障がいのあるお客さまのご案内時に、見守るだけだった私にお客さまの方から声をかけてくださったことがあって。そのとき、心のバリアを張っていた自分に気づかされたんです。声をかけてもらう喜びを、お客さまから学ばせていただきました。  サービス介助士資格取得後は、駅でお困りの方にも積極的にお声がけができるようになりました。同僚から声かけをして喜んでいただけたという体験談を聞いて、私もやろう!と思ったんです。当社では、サービス介助士の資格所有者が、各地に配属前の新入社員に車いすでの介助やお声がけについて伝えるのですが、全国の空港から「声をかけてもらって嬉しかった」といったお客さまのお声をいただいたという報告があると、発信したものが共有され、全国のお客さまに安心していただけているんだなと、とても嬉しく感じます。 空港は、いろいろな方の いろいろな想いが集まった場所 ANAエアポートサービス株式会社 旅客サービス3課 金子 真穂さん From 全日本空輸株式会社(ANA)  社会に出るとき、自分が何をしたいのかを突き詰めて考えたときに、いろいろな人との出会いがあり、いろいろな人の力になれる空港の素晴らしさに気づき、この会社を志望しました。その思いは今もかわりません。空港には、ご旅行の方、お仕事の方、なかには法事などで悲しい気持ちのお客さまもいらっしゃいます。本当にたくさんの方のさまざまな想いが集まった場所なんです。初心を忘れずに、空港に来る方たちの、たとえおひとりにでも役に立てたらいいなと思って業務に就いています。  お手伝いが必要なお客さまへのご案内に際して、サービス介助士の資格を取得したことで自然と自信がついたように思います。先日ご高齢のお客さまをご案内させていただいたとき、私の名札を見て「金子さん、本当にありがとうね」と言っていただいたんです。自分は当たり前のことをしただけなのに、名前を呼んでいただけたことがすごく嬉しくて、疲れが一気に吹き飛びました。そうした嬉しい出会いや言葉が、見えない形で自信につながっているのかなと感じています。2020 年に向けて、さらに多くの方にご利用いただけることになると思うのですが、最後に残るのは人の心や気持ちだと思うので、気持ちをお伝えできるよう心を込めて接客していきたいです。 限られた時間の中で 適切なサービスをご提供したい 株式会社羽田エアポートエンタープライズ 東京食賓館 主任 武江寛子さん From 日本空港ビルデング株式会社  空港は特殊な場所で、お急ぎの方や、ゆっくりお買い物されたい方など、いろいろな事情をお持ちのお客さまが集まる場所です。限られた時間のなかで、言葉だけではなく話し方やトーンからもお客さまのご要望を察知し、適切なサービスをご提供したいと考えながら売り場に立っています。また、おみやげやお祝いの品、急なお供え物など、ご要望に合わせて包装なども臨機応変に対応できるように、そしてお客さまの立場に立って、どんな方へのおみやげなのかを想像することも大切です。ご希望に合ったものをご紹介できたり、空港にいる時間が楽しい時間になったのかな、と感じられたときにはとても嬉しく感じますね。  サービス介助士の資格を取得するまでは、ケース越しに接客するばかりだったのですが、講習を通してご高齢のお客さまの中には手を上げるのもお金を出すのも大変な方もいらっしゃるということを学んだので、ケースの前でお手伝いしながらのご案内を心がけるようになりました。現在は、聴覚に障がいのあるお客さまには筆談でご案内しているのですが、やはり手話ができたほうがよりコミュニケーションの幅が広がりますので、今後は手話の知識をつけて、さらにスキルアップしていきたいと思っています。 Special symposium & interview 一人ひとりに寄り添った オーダーメイドなご案内を 株式会社AIRDO 運送本部 東京空港支店 運送サービスグループ 主席 伊藤 美樹子さん From 株式会社AIRDO  飛行機を飛ばすには、係員、関連する部署のメンバー、客室乗務員、整備スタッフ、委託先の方々とさまざまなコミュニケーションをとるのですが、そのなかで、お客さまをしっかりご案内した上で、出発便を定刻に出せたときにやりがいを感じますね。お客さまとは常にアイコンタクトをとって、気持ちに寄り添った応対ができるように心がけています。また、朝のブリーフィングや、チームでのミーティングのなかで、手話での挨拶やご案内などをメンバーと勉強しています。聴覚に障がいのあるお客さまを簡単な手話でご案内した際、「がんばって勉強したのね」と笑顔で声をかけていただいたときにはとても嬉しかったですね。お客さまにとってストレスなくコミュニケーションがとれることはすごく大事ですし、満足感につながると実感しました。  今後は、繰り返し当社をご利用いただくお客さまそれぞれのご要望や、お手伝いさせていただけるポイントを我々係員で蓄積して、お客さま一人ひとりに寄り添ったオーダーメイドなご案内を目指していきます。お客さまが望んでいること、もしくはそれ以上のことを私たち一人ひとりが察知し、応対できるような環境をつくることが理想ですね。 楽しい気持ちで帰っていただくため バトンをつないでいく 株式会社リムジン・パッセンジャーサービス 営業部 羽田営業所 所長代理 藤本 雅彦さん From 東京空港交通株式会社  羽田空港のバス停には椅子が置いてあるのですが、これは、空港を利用するお客さまにちょっとしたときに座っていただけるようにという気づかいなんです。お客さまのご要望に臨機応変にお応えできて、喜んでいただけたときにはとても嬉しいですね。夏も冬も外にいる大変な仕事ですが、お客さまから「ありがとう」と言っていただけることが自分の励みにもなりますので、お手伝いできることはすべてお手伝いしたいです。  すべてのお客さまに、楽しい気持ちのままご自宅まで帰っていただく、というのが一番心に残るサービスだと思うんです。空港ビルさんに乗車券を売っていただき、当社の乗り場に並んでバスに乗っていただき、今度は乗務員さんにバトンタッチ。そして目的地までお客さまをお連れする。これを一連の流れとして、バトンをつないでいく。乗務員さんにも安全運転のために笑顔で走ってもらいたいと思いますし、サービス介助基礎検定受講後は、車いす利用の方にもご要望を細かく伺えるようになり、降車時のケアまで考えるようになりました。これからは若い人たちにお客さまとの会話の楽しさや、仕事の楽しさを伝えていきたいです。羽田のスタッフはいつもニコニコしているね、と言われたいですね。 ? P29-24(誌面構成に対応し、逆順で抽出。) Special symposium & interview 羽田空港大特集! スペシャル座談会 会社紹介 航空運送 株式会社AIRDO 国内の航空運送が主業務。「北海道の翼」として、主に北海道を発着する路線の航空運送を行う。 全日本空輸株式会社(ANA) 国内、国際航空運送業務を行う。航空会社の格付けで「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ」の認定を得ている。 日本航空株式会社(JAL) 国内、国際航空運送業務を行う。世界15の航空会社で構成される航空提携グループ「oneworld」に加盟。 空港連絡バス 東京空港交通株式会社 航空旅客及び航空事業者等の旅客運送が主な業務。オレンジのリムジンバスでおなじみ。 店舗運営・販売 株式会社羽田エアポートエンタープライズ 羽田空港内の日本空港ビルデング直営店舗の運営・販売業務を行っている。成田空港や関西空港にも業務を展開。 旅客ターミナルビルの管理・運営 日本空港ビルデング株式会社 羽田空港国内線旅客ターミナルビルの管理及び運営が主な業務。グループ企業と連携して幅広い空港業務を行う。 東京国際空港ターミナル株式会社(TIAT) 羽田空港国際線旅客ターミナルビルの管理・運営が主な業務。同ターミナルビルはユニバーサルデザインがコンセプト。 オール羽田でお客さまサービスの向上を 世界中からありとあらゆる人たちが集まる場所、空港。 すべての人に快適で安全に旅を楽しんでいただくために、空港にかかわる人たちは、日夜おもてなしの心と技を磨いています。 今回は、東京国際空港(通称羽田空港)で事業を展開する企業7社を代表する皆さんにお集まりいただき、空港の魅力やお客さまサービスのあり方について、業種の垣根を越えて熱く語り合っていただきました。 ―― まずは皆さんから見た空港の楽しみ方を教えてください。 堯天(全日本空輸 以下ANA) 空港は、飛行機に乗る方だけでなく、空港自体を目的に訪れる方もいらっしゃいます。おみやげ屋さんやレストランなどもたくさんありますし、展望デッキからはいろいろな飛行機を見ることもできる。単に飛行機に乗るためだけの場所ではなくて、空港全体をひとつの空間として楽しんでいただけるのではないかと思います。 野川(東京空港交通) 私は日本橋箱崎のT - CAT(東京シティエアターミナル)内の事務所で業務を行っているので、空港に来ると特別な空間にいるようで心が弾みますし、航空機を見るとテンションが上がりますね。空港に勤務されている方もきれいな人がたくさんいますし(笑)。そんな素敵な場所である空港を基点として運行業務を行っていることに、責任とやりがいを感じています。 大石(日本航空 以下JAL) お子さまにも空港を楽しんでいただけるように、当社では夏休みシーズンにお子さまむけの飛行機型リュックサックを機内でお配りしています。毎年好評で、それを楽しみにして下さっているお客さまも多いんですよ。 真のユニバーサルデザインに必要なのは、おもてなしの心。 山口(AIRDO) 当社でもひとり旅のお子さまにマスコットキャラクター「ベア・ドゥ」のストラップをプレゼントしているので、機会があったらご利用ください(笑)。当社では、会社設立20周年を迎えたのを機に、お手伝いが必要な方にも気軽にお立ち寄りいただける充実したカウンターに一新する予定です。 中島(日本空港ビルデング) リニューアルした国内線旅客カードラウンジをぜひご利用いただきたいですね。ご提供する飲み物や食事にも力を入れていて、有料の羽田オリジナルコーヒーやおいしい青汁がおすすめです。 武江(羽田エアポートエンタープライズ) 当社ではいま、羽田空港でしか買えない商品の開発に力を入れています。オリジナルブランドを立ち上げて、4月からは生菓子の販売を始めました。「FROZEN to GO」というブランド名で展開していて、かなり好評をいただいています。 堯天 それはどこで買えるんですか? 武江 第2旅客ターミナルだと「東京食賓館」、第1旅客ターミナルだと「羽田スタースイーツ」で扱っているので、ぜひ! 山下(東京国際空港ターミナル 以下TIAT) 国際線ターミナルのウリは江戸風にしつらえた売店やレストランなのですが、私のおすすめは「TIAT Sky Road」です。羽田の国際線に就航している38社のモデルプレーンが飾られていたり、就航路線のフライトシミュレーターを楽しんだりできるんです。かなりマニアな方でも喜んでいただけると思いますよ。 堯天 飛行機好きといえば、最近は特別な塗装機を目当てに空港に来る方も多いですね。 大石 ANA さんの「スター・ウォーズ」の塗装機が通過すると、みんなで「おー!」ってなります(笑)。当社でも人気のキャラクターやアイドルの塗装機に乗りたい、とカウンターにいらっしゃる方も多いですね。行き先は気にせず、とにかくその飛行機に乗りたいと仰って下さるんです。そういう空港の楽しみ方もあるんですよね。 ―― さまざまな人が利用する空港での、おもてなしの工夫についてお聞かせください。 山下 当社が管理する国際線ターミナルは、2010 年の開業前からユニバーサルデザインをコンセプトに検討を重ねて、誰もが使いやすい空港としてオープンしました。トイレの個室は車いすが旋回できる広さを確保する、障がいのある人や車いす利用の人でも乗りやすくて安全なエレベーターを設置するといった工夫が随所に凝らされています。そして、サービス介助士資格を持ったコンシェルジュがお客さまに寄り添ったおもてなしをご提供できる体制を整えているのも特長です。ハード面だけでなくて、心のこもったおもてなしがあって初めて真のユニバーサルデザインが実現する、という考え方ですね。 大石 年に1回、「空港のサービスのプロフェッショナルコンテスト」を実施しています。海外を含めた各地の空港から代表者が集まり、サービスの質を競い合って全社員のおもてなしスキルを向上させることが目的です。 山口 当社では、勤続年数にかかわらず、教育の場を設けてサービスの向上につなげる試みを行っています。例えば講師の方を呼んでアナウンス研修を行い、自分の技術を見直す作業を定期的に行うといった内容ですね。 堯天 お客さまに旅を通して常に快適に過ごしていただくために、今年度から全部門共通の教育プログラムをスタートさせました。直接お客さまと接することのない部門も、自分たちがつくるものは最終的にはすべてお客さまのためのもの、という意識を持って、お客さまに喜んでいただけるにはどうすればよいかを考えられるようにしていく必要があると感じています。 中島 私は直接お客さまと接することは少ない部署にいるのですが、毎朝朝礼時に簡単な手話と英会話の研修をはじめました。お客さまからしてみればインフォメーションのスタッフも私たちも同じ空港の職員ですから、最低限のご案内はできるようにしておくべきだと思います。それから、月1回ほど、バリアフリー研修を実施して、店舗スタッフや派遣スタッフも含めて、車いすを使った介助の仕方などを学んでいます。 武江 私たちも手話と英会話の研修を開始しました。当社では2020 年に向けて、「人材のプロ化」を目指していて、ご来店いただくお客さまはもちろん、空港をご利用いただくすべてのお客さまに満足していただける商品やサービスを提供することを大きな柱として取り組んでいるところです。 野川 当社では、毎年4月と10 月をサービス強化月間と定め、全職員が「Fr iendly バッジ」を着用してサービスの向上に努めています。そのなかのひとつにグループ会社も交えて実施する「Thank you カード運動」があります。これは、職員の優れたサービスを職員同士で積極的に掘り起こし、同時に職員同士のコミュニケーションの活性化を図ることで全体のサービス向上を目指す活動です。 国際旅客ターミナルのエレベーター。直感的な利用を促す「アフォーダンス」という概念にもとづいて設計されており、さまざまな障がいに対応する工夫が施されている。 堯天 麻衣子さん 全日本空輸株式会社 オペレーションサポートセンター 品質推進部 オペレーション品質推進チーム よいものは共有して、オール羽田で取り組みたい。 大石 典子さん 株式会社JALスカイ 羽田事業所 国内パッセンジャーサービス担当 スーパーバイザー 野川 和美さん 東京空港交通株式会社 運行部 運行管理課 山口 千寛さん 株式会社AIRDO 運送本部 東京空港支店 運送サービスグループ 主席 東京空港交通で配布されるThank youカード。ほかの出席者からも「うちでも似たようなカードを使っています」「もらえると嬉しいですよね!」と声が上がった。 ―― 他社の取り組みで気になっていることはありますか? 野川 今日お話を伺って、日本空港ビルデングさんが実施している朝礼時の手話と英会話研修やバリアフリー研修はとても意義があると感じました。私は昨年サービス介助士の資格を取得したのですが、普段お客さまと接する機会が少なく、なかなか実践できないでいます。当社では現在、全乗務員にサービス介助基礎検定を受講させている最中ですが忘れないためにも、一度の講習で終わらせてはいけないと思いましたね。 山下 継続は重要ですね。当社でも、ユニバーサルデザインがきちんと機能しているかを定期的にチェックするスパイラルアップを行っています。さらに言うと、ユニバーサルデザインやバリアフリーは、一社の取り組みだけでは不十分だと思うんです。せっかくこうした機会ですので、よりよいものは共有して、オール羽田として取り組んでいきたいですよね。 堯天 私も、ユニバーサルデザインは競争領域ではないと思っています。例えば、当社とTIATさんとで車いすの実証実験を共同で実施しているのですが、ここにいらっしゃる皆さんとも共有できたらいいな、と思いますね。 山口 ANA さんはお手伝いが必要な方が利用できるスペシャルアシスタンスカウンターをつくられましたよね。中が見えないようになっているからお客さまも安心されるらしく当社のお客さまの中にも立ち寄られる方がいらっしゃるようです。 大石 当社のスマイルサポートカウンターは、オープンなつくりにして誰でも立ち寄りやすいように、というコンセプトでつくられているんです。ANA さんとは逆の発想ですね。 堯天 プライベートな空間でお手続きしたいという方もいらっしゃいます。どちらのニーズもあるのでしょうね。 山下 慎一郎さん 東京国際空港ターミナル株式会社 旅客サービス部 マネージャー ANA「スペシャルアシスタンスカウンター」。レンタル車いすは金属探知機が反応しない樹脂製。「探知機の反応音がストレスになる」というお客さまの声に応えて開発された。 私たちのおもてなしで、空港を特別な空間にしたい。 大石 そうかもしれませんね。こういう情報交換はとても有意義ですね。 ―― これからの空港は、どのような意識を持つことが大切だと思われますか? 武江 私が店頭に立っていて感じるのは、お客さまのサービスを見る基準がとても高くなっているな、という点です。東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向かって、さらにさまざまなお客さまがいらっしゃいますから、私たちにはより一層、一人ひとりの立場に立ったおもてなしが求められると思います。空港という場所を、私たちのおもてなしで、さらに楽しんだり感動したりしていただける特別な空間にしていきたいですね。 中島 確かに、お客さまの求める基準が上がっているのは感じます。羽田空港はいろいろな格付けで評価をいただいていますから、そのぶん期待が大きいのではないでしょうか。評価いただいた初心を忘れずに、期待を超えるサービスを展開する気持ちを持ち続けることが大切だと思います。職員が、手話や英会話、介助といったスキルを磨いて、自信を持って応対できるようになることで、羽田空港に勤めていることを誇りに思えるようになってもらえたらいいですね。 山口 当社は多くの中国語圏の方に利用いただいているので、英語だけでなく中国語の習得も目指したいと思っています。中島さんもおっしゃったとおり、語学や技術を磨いた結果、自信を持って応対できるようになることが、お客さまに空の旅を快適に楽しんでいただけることにつながると思うので、スタッフの教育もますます進めていきたいと思います。 野川 心の教育も大切ですよね。当社は、車いすのままバスに乗降できるリフト付きバスを、T-CAT と羽田空港国際線旅客ターミナルの間で実証運行しており、今後もバリアフリー対応を拡大していきたいと考えています。また、「心のバリアフリー」を推進し、全職員がすべての人にユニバーサルサービスができるよう努力をしていきたいです。 大石 サービス介助士の資格を持っているスタッフだけがその技術を生かすのではなく、それを広めていくことも大切ですよね。どこで誰が応対しても、この会社は、そして羽田空港は、さらに言えば日本の空港は安心だね、と思っていただけるように、知識や技術を共有していきたいと思います。 山下 そうですね。例えば手話が必要なお客さまは全体のお客さまの数から見れば少ないかもしれません。でも、どんなお客さまのご要望にも応えられる対応力こそが、羽田空港の評価につながると思うんです。ハード面の強化はもちろん、一人ひとりのスタッフが、お客さまが求めるさまざまなことに気づけるような心がけを持つことが、より重要になってくると思います。 堯天 私も、お客さまに安心していただくことがなにより大切だと思います。今まで飛行機に乗るのを躊躇していたような人でも、乗ってみたいな、と思っていただける会社であり、空港でありたいと思いますね。障がいのあるなしにかかわらず、すべての人が安心して快適に空の旅を楽しんでいただけるのが理想の姿だと思います。 ―― 本日はお忙しいところありがとうございました! これを機に、各社が連携して、よりよい空港をつくっていただければ幸いです。 中島 葵さん 日本空港ビルデング株式会社 管理本部 総務・人事部 人事・労務厚生課 武江 寛子さん 株式会社羽田エアポートエンタープライズ 東京食賓館 主任 ? P30 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2017 Summer Vol.12 CONTENTS 04 ロングインタビュー 誰もがかけがえのない、ユニバーサル社会を目指して。 ユニバーサルデザインアドバイザー 松森 果林さん 09 ケアフィット ファーム勝沼レポート 今年もぶどうづくりの季節がやってきました! 10 未来創人〜みらいつくりびと 一般社団法人HAND STAMP ART PROJECT 横山 万里子さん 12 おも活 13 特別レポート ジェロントロジー国際学会 in Miami 14 ボランティア活動TOPICS 16 学生団体flat〜ふらっと〜 ふらっと日記 17 care-fit通信 23 羽田空港大特集 担当者インタビュー 優しさの現場から 29 Special symposium & interview 羽田空港大特集! スペシャル座談会  オール羽田でお客さまサービスの向上を 次号予告 『紲 Kizzna』vol.13は 2017年8月25日(金)発行予定です。 日本ケアフィット共育機構の フェイスブックページのご案内 日本ケアフィット共育機構の活動報告やイベント告知をアップしています。現場からの生の声もたくさん。あなたの「いいね!」をお待ちしております! https://www.facebook.com/ ncsa.carefit/?fref=ts ? P31 すべての人にやさしい社会をめざして 日本ケアフィット共育機構がご提供する3つの学び 防災介助士 災害にどのように備えるか、災害時にどのように行動するかを理解、実践する資格。 サービス介助士 高齢の人や障がいのある人をお手伝いするときの「おもてなしの心」と「介助技術」を学ぶ資格。 認知症介助士 誰もがなり得る認知症について、正しい知識と応対方法を学ぶ資格。 新たな学びのご案内 〜いくつになっても食事を楽しめる環境をめざして〜 日本ケアフィット共育機構×江上料理学院のタッグで新しい学びをスタートさせます。 6月1日(木)「シニアフードアドバイザー」が学びのラインナップに加わります!! 詳細は下記QRコードから日本ケアフィット共育機構ホームページをご覧ください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町 2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB:http://www.carefit.org/ H4 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2017 Summer Vol.12 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい Special symposium & interview 羽田空港 大特集! オール羽田で お客さまサービスの向上を