H1 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2017 Winter Vol.14 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい 誇りを持って、安全・安心な駅づくりを 鉄道会社スペシャル座談会 Weave the future together. 織りなす、未来。 ? P.02-03 KIZZNA vol.14 Theme 紡ぐ 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」紲。 第14号のキーワードは「紡ぐ」です。 私たちは、ややもすると言葉や表情から安易に相手を理解したつもりになってしまいがちです。 でも、本当に相手を理解するためには、ときには行き詰まったり、ぶつかり合ったりしたとしても、 目には見えない心と心で、通じ合おうとする気持ちを持ち続けることが大切なのではないでしょうか。 今号の取材を通して、そんな思いを強くしました。 今回ご登場いただいたのは、「紡ぐ」人たち。優しさを紡ぎ、 人と人との想いを繋げてゆく彼らの言葉に接した皆さんが、 読み終えたときに大切な誰かに自分の想いを届けたくなる。 そんな誌面を目指してつくりました。 Kizzna  2017 Winter vol.14 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2017 Winter Vol.14 CONTENTS 04 鉄道会社スペシャル座談会 in 大阪 誇りを持って、 安全・安心な駅づくりを ■ 近畿日本鉄道株式会社(近鉄)  丸新 大介さん/犬賀 雄志さん ■ 京阪電気鉄道株式会社(京阪)  佐伯 優さん/石田 純一さん ■ 南海電気鉄道株式会社(南海)  中小路 純也さん/森田 和也さん ■ 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)  青木 豊太さん/大田 三好さん/北島 春香さん ■ 阪急電鉄株式会社(阪急)  稲垣 達哉さん/小紫 美香さん ■ 阪神電気鉄道株式会社(阪神)  上島 慎平さん 10 未来創人?みらいつくりびと NPO 法人 チャリティーサンタ 代表理事 清輔 夏輝さん 12 おも活 豊島区立高南小学校の皆さんがおも活に参加してくれました! 13 つなキャン! 大学生の活動レポート パラロック! 〜世界中の国と選手を応援しよう〜 14 ボランティア活動TOPICS 16 care-fit通信 24 特集 障がい者雇用 25 日本理化学工業のチョーク工場におじゃましました! 29 Interview with leader 日本理化学工業株式会社 代表取締役社長 大山 隆久さん 発行人 畑中 稔 発行所 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 URL: http://www.carefit.org E-mail: toiawase@carefit.org 製作 タクトシステム株式会社 制作 株式会社フリート 編集長 中川純一 編集 城田晃久 取材・文 城田晃久 撮影 西原樹里 平野慎一 和田咲子 阿部 栄一郎 伊原正浩 岡村智明 アートディレクション&デザイン 笛木 暁 印刷 日経印刷株式会社 本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、転載することは禁じます。 ?Kizzna 2017 Printed in Japan ? P.04-09 Special symposium in OSAKA 鉄道会社スペシャル座談会in大阪 誇りを持って、安全・安心な駅づくりを まだ暑さの残る9月半ば。日本ケアフィット共育機構大阪事務所において、近畿地方を走る鉄道会社6社によるスペシャル座談会が開催されました。駅や鉄道を利用するお客さまの安全と安心のために、またこれからの共生社会に向けて、各社はどのような取り組みを行っているのでしょうか。 南海電気鉄道株式会社(南海) ここに注目! 南海といえばラッピングカー。加太さかな線を走る「めでたいでんしゃ」は、乗るだけでおめでたい気分になれますよ! 中小路 純也さん(なかしょうじじゅんや) 鉄道営業本部 運輸部 鉄道研修センター 兼任教師 森田 和也さん(もりたかずや) 鉄道営業本部 運輸部 業務課 主任 京阪電気鉄道株式会社(京阪) ここに注目! この8月から新しく8000系特急車両に「プレミアムカー」を導入しました。海外からのお客さまに大人気です! 佐伯 優さん(さいきまさる) 営業推進部 管理課長 石田 純一さん(いしだじゅんいち) 営業推進部 管理課 総務担当 係長 近畿日本鉄道株式会社(近鉄) ここに注目! 観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」です。乗って楽しめる電車として、たくさん利用してほしいです! 丸新 大介さん(まるしんだいすけ)(左) 鉄道本部 大阪統括部 運輸部 運輸課 主査 犬賀 雄志さん(いぬがたけし)(右) 人事部 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) ここに注目! 大阪環状線が少しずつ新しくなっているのにお気づきですか? 323系車内の広い車いすスペースやWi-Fi環境、駅の発車メロディにも注目! 青木 豊太さん(あおきとよた) 鉄道本部 駅業務部 駅CS考動課 課長 北島 春香さん(きたじまはるか) 鉄道本部 駅業務部 駅CS考動課 大田 三好さん(おおたみ よし) 鉄道本部 駅業務部 駅CS考動課 阪急電鉄株式会社(阪急) ここに注目! うちの電車は変わらないように見えて、実はちょっとずつ新しい車両に入れ替わっているんです。違いがわかるかな!? 稲垣 達哉さん(いながきたつや)(右) 都市交通事業本部 運輸部 課長(業務担当) 小紫 美香さん(こむらさきみか)(左) 都市交通事業本部 運輸部 課長補佐(業務担当) 阪神電気鉄道株式会社(阪神) ここに注目! 阪神といえば、なんといってもタイガース!! 皆さまの熱い声援をよろしくお願いします! 上島 慎平さん(うえしましんぺい) 都市交通事業本部  運輸部 営業課 課長補佐 サービス介助士資格が、自信や使命感につながっている。 ――本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。各社とも、サービス介助士資格を導入いただいており、資格を取得された皆さんが活躍されていると聞き及んでいます。まずは、導入の経緯や背景についてお聞かせいただけますか? 犬賀(近鉄) 当社では2004年から導入しています。それまでもエレベーターや点字ブロックの設置といったハード面のバリアフリー化は進めていたのですが、駅や鉄道を、よりお客さまに安心してご利用いただける空間にするためには、スタッフが介助の知識や技術を身につけることが肝心と考え、導入に至りました。 中小路(南海) 私たちは、当時、近鉄さんから「いい資格があるよ」とお聞きしまして(笑)。2017年9月12日現在で193名が取得しており、取得者が各駅に波及させていくという方法で、介助の技術や知識を広めています。 上島(阪神) 私たちも同じ時期から導入を開始しました。特徴としては、駅係員だけではなく車掌や運転士もサービス介助士資格を取得しているところでしょうか。駅や時間帯によってはどうしても駅係員の目が届かないことがありますから、職種に関わらず、駅全体で介助が必要なお客さまのお手伝いをしていこうという方針をとっています。 稲垣(阪急) 当社では2004年あたりから導入しているのですが、当時取得した者からのリクエストもあり、昨年、導入以来初めてサービス介助士の復習教育を実施しました。参加者からは最新の情報にアップデートできたと好評でしたね。私も忘れていた知識を思い出せました(笑)。 ――サービス介助士資格を取得したスタッフやお客さまからは、どのような感想が寄せられていますか? 佐伯(京阪) 取得したスタッフからは介助の技術はもちろんですが、高齢者疑似体験などを通して得られるマインドの部分が大きかった、という感想を聞きました。なぜご高齢の方が財布から小銭を出しづらいのかを身をもって経験することで、相手の立場で考えられるようになる。その意識が、あらゆるお客さまに対する接遇の向上につながっていると言えるのではないかと思います。 青木(JR) 確かに、実際に体験してみないとわからないことってありますよね。サービス介助士の研修は身体を動かしたり体験したりできるので、座学ばかりのほかの研修と比べて楽しかったという声が多いです。 森田(南海) 最近、駅係員の応対に関して好意的な声をよく聞くようになりましたね。人間のやることですから、ときには失礼や失敗をしてしまうこともあるのですが、そんなときでも、普段からサービス介助士の学びを実践することでお客さまとの信頼関係が築けているので、「大丈夫だよ、ありがとう」と言っていただけます。誠意を込めた日々の応対の積み重ねの重要性を感じています。 大田(JR) サービス介助士資格を持っている社員が積極的に周囲に介助方法を指導している様子などを見ると、資格を持つことが誇りや使命感につながっていると感じます。当社も、サービス介助士のバッジ着用の準備を進めています。お客様への安心感と社員のマインド向上を期待しています。 ――駅や電車はさまざまな方が利用される空間だと思います。どのような意識を持ってお客さまに応対することが大切だと思われますか? 青木(JR) 当社では、サービス介助士の研修とセットで、障がい当事者の方々を招いてお話しを聞く機会を設けています。どんなことを不安に思っているのか、緊急時にはどのように声かけをしてほしいのかといった意見を聞いたり、ディスカッションすることで、障がいへの理解が深まっていると思います。そこで感じるのは、駅係員や乗務員だけではなく、駅に関わる全員が見守りの意識を持つことの必要性です。“見守る目を増やす”ことはとても大切なことだと思います。 森田(南海) その通りだと思います。当社では、お客さまから誘導のお申し出があればもちろんお手伝いしますし、希望されない場合にもホームまで見守り、乗降を見届けるようにしています。さらに、構内放送による、お客さまに向けた共助の呼びかけを行っています。 佐伯(京阪) 私たちも、共助の意識がポイントになってくると考えています。これから、車いす利用の方やご高齢の方が駅だけでなく街なかにも増えてきますから、駅を利用されるお客さまに構内放送や車内放送で共助を呼びかけ、社会全体の見守りの意識を高めるのも私たちの役割ではないかと感じています。 上島(阪神) もうひとつ、私たちは鉄道会社ですから、安全への意識は欠かしてはいけないと思っています。現在当社では高架化を進めて踏切を減らし、安全性を高める施策を実施していますが、ハード面の安全性に安住するのではなく、お客さまの流れを把握する、積極的な声かけを行うなど、できあがったハードをより安全に活用していくことがなにより大切だと思います。 ――共助と安全性。鉄道会社ならではの素晴らしい取り組みだと思います。近年は海外からのお客さまも増えていますよね? 青木(JR) そうですね。空港経由で海外から来阪されるお客さまのなかには、今の日本の鉄道では使えない規格の車いすを利用されている方もいらっしゃいます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けていろいろと検討しなければならないと思っています。 森田(南海) なんば駅は、日本人より海外のお客さまのほうが多く利用されているくらいで、海外のお客さまが窓口に列をつくっている状況です。指差しツールをつくってご要望を素早く理解できるようにしてはいるのですが、まだまだスムーズに応対できているとはいえないですね。 北島(JR) 当社でも社員に向けた教本に簡単な英語や中国語、韓国語のフレーズを掲載してはいますが、実際に活用できているかというと、難しい点も多いかもしれません。 小紫(阪急) ツールを使うより身振り手振りを交えてお話しするほうがよく伝わったりもしますしね(笑)。とはいえそれでは心もとないですから、当社でもまずは監督者を対象に訪日外国人の応対研修を実施していく予定です。 犬賀(近鉄) 当社の沿線には京都や奈良といった海外の方に人気の観光地があるので、駅の案内表記や駅車内放送の多言語化を積極的に進めています。わかりやすい案内表記、コンシェルジュの配備など、海外の方が使いやすいサービスは、日本のお客さまにとっても使いやすいサービスになると思います。 ――今後、私たち日本ケアフィット共育機構は、どんなお手伝いができそうでしょうか? 青木(JR) サービス介助士資格を持っている方に介助ボランティアをやっていただけるとありがたいですね。安全に関わるご案内は駅係員や乗務員が対応しますので、見守りや声かけをしてくれるだけでも見守りの目を増やせますし、お客さま同士の共助の意識も高まると思うのです。あとは、子どもたちへの啓蒙活動も広めたいと考えています。私たちが事務局をしている「鉄道少年団」という活動があるのですが、その一環で「おも活※」を体験できたらな、と思っています。 大田(JR) VRで疑似体験みたいなことってできませんかね? 例えば視覚に障がいのある方が駅のホームを歩くときにどれだけ不安を感じるか、VRで体感できたりするといいですよね。 犬賀(近鉄) 他社さんともっと介助について情報共有する機会が増えるといいですね。自社だけではなかなか最新の状況が掴みきれないところがあるので、今日のようなディスカッションの場や勉強会を開催していただけるとありがたいです。 上島(阪神) これからも全国・全世界から来阪されるお客さまに喜んでいただけるよう、ともにホスピタリティマインドを育んでいければと思います。それと、来年は甲子園で開催される全国高校野球選手権大会が記念大会となりますから、一緒に盛り上げていただけると嬉しいですね(笑)。 ――承知しました(笑)。これからも、誰もが安全に暮らせる社会の実現に向けて協力していければと思います。ありがとうございました! ※おも活:日本ケアフィット共育機構のサービス介助士・講師が小学校を訪問し、「おもてなしの心」「おもいやりの心」を育む出張授業。 見守る目を増やし、共助の意識を社会に広めたい。 海外の人が使いやすいサービスは、日本人にとっても使いやすい。 ? P.10-11 未来創人 みらいつくりびと 未来を見据え、どんな困難も楽しみながら乗り越える。 そんな人生の達人を、私たちは『未来創人(みらいつくりびと)』と名づけました。 NPO法人 チャリティーサンタ 代表理事 清輔 夏輝さん 究極のゴールは、世界平和です。 得られる幸せの次元が違う。 10年目の『チャリティーサンタ』 「すいません、お水もう少しいただけますか?」午前中は水をたくさん飲まないといけなくて。そう言って、差し出されたペットボトルの水をぐいっと飲む。聞けば、最近ハマっている断食(ファスティング)への調整期間なのだという。「胃腸って、24時間365日働き続けてるじゃないですか。それを休ませることで、体調がすごくよくなるんです。知ってますか? 長生きした偉人って、みんな断食を経験してるらしいですよ」。科学的なのかそうでないのか…でも、不思議と説得力のある言葉の主こそが、今回の未来創人、清輔夏輝さん。「NPO法人チャリティーサンタ」の代表理事である。 チャリティーサンタでは、保護者から預かったクリスマスプレゼントを、サンタの扮装をしたボランティアが子どもたちに届ける活動と、寄付金による世界中の子どもたちへの支援活動を並行して行っている。今年で10年目を迎え、いまや23都道府県、全国に30支部を抱える大所帯だ。「チャリティーサンタの醍醐味は、ボランティアの人たちも、大きな感動を得られることです。誰かを喜ばせるって、本当に素晴らしい体験なんですよ」。それにね、と続ける。「10年も続けていると、子どもの頃にサンタからプレゼントを受け取った子が、今度はプレゼントを届ける側で参加してくれるようになるんです。嬉しいですよね」。これまで、興味の赴くままにさまざまな仕事や活動を経験してきたという清輔さん。「正直、もっとお金になる仕事もやっていました。でも、おじいちゃんになってもやり続けたいと思ったのはこの活動だけです」。チャリティーサンタを通じて得られた幸せは、これまでとは「次元が違った」のだという。「この幸せを、もっとたくさんの人に味わってほしいですね」。クリスマスシーズンに向けて、準備に追われる日々だ。 芯を持って、縁を大切に。 世界が平和になる日を夢見て。 今の自分を形づくっているのは、「母親」と「ヒッチハイク」。母親から「あなたの世界はここだけじゃない。外にはもっといろいろな世界があるんだよ」と、価値観の多様性を当たり前のこととして育った清輔さんは、ルールに流されるのではなく、自分のなかにしっかりとした芯を持つことの大切さを学んだという。「例えば、駅で困っている人に声をかけるのが恥ずかしいみたいな世間の風潮があるじゃないですか。でも、それは明らかに間違いですよね。だから、自分がお手伝いしたいと思う気持ちに素直に行動すべき。そう考えられるようになったのは、母親のおかげです」。 そして10代後半にハマったヒッチハイクで得たのは、「縁は奇跡」という考え方。「Aさんの車に乗せてもらえなかったらそのあとBさんとは出会えなかった。そう考えると、決断や選択のひとつひとつが人生をつくるということがよくわかるんです」。だから今でも、誘いはなるべく断らない主義を貫く。「このインタビューも、ご縁ですよね。もしかしたら、ここから人生を動かすような何かが始まるかも」。芯を持ち、縁を大切にすることは、自分の選択に責任を持つことに繋がる。その言葉に宿る不思議な説得力の秘密に触れられた気がした。 今、清輔さんは、ひとつの夢を描いている。「知ってますか? 人類の歴史のなかで、世界中が平和だった日は1日もないんです。もしも世界中の人たちが、クリスマスの日だけでも、武器をプレゼントに持ち替えてくれたら。それはすぐにできることではないと思います。世代をまたいで、少しずつでもチャリティーサンタの価値観を共有してくれる人が増えれば、もしかしたらそんな1日が実現できるかもしれない」。究極のゴールは世界平和。清輔さんの口から聞くと、途方なさすぎるその言葉も、絵空事では終わらないはず。そんな気がしてくる。 サンタクロースとして参加するボランティアは、サンタになりきるための「サンタ講習会」に参加し、オリジナルの衣装を身に包む。苦労する分、子どもたちの笑顔が格別のご褒美になる。 チャリティーサンタを始めたきっかけは、ヒッチハイクをしていたときに出会ったとあるお寺の住職の「受けた恩は次の人に返せばいいんだよ」という言葉。チャリティーサンタの活動には、この「恩送り」の考え方が通底している。 Profile NPO法人 チャリティーサンタ 代表理事 清輔 夏輝(きよすけ なつき) 1984年生まれ。千葉県出身、福岡育ち。高等専門学校を卒業後、建築設計事務所に就職も1年で退職。ヒッチハイクで日本中を回りながら、ITマーケティングや環境活動などに取り組むなかで、チャリティーサンタの活動を開始。『NPO法人チャリティーサンタ』代表理事。 NPO法人 チャリティーサンタ 2008年から活動を開始し、2014年にNPO法人化。『世界中の子どもたちが笑顔になれる社会をつくる』ことをミッションとし、クリスマスシーズンのサンタ活動と、そこで集まった寄付金で行うチャリティー活動を両輪として活動。これまでに、延べ1万人以上のサンタクロースが参加し、延べ2万人以上の子どもたちに、夢と特別な思い出を届けている。 HP: http://www.charity-santa.com/ Facebook: https://www.facebook.com/charity.santa/ ? P.12 おもてなしの心、 おもいやりの心を大切に。 おも活 「そっと、さっと、あんしんを。」プロジェクト おも活とは・・・ 日本ケアフィット共育機構のサービス介助士・講師が小学校を訪問し、子どもたちに障がいのある方への案内方法やレクリエーションを通して、相手の立場になって考えることの大切さを伝える活動。日本ブラインドサッカー協会が開催するダイバーシティ教育プログラム「スポ育」実施校に対しても活動を展開し、2020年に向けてボランティア文化を育てていきます。 豊島区立高南小学校の皆さんがおも活に参加してくれました! 10月3日(火)、豊島区にある高南小学校でおも活を実施しました。参加してくれたのは4年生、62名の皆さん。体験中から友だち同士で声をかけ合うなど、思いやりの気持ちを発揮しながら参加してくれた子どもたちの姿が印象的でした。 今回もみんな元気いっぱいだったね! 参加してくれてありがとう! お助けノ介 アイマスクをしたお友達を、段差を越えて椅子までご案内します。まずは元気な挨拶でコミュニケーション。 ひとりしか通れない狭い道。ふたりともぶつからずに安全に通り抜けるためにはどうしたらいいか。それぞれが考えて、チャレンジしていきます。 今日学んだことの総復習。さまざまな障害物のある体育館のなかをご案内します。上手にできるかな? 担当の遠山先生より 「なんとなく知ってはいるけれど、考えたことがない」児童にとってそのようなことがたくさんあるなかで、今回このおも活を通して深く体験的に学ぶことができてよかったです。 おも活を一緒に運営してくれる 学生アシスタント大募集! アシスタントとしておも活に参加してくれる学生さんを募集します! 子どもが好きな方、教育関係に興味のある方、一緒におも活を盛り上げませんか? ●参加の流れ 2018年1〜3月 研修(スポ育・おも活見学、 アシスタント養成講座) 2018年4月〜 おも活アシスタント参加 ●募集要項 資格:大学生もしくは専門学生。日本ケアフィット共育機構の理念と事業に共感できる方で、サービス介助士・サービス介助基礎検定・TASKALセミナー修了者。 ※交通費・謝金として1,000円支給 詳細は下記の日本ケアフィット共育機構ホームページまで! 学校関係者、保護者の皆さまへ 日本ケアフィット共育機構では「おも活」に参加していただける学校、施設を募集しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB http://www.carefit.org/ ? P.13 つなキャン! 大学生の活動レポート Campus × Relationship キャンパス×リレーションシップ つながるキャンパス略して「つなキャン!」では、誰もが暮らしやすい社会づくりのために活動する大学生たちが、さまざまな人たちと手を取り合い、つながっていく様子をレポートします! CASE.3 パラロック! ?世界中の国と選手を応援しよう? 8月26日(土)恵比寿ガーデンプレイスにて、大学生を中心とした任意団体が主催する「パラロック〜2020年、世界中の国と選手、ハンディキャッパーを応援しよう!〜」が開催されました。このイベントの目的は、2020年を先取りして、スポーツイベントを楽しみながら、障がい者や外国人とのふれあいを体験すること。当日は、ブラインドテニスやブラインドサッカーをはじめとする障がい者サッカーの競技紹介プログラムや、ブラスバンドやチアダンス、コーラスなどの応援プログラムを実施。障がいのある子どもたちの手形を世界に届けるハンドスタンプアートプロジェクトのブースにも、多くの方が訪れていました。 TOPIC 多様な人たちと一緒に楽しくイベントづくり この日は、事前にサービス介助基礎検定を受講した國學院大學や獨協大学の学生たちが介助ボランティアとして参加していました。忙しく動き回りつつ、多様な人たちと一緒に、誰かを応援することのすばらしさを存分に味わえたようです。このイベントの準備にも時間を費やした彼ら。企業や一般の人たちとイベントをつくりあげる経験を通して、貴重な学びが得られたと、充実した表情で振り返ってくれました。 佐藤 周平さん 國學院大學 経済学部 経済学科4年 障がいのある方と自身の感覚の違い、今まで思っていた障がいのある方に対する「なんとなく」のイメージが変わり、実感を持つことができました。これから街なかで障がいのある方を見かけたときにも、自分から声をかけてお手伝いをする自信がつきました。サービス介助基礎検定の研修と今回のイベントを通して、障がいのある方と自分の間にあった心理的な隔たりが払拭されたからこそだと思います。 櫻井 雄平さん 獨協大学 経済学部 経営学科2年 選手の方々の誘導や障がいのある方が、イベント(ハンドスタンプ)に参加していただく際、研修を事前に受けていたおかげで迷わず適切な行動をし上手くサポートすることができました!? P.14-15 ボランティア活動 T O P I C S 日本ケアフィット共育機構では、サービス介助士やボランティアの皆さんとともに、 誰もが同じように娯楽やスポーツ、日々の暮らしを楽しめるお手伝いをしています。 次はあなたも一緒に参加してみませんか? インドへの物資支援 ご協力ありがとうございました! 日本ケアフィット共育機構では、協力団体の「ケアフィットインド」を通じて、インドにある障がいのある子どもたちや高齢な方のための施設に支援物資を届けています。この取り組みは毎年恒例となっており、今年も全国から衣類や子ども用のおもちゃなど、さまざまな支援物資が寄せられました。集まった段ボール15箱分の物資は、皆さんの想いも詰め込んで、日本ケアフィット共育機構が責任を持ってインドへと発送しました。到着はクリスマスシーズンを予定しており、現地の子どもたちへのクリスマスプレゼントにもなります。今年もたくさんのご協力、誠にありがとうございました。 障がいのある方による音楽コンサート「第14回ゴールドコンサート」 9月16日(土)、障がいのある方による国内最大級のコンサート「第14回ゴールドコンサート」が開催されました。今年も、サービス介助士ボランティアが運営をサポート。総勢14名の皆さんに集まっていただきました。なかには連続で参加するサービス介助士ボランティアさんもおり、ほかのボランティアの皆さんや来場されるお客さまともすっかり顔なじみに。みんなで一緒に応援する温かい雰囲気が一層高まり、イベントの盛り上がりにひと役買っていました。 会場は全館バリアフリーで、インターネット中継も実施。よりたくさんの人たちが演奏を楽しめるよう配慮されていました。 総勢40名がボランティア参加! 「第10回車いす利用者江の島見学会」 10月6日(金)、藤沢湘南ライオンズクラブ主催の「第10回車いす利用者江の島見学会」が開催されました。毎年大人気のこのイベント、今年は総勢40名のボランティアでサポートしました。当日は雨天が予想されましたが、見学会中は雨も降らず、江の島山頂からの景色も楽しむことができ、参加した皆さんは大満足のご様子でした。 ボランティアの中心になってくれたのは、例年参加いただいている東洋大学国際観光学科・島川ゼミのサービス介助士を取得された皆さん。なかには、今回で3回目の参加という人も。このボランティア活動は毎年後輩に引き継がれ、卒業生は観光やエアライン関連の企業へ就職されます。サービス介助士の学びとボランティア経験が、皆さんの今後の活躍に繋がっているんですね! 大阪初開催! 「ジャパンウォーク in OSAKA」 10月9日(月・祝)体育の日にヤンマースタジアム長居で「ジャパンウォーク in OSAKA」が行われました。ジャパンウォークは、2020年に東京で開かれるオリンピック・パラリンピックを盛り上げ、障がいのある人もない人も分け隔てなく、共に暮らす社会を目指すことをコンセプトとしたウォーキングイベント。今回、大阪初開催となりました。 大会当日は40名を超えるサービス介助士メンバーがボランティアとして活動。実行委員会参画企業に加え、ホスピタリティツーリズム専門学校大阪、滋慶おもてなし&ブライダル・観光専門学校、ECC国際外語専門学校の学生の皆さんが、会場内の介助対応、誘導案内、参加選手への対応、ゴール付近でのおもてなしを担当しました。暑い1日でしたが、ゴールした参加者の皆さんと感動を分かち合うなど、貴重な体験となったようで、充実した表情が印象的でした。 石田 琉盛()るいせさん ホスピタリティツーリズム 専門学校 大阪 ボランティア活動は初めてだったので、今回ジャパンウォークに参加をして、具体的にどのような活動をしているのかを知ることができました。お手伝いのなかで、大会参加者をはじめ多くの方々とお話しすることができ、サービス介助士の資格を生かす機会もたくさんありました。このような、たくさんの人の役に立てる機会があったら、また参加したいと思います。 ボランティアに興味のある方、サービス介助士講習に興味のある法人、個人の方 資料請求・問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 http://www.carefit.org/ ? P.16 三菱UFJ信託銀行のサービス介助セミナー ■ 段階的に対象者を増やし、学びを波及させていく。 2016年に3時間版のサービス介助セミナーを実施。まずは責任者が介助の必要性や介助方法を学び、支店に展開することを目的として、各支店の内部管理責任者が受講。現在は全支店で、主にロビー担当者、窓口担当者など、直接お客さまと接する機会の多い従業員を対象に、1時間版のサービス介助セミナーを実施中。今後は継続的なセミナーの実施やサービス介助基礎検定の取得も視野に入れつつ、支店全員が同じ想いで応対できるようになることを目指しています。 三菱UFJ信託銀行の社会貢献活動 ■ 地球環境問題への取り組み?ピーターラビット?未来へつなぐ森? 2009年5月、長瀞町および埼玉県と「埼玉県森林づくり協定」を締結し、長瀞町宝登山地内にある共有林(約1ha)で森林保全活動を継続しています。「ピーターラビットTM未来へつなぐ森」と名づけた森で、植樹や下草刈りなどの活動に、役職員やその家族が参加。2017年7月には、61名が参加し、木々の成長を助ける下草刈りを行いました。 ■ 少子高齢化問題への取り組み?認知症サポーターの養成? 認知症サポーターの育成を目的に「認知症サポーター養成講座」を実施しています。特にリテール業務に携わる従業員の受講を必須とし、認知症の症状や対応方法などについて理解を深めています。認知症患者の増加が見込まれるなか、地域社会への貢献につながるよう取り組んでいます。 ■ 東日本大震災復興への取り組み?女川復興ガーデン? 東日本大震災の復興支援にも積極的に取り組んできました。2014年2月には、世界的な庭園デザイナーである石原和幸氏制作のガーデニングディスプレーを宮城県の女川町にある女川町地域医療センター敷地内に寄贈。現在も仙台支店の従業員が定期的に訪れ、花の植え替えや清掃を行っています。 ? P.17 care-fit 通信 サービス介助士トピックス サービス介助研修導入レポート「三菱UFJ信託銀行株式会社」 お客さまに信頼される「心の伝わる応対」を。 大和 佑美子さん(やまとゆみこ) 三菱UFJ信託銀行株式会社 経営企画部 CSR室 小川 清美さん(おがわきよみ) 三菱UFJ信託銀行株式会社 本店営業部 営業室 店頭課 調査役補  三菱UFJ信託銀行では、昨年からサービス介助の学びをセミナー形式で取り入れています。講師が各支店に訪問し、実際の現場を使って学べる実践的なセミナーは、従業員にも好評とのこと。サービス介助の学びの導入を企画されている大和さんと、お客さま応対を業務とされている小川さんにお話しを聞きました。 実践的な学びから多くの気づきを得る 大和 当社では、信託という業務の性質上、ご高齢のお客さまが多いということもあり、以前から支店のバリアフリー化や書類・手続きの簡素化などには積極的に取り組んでいましたが、さらに昨年、障害者差別解消法の施行をきっかけとしたグループ全体の取り組みとして、障がいのあるお客さまやご高齢のお客さまへの応対力を強化することになりました。まずはルーペや筆談器などの応対ツールを整備するところから始め、それらの正しい使い方やお客さまへの配慮を学ぶために、サービス介助セミナーを実施することになりました。 小川 普段勤務している店舗で講習を受けられたので、たくさんの気づきがありましたね。車いす利用のお客さまをご案内する際の動線やほかのお客さまへの配慮の必要性などを、より実践的に学ぶことができたのがよかったと思います。先日、車いす利用のお客さまが来店された際には、ロビー担当者と窓口担当者が連携して、スムーズにご案内することができました。 大和 聴覚や視覚に障がいのある方に対しても、慌てずに応対できるようになったという声も聞いています。よりお客さまに安心してご利用いただける店舗に近づけている実感がありますね。 全社員が当たり前に応対できる店づくり 大和 ご高齢のお客さまはますます増えていきます。そのニーズに追いついていくためにも、サービス介助の学びは全社員が当たり前に身につけておく必要があると思っています。ご来店いただいたお客さまを、スムーズに、さりげなくご案内できる店舗づくりを目指したいですね。 小川 私たちが常々心がけているのは、「心の伝わる応対」です。窓口へのご案内から書類の説明に至るまで、心を込めてお客さまと接し、ご満足いただけるサービスを提供することが私たちの務めです。そのために、サービス介助の学びは欠かせないものだと実感しています。 大和 信託銀行は、人生のさまざまな場面でお客さまご自身のことをお話ししていただかなければなりません。お客さまに信頼いただくためにも、いつなんどき、どのようなお客さまが来店されてもしっかり応対できるように、人材を育てていきたいと思います。 お話しを聞いた大和さん(右)と小川さん(左)。「現場の声を反映して、より信頼される応対を目指します」。 ? P.18 care-fit 通信 サービス介助士トピックス 「ありがとう運動」開始記者発表会 8月28日(月)に京王プラザホテルにおいて、ユニバーサル・コミュニケーション・カンファレンス(ユニコミ)にも登壇いただいた郡司ななえさんが会長を務める、全日本盲導犬使用者の会の皆さまにより「ありがとう運動」開始の記者発表会が、開かれました。「ありがとう運動」では、視覚に障がいのある方に対して声かけやお手伝いをしてくれた際に「ありがとう」を伝えるシールを渡して、盲導犬や視覚に障がいのある方への理解を促していきます。 記者発表会の後半では、サービス介助士を取得された京王電鉄の社員の皆さんによる視覚に障がいのある方のガイドデモンストレーションが行われました。サービス介助士の学びが、このような場面でも生かされているんですね。 このシールには、「ありがとう 」という言葉で人と人との心をつなげたい。そんな思いが込められています。 盲導犬利用者の交通事故や駅ホームからの転落事故を防ぐためには、ホームドアなどのハードに頼るだけではなく、ちょっとした気づかいや声かけが大切。 シニアフードアドバイザートピックス 低栄養に気をつけよう! 日本人は高齢になると肉や脂っこいものは控えて、野菜や魚中心の粗食が望ましいと考えがちですが、実は、その考えは危険です。食欲不振や嚥下、噛み合わせの問題などから、あまり食べない状態が続くと「低栄養」を招くおそれがあります。低栄養状態になってしまうと、痩せる、気力がなくなる、免疫力や体力が低下する、といった身体の変化が現れ、その結果、若い頃に比べて病気にかかりやすくなってしまいます。 身体全体の痩せ、ほほや目元のこけ、顔色の悪さ、むくみなどが見られる際は低栄養が疑われるので、早めに医療機関で検査を受けましょう。 POINT 低栄養予防には、カロリーアップの工夫が大切! 1日3食バランスよく食べることが大切ですが、食欲がないときなどは、カロリーとたんぱく質をアップして、低栄養を予防しましょう。 @たんぱく質を優先する。 食欲がないときは、ごはんよりもたんぱく質の多いおかずを食べる。 Aごはんとお味噌汁だけの食事はやめる。 ごはんに納豆やおかかをプラスしたり、お味噌汁に豆腐を入れるなど、 たんぱく質を補給できるよう工夫しましょう。 Bごま油やオリーブ油、マヨネーズを活用する。 料理の味付けにごま油やオリーブ油、マヨネーズなどを利用しましょう。 監修 江上料理学院 管理栄養士 吉野愛さん ? P.19 認知症介助士トピックス 認知症Q&A 第五回「同じ商品を何度も買いに来るお客さま」 認知症のこと、どれだけ知っていますか? 認知症介助士のインストラクターが、素朴な疑問にお答えします! Q 顔見知りのお客さまの様子がおかしい… 衣料品店を営んでいます。最近、近所に住む顔見知りのAさんが、たびたび靴下を買いに来るようになりました。先週は、同じ日に3度も来店し、同じ商品を購入していきました。Aさんの様子をよく観察してみると、目がなんとなくうつろで、会話がかみ合わないこともあります。このまま売り続けてよいのでしょうか? A ご家族とよく相談してみてください。 認知症による、記憶障がいや判断能力の低下が原因かもしれません。顔見知りの間柄であれば、ご家族に相談するのが一番でしょう。Aさんの場合は、お店でお話しすることで気持ちが落ち着くのかもしれませんので、接し方を変えるのではなく、ご家族と相談のうえ、あとで返品・返金してもよいでしょう。 もし、顔見知りではない方でご家族とも連絡が取れない場合は、地域の相談窓口を調べて連絡してみてください。高齢者の増加とともに認知症患者も増え、その数は460万人以上ともいわれる昨今、トラブルがあった場合にどこに連絡すればいいか前もって調べておくことも大切です。 回答者 宮本若菜 専門学校の非常勤講師を経て、現在サービス介助士・認知症介助士インストラクター。確かな知識と終始笑顔で穏やかなインストラクションに定評がある。 防災介助士トピックス 防災講演会 サービス現場の緊急対応 ?救急車が来るまでに企業がすべきこと? 10月17日(火)に、防災・救急救助のスペシャリストである月ヶ瀬恭子さんを講師に招いて、主にサービス業に従事されている方を対象にした防災講習会が開催されました。救急車の走行時間は全国平均で8.6分。しかし、通報を判断する時間などを含めると、実際に救急隊が処置を開始できるのは人が倒れてから13分を超える可能性が高いのだそうです。そこで大切なのが「救命の連鎖」の最初の3つの輪。「倒れた人のそばにいる人が救急車到着までに手を施すことができれば、倒れた人が助かる可能性が高くなります」と月ヶ瀬さん。普段からのシミュレーションと介助技術の備えが大切、というお話しに、参加者たちも大きく頷いていました。 講師 月ヶ瀬恭子さん 国士舘大学 防災・救急救助 総合研究所 講師  救急救命士、 AEDインスタレーションコンサルタント 救急救命士として病院で臨床を積みながら教育に従事。小中高等学校における防災・減災教育のほか、国士舘大学生を対象とした防災リーダー養成論および実習を実施。熊本地震、台風10号豪雨被害を受けた岩手県、鳥取県中部地震への災害ボランティア派遣を行った。 救命の連鎖 心停止の予防 早期認識と通報 一次救命処置(心肺蘇生とAED) 二次救命処置と心拍再開後の集中治療 ? P.20-21 特集: 障がい者雇用 Case Study あらゆる人たちがともに働き、ともに学べる場を。 ?ケアフィットファームの障がい者就労支援事業? ケアフィットファームの取り組み 日本ケアフィット共育機構では、2008年から山梨県勝沼の耕作放棄地の再生に携わっており、2016年7月から、甲州市塩山赤尾に障がい者就労支援事業所を開設。農業を中心に、利用者の就労支援を行っています。自然あふれる甲州市で利用者と共に笑顔いっぱいがんばっています。 障がい者就労支援事業とは 障害者総合支援法に定められた、機能訓練や生活訓練および、就労に向けた訓練や福祉的な就労、安定した就労をサポートする事業。ケアフィットファームでは現在「就労移行支援」と「就労継続支援B型」を実施しており、来年からA型も開始していく予定です。 就労移行支援 一般就労を希望する65歳未満の障がいのある方に対して、仕事に関する知識や能力の向上のために必要な訓練、就労に関する相談、実際の就労と職場への定着支援を行う。 就労継続支援 一般企業などで働くことが難しい方に対して、働く場所と、就労に向けた知識・能力の向上を目指す支援を提供。雇用契約を結ぶ「A型」と、雇用契約は結ばずに軽作業などを中心とする「B型」の2種類がある。 スタッフインタビュー 指定障がい者就労支援事業所 ケアフィットファーム サービス管理責任者 チーフ 竹川 華 一人ひとりの「心」を大切に、信頼関係を深めたい。 私の業務は、主にケアフィットファームの利用者本人の目標に合った訓練内容や方法が適性か確認し、プランを作成することや、新しい取り組みの企画・準備作業になります。皆さんと一緒に農作業や加工作業にも加わります。これまで農業経験がなかったので、自分たちの手で作物を育てる喜びや、食べる幸せを利用者と一緒に大いに味わっています。 ケアフィットファームでは、利用者が働くために必要な知識や技術を身につけていただくことはもちろんですが、私は、一人ひとりの「心」を大事にすることを心がけています。指導者という立場から、友人や家族のように、人と人との関係性を築いていくことで、信頼関係を結んでいくことが利用者本人の真の心や最大限の能力を引き出せる支援につながるのではないでしょうか。 ケアフィットファームのような事業所の存在は、まだまだ世の中に浸透していないのが現状ですが、私たちの目標は、障がいの有無に関係なく、高齢者や子ども、誰もが集い、笑顔溢れる地域コミュニティの実現です。そのために、受け入れ先の企業の方々や地域の方々に理解を広めていくことも、私たちの仕事だと感じています。 ケアフィットファームのこれから ケアフィットファームは、事業所設立1年を迎えました。これまで培ったノウハウを生かし、この先もさまざまな事業展開や働き方の改善を考えています。 本格的な6次産業化(農業×加工業×販売業) 生産から加工、販売までを統括して行う6次産業化を推進します。まずは、事業所に併設されている倉庫を改造し、農産物や加工品の直売所と食品加工場を開店。ケアフィットファームで栽培した新鮮なフルーツや野菜を無添加のドライフルーツやドライ野菜に加工。その他さまざまな商品を開発し、生産・販売する予定です。また、これまでは勝沼のワイナリーにワインの委託醸造を行っていましたが、来年オープンする「勝沼ワイン村」に参画し、ケアフィットファームのオリジナルワインづくりに挑戦していきます。 新たな障がい者就労支援事業を開始 ケアフィットファームが来年から開始する「障がい者遠隔地雇用支援サービス」は、ケアフィットファームで職業訓練を積んだ障がい者が、ケアフィットファームで働きながら企業と雇用契約を結び、企業とケアフィットファームが労務管理委託契約を結ぶサービスです。これを活用すれば、企業の所在地が遠方であっても、就労を希望する障がい者を雇用することができます。地方で暮らす障がい者に一般就労の機会を提供し、企業側も地方に貢献することができる、画期的なシステムです。 多様性を生かすプログラムの開発 「チームビルディング」とは、メンバーが互いの特性を理解して、一人ひとりが自分らしさを発揮しながら、ひとつのゴールに向かって進んでいける組織づくりのこと。夢中になれるアクティビティを通じてチームワーク向上を行い、職場環境をよりよいものに整えていきます。ケアフィットファームでは、これまでの就労支援ノウハウをもとに、チームビルディングの専門会社と共同開発した研修プログラムを用いて、農業体験を通した企業のチームワーク向上サポート事業を展開します。 日本版CCRCの実現 継続ケア付き定年退職者コミュニティ「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」とは、定年退職者が地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送りながら、医療や介護が必要なときには継続的にケアを受けられる地域づくりのこと。移り住んだ高齢者は豊かなセカンドライフを送ることができ、地方活性化にもつながるプロジェクトです。ケアフィットファームでは、勝沼の地域性や特徴を生かしながら、日本版CCRC構想の実現に向けて取り組んでいきます。 CAREFIT FARM 職業訓練 地方の障がい者 就労移行 労務管理 地方の障がい者 雇用契約 労務管理委託 首都圏企業等 ケアフィットファームで働く、障がいのある方が講師を務めます。 ? P.22-23 特集: 障がい者雇用 Interview 私の可能性を試してくれた会社に、感謝しています。 株式会社アクトコール HRチーム 木暮 雅寿さん 木暮さんは、2010年に糖尿病からの合併症で失明、東京視覚障害者生活支援センターで2年半の機能訓練と就労支援を受けたのちに、住宅関連のコールセンターの運営をはじめとするさまざまなサービスを展開している、株式会社アクトコールへ入社しました。それから3年半の業務経験を経て、いまや会社に欠かせない人材として、社内にとどまらない活躍を見せている木暮さん。障がい当事者の視点から、障がい者雇用について語ってもらいました。 多岐にわたる職務を自分から提案して実行 私は、就職活動を始めてから就職まで2年半もかかっています。70社くらいに履歴書を送ったのですが、採用に至った企業はありませんでした。全盲で、週に3回人工透析を受けなければいけない身体ということもあり、企業としてもハードルが高かったのでしょう。当社の説明会に参加したときには就職はほぼ諦めていて、ろくに企業情報も調べなかったくらいでした(笑)。なぜ私を採用してくれたのか、当時の採用担当者に聞いたら「木暮さんならこの会社になにかを与えてくれそうな気がしたから」ということでした。私のことを、障がい者としてではなく、ひとりの人間として見てくれていたんです。「なにをしてもらうかは、これから一緒に探していきましょう」という言葉がとても嬉しかったです。 現在の業務は多岐にわたっていて、まずコールセンターでの電話対応の品質管理。目が見えないほうがいろいろなことに気がつけるのではないかという発想で、私から会社に提案しました。今は新入社員の電話研修も担当しています。それから、社員との面談も私の業務です。仕事の愚痴を聞いてガス抜きするみたいなことですね。私が普段から上司にも言いたいことを言っているのをみんな知っているので、人には話しにくいことも私には話しやすいようです。そして、ノーマライゼーションについて知ってもらうための啓蒙活動。これは会社のCSR活動の一環でもあります。社内外向けの体験会や研修会、小学校を中心とした福祉教育の訪問授業など、最近は外出も増えています。 以前の私は、とても取材なんてしていただけるような人間ではありませんでした。目が見えなくなり、ようやくひとりで外を歩けるようになった頃、道行く子どもたちが「こんにちは」と声をかけてくれたんです。そのひとことが私を変えてくれたんです。自分は見守られているんだ、と周りの人たちに素直に感謝できるようになり、人には誠実に接しないといけないと思えるようになりました。会社にも感謝しています。今の私があるのは、この会社が私の提案を聞いて可能性を試してくれたからにほかなりません。今は会社に来るのが楽しくてしかたがないです。 普通、企業側も障がい者側も、自分たちが普段どんな仕事をしているのかを主張することってあまりないですよね。私は、目が見えなくてもこんなにできることがあるんだぞ、ということをもっと発信していきたいと考えています。私が勤務している「新宿」という地域には【視覚障がい者が多く集まる】という特徴があります。これは日本点字図書館をはじめ、視覚障がい者を支援する団体や、視覚障がい者当事者団体などがたくさんあるからです。これに課題意識を持ち、当社のCSRの一環として、「視覚障がい者理解」の取り組みを積極的に行っています。地域の小学校を中心に福祉教育訪問授業や地域イベントへの協力や参加など。これらの活動により通勤中にも交流をした子供たちからは「木暮さん!」と声をかけていただけるようになりました。 入社した当初、今のように充実した自分の姿は想像できませんでした。だから5年、10年後にどんな未来が待っているのか楽しみなんです。協力者や理解者を増やして、いつの日か、障害者雇用促進法や障害者差別解消法がなくても、障がい者が一般企業で働くのが当たり前の世の中になってほしいですね。 いつの日か誰もが普通に働ける世の中にしたい パソコン利用時は読み上げソフトを使う。時間短縮のために常に倍速設定。それでもきちんと聞き取ることができるという。 同僚の声 株式会社アクトコール HRチーム 佐藤 文香さん(さとうふみか) 株式会社アクトコール HRチーム チームリーダー 小内 涼さん(こうちりょう) 佐藤 木暮さんは、足音だけで誰だかわかるんですよ。実は目が見えているんじゃないかと思うこともしょっちゅうです。そんな木暮さんですから、つい私たちも障がいがあることを意識せずに接してしまいますが、それが当たり前なんだということに気づかせてくれたのも木暮さんでした。 小内 いつもはただの変なおじさんですが(笑)、いざというときには頼りになる存在です。これからも、木暮さんらしく働いてほしいですね。それが、暮らしを豊かにすることを目指す、アクトコールらしさでもあると思っています。 ? P.24 特 集 障がい者雇用?誰もが特性を生かして活躍できる社会へ? 巻頭インタビューに登場いただいた大山さんの経営する日本理化学工業では、その人の特性に合わせた工程をつくることで、障がいのある人でもやりがいを持って働ける職場づくりに成功されています。特集のなかで話を伺った木暮さんは、周囲の理解を得つつ、自ら提案することで自分の居場所をつくりました。今回の特集テーマは「障がい者雇用」です。この機会に、あなたの会社、そしてあなた自身の、障がいへの向き合い方、人との接し方について考えてみてください。 Interview 株式会社アクトコール HRユニット HRグループ HRグループチーム 木暮 雅寿さん(こぐれまさとし) CaseStudy 指定障がい者就労支援事業所ケアフィットファーム サービス管理責任者 チーフ 竹川 華さん(たけかわはな) 障害者雇用促進法とは 障がい者の雇用機会を広げ、障がい者が自立できる社会を築くことを目的に、1960年に「身体障害者雇用促進法」として制定。当初は企業の努力目標でしたが、1976年に義務化。1998年には知的障がい者の雇用も義務化され、来年以降は精神障がい者も雇用義務の範囲に含まれることになります。 同法の制定後、雇用障がい者数、実雇用率ともに上昇してはいますが、2017年の統計では、まだ法定雇用率達成企業の割合は5割未満。来年からの改正により、対象企業も増加します。引き続き、障がいのある人も平等に働く場所を見つけられる社会に向けた取り組みが求められています。 障害者雇用促進法の改正について @障がい者法定雇用率の算定基礎に精神障がい者が加わる。 A民間企業の障がい者法定雇用率が2.0%→2.2%に引き上げ。(2021年4月までに2.3%に) B法律の対象企業が、従業員50名以上から45.5名以上に。 ? P.25 潜入レポート 日本理化学工業のチョーク工場におじゃましました! 案内してくれたのは… 日本理化学工業株式会社 営業部 広報課兼 キットパスアート インストラクター事務局 佐藤 亜紀子さん 当社がつくっているのは、身体にやさしい原料からつくられるダストレスチョークや、つるつるしたガラスにも描けて簡単に消せるマーカー「キットパス」などの文房具です。今回見学していただいたのは、当社の主力商品のひとつであるダストレスチョークの製造工程です。今日は、15名ほどが作業をしているなかで、健常者はひとりしかいません。ほぼ障がいのある人たちだけで、高品質なチョークを製造しているんですよ。 ここがすごい! 高品質の秘訣 その人の特性に合わせた作業工程 知的障がいと言っても、理解度や特性は人それぞれ。できることを見極め、その人の理解度に合わせた工程を組むことで、みんなが思う存分力を発揮できる作業環境をつくり出すことに成功しています。人が工程に合わせるのではなく、工程を人に合わせる。素晴らしい発想の転換です。 ひとりで通勤できる人なら…! 意思の疎通の難しさやなかなか仕事内容の理解度があがらないことに悩んでいた泰弘さんは、ある日通勤する従業員たちを見ていて気がつきます。「信号がわかるなら、色で区別すればいいんだ!」。赤いバケツに入っている素材を量るのは赤いおもり。飛躍的に理解度が上がったのだそうです。 ダストレスチョークがつくられるまで 1 まだ柔らかいチョークを並べます。まっすぐ正確な長さで並べるには熟練の技が必要。 2 プレス機で切断。 CHECK! 3 歪んだり欠けたりしているものを徹底チェック。不良品を見逃しません。 4 乾燥機で水分を飛ばして固めます。 CHECK! 5 品質の基準は言葉ではなくビジュアルで。一目瞭然で理解できる工夫が凝らされています。 6 チョークを正確にそろえて箱詰め。 GOAR! 最後に金属探知機で不純物が入っていないか確認。学校や企業、工事現場に納品されます。 ? P.26-29 Interview with leader ここは、“優しい空気”が流れる場所。 ダストレスチョークのメーカーである日本理化学工業は、障害者雇用促進法が制定されて間もないころから、障がい者雇用を積極的に進めてきた会社です。現在、全社員に占める障がい者の割合は75%以上。 同社の取り組みはテレビや書籍でも数多く紹介され、多くの企業が模範としています。 同社は、なぜ障がい者雇用を推し進め、どのように事業を展開してこられたのでしょうか。 4代目社長の大山隆久さんにお話しを聞きました。 日本理化学工業株式会社 代表取締役社長 大山 隆久さん(おおやまたかひさ) 偏見の強かった時代、ふたりの実習生が周囲を動かす。 ――障がい者雇用の先駆け的存在として知られる貴社ですが、その経緯についてお聞かせください。  1960年に先代の社長である私の父(現会長の泰弘氏)が始めた取り組みなのですが、その前年の秋口に、当時大田区にあった当社の工場に、隣接する世田谷区の養護学校(当時の呼称。現・特別支援学校)の先生が訪ねてきたんです。来春卒業するふたりの女生徒を雇用してくれないか、というお話でした。最初、父は断ったのだそうです。当時は障がいのある人に対する理解は今とは比べ物にならないほど遅れていましたし、定年まで雇い続ける責任を持てないと判断したのでしょう。  ところが、その先生は諦めず、その後2度も来社されて、しまいにはこうおっしゃったのだそうです。「この子たちは、今就職できないと、もしかしたら一度も働く経験をすることなく一生を終えてしまいます。数日でいいので働く経験をさせていただけませんか」と。それを聞いた父が、そこまで言うなら、ということで就職を前提としない実習という形で受け入れることにしたのが、当社の障がい者雇用の始まりでした。 ――最初はその先生の熱意に折れた形だったのですね。  何度も通ってこられた先生の顔も立つし、ちょっといいことができたかな、くらいの感覚だったのでしょうね。実習ではチョークの箱にシールを貼る作業をしてもらったのですが、そのふたりの女生徒は驚くほど熱心に取り組んでくれたそうです。すると、それを見ていた社員たちから「これだけがんばってくれているのだから、どうか採用してくれませんか。できないことは私たちがフォローしますから」という声が上がってきたそうなんです。父も彼女たちの働きっぷりを見ていましたし、これもご縁かもしれないと考え、正式にふたりを雇用することにしました。それ以降、少人数ずつではありますが障がい者雇用の枠を広げ、現在は82名の社員のうち62名が知的障がいのある社員です。 ――どのような方を採用されているのでしょうか。  通勤や食事、排泄など身の回りのことが自分でできること。そして言葉がでなくても、身振り手振りでよいので意思表示ができること。会社ですから、一生懸命働くこと。それから周りに迷惑をかけないこと。この4つの約束を守れる人を採用しています。採用の流れは、まず、近隣の特別支援学校から応募してきた人に、2週間程度の研修を2?3回受けてもらいます。最初は就職を前提とせず、お互いに理解し合う時間。2回めから就職を前提にして、適正を見ていきます。採用が決まったら、本人の希望も加味して配属を決めていく。だいたい、年間でひとりかふたりずつ採用していますね。 会社は、人の“究極の幸せ”を実現できる場所。 ――採用してからはどんなふうに指導しているのでしょう。  私たちが一番大切にしているのは、相手の理解力に合わせてものごとを段取りしたり伝えたりすることです。仕事を教えるにしても、マニュアルを言葉で理解できる人はそう多くないので。逆転の発想というか、普通は行程に仕事を合わせるところを、人に行程を合わせるのが当社の最大の特徴だと思っています。 ――これまで、問題は起きなかったのでしょうか?  起きなかったとは言えないのが実際のところです。障がい者雇用を始めた当時は全部が手探りでしたからね。教えても覚えてくれない、思い通りに動いてくれないといったことが増え、最初は我が子を見るように接していた社員のなかからも、どうして自分たちばかり大変な思いをしなければいけないのか、と不満が出てきたこともあったそうです。  当社は大きな会社ではありませんから、戦力にならないのであれば雇い続けることはできません。父は思い悩んだことでしょう。そんなときに法事で出会ったひとりの禅僧から「人間の究極の幸せとは、愛されること、ほめられること、人の役に立つこと、人に必要とされること。愛されること以外の3つは働くことで得られるんです。企業は、人の幸せに直結して、それを実現できる場所なんですよ」という言葉を聞き、障がい者雇用を続けることを決意したのだそうです。そこからは、迷わずにその方針を貫き通してきました。 できることに目を向ければ、自然と尊敬の念が芽生えてきます。 ――一般論として、健常者を雇うほうが経営が安定するのではないかという意見もあるのではないでしょうか。  実は私も入社当初はそう思っていたんです。父や幹部に障がい者雇用の見直しを提案したこともあります。ですが、今にして思えば、とても浅はかな考え方でした。実際に作業現場を見ていただければわかりますよ。私にはあの集中力と技術が必要な作業を8時間もやり続けることなんて、とうていできません。間違いなく、チョークづくりに関しては彼らはとんでもなく優秀です。一方、読み書きや計算は私のほうが得意ですから、私はそこを担当している。つまり、彼らと私の間にはそれだけの違いしかないんですよ。障がいのあるなしに関わらず、人はみんな得意なものと不得意なもの、好きなものと嫌いなものがあるわけですから。できないことではなく、できることに目を向ければ、自然と尊敬の念が芽生えてきますよ。 ――社長として、どのようなことを大切にしていますか?  企業ですから、一番大切なのは利益を出すことです。うちには障がい者がこれだけいるんです、ということをお話しすれば、いい会社ですね、と言ってくれる方は多いとは思います。でもそれだけでは意味がなくて、障がい者雇用をしながら、これだけしっかりとした経営もできています、という事実をお伝えできれば、自分の会社でも障がい者雇用をしてみようとか、障がい者雇用に興味を持ってくれる方は確実に増えていくだろうと思うんです。ですから、私たちがやってきたことをお伝えし続けることにも積極的に取り組んでいきたいですね。 ――読者の皆さんへメッセージをお願いします。  障がい者雇用の難しさは私たちもよくわかっていますから、軽々しくお勧めしますとは言えません。ですがひとつ言えるのは、彼らと一緒に働いていると、人間の本質とはなにかということを思い出させてもらえる、ということ。私もこの会社で、取り繕ったり、見栄をはったりすることからは何も得られないということに気づかされました。だってそうでしょう。できることはできるし、できないことはできないんですから。だったらシンプルに、自分のできることを精一杯やればいい、彼らからそんな当たり前のことを学ばせてもらったと思っています。来てもらえればわかります。うちの会社にはね、いつでも優しい空気が流れているんですよ。 日本理化学工業の工場では、それぞれの理解度に合わせて工程を考えていく。10年以上の勤務歴を誇る社員も多く、熟練の技が各工程で発揮される。 ? P.30 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2017 Winter Vol.14 CONTENTS 29 Interview with leader ここは、“優しい空気”が 流れる場所。 日本理化学工業株式会社 代表取締役社長 大山 隆久さん 25 日本理化学工業のチョーク工場に おじゃましました! 24 特集 障がい者雇用 株式会社アクトコール 木暮 雅寿さん 指定障がい者就労支援事業所 ケアフィットファーム 竹川 華さん 18 care-fit通信 14 ボランティア活動TOPICS 13 つなキャン! 大学生の活動レポート 12 おも活 10 未来創人?みらいつくりびと 清輔 夏輝さん 04 鉄道会社スペシャル座談会 in 大阪 ■ 近畿日本鉄道株式会社(近鉄) ■ 京阪電気鉄道株式会社(京阪) ■ 南海電気鉄道株式会社(南海) ■ 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) ■ 阪急電鉄株式会社(阪急) ■ 阪神電気鉄道株式会社(阪神) 11月1日はサービス介助士の日と認定されました 次号予告 『紲 Kizzna』vol.15は2018年2月25日(日)発行予定です。 次号から誌面が大幅にリニューアル! どうぞお楽しみに! 読者プレゼント 「Interview with leader」にご登場いただいた大山隆久さんが代表取締役社長を務める日本理化学工業が生みだした、まったく新しいタイプのマーカー「キットパス」を、抽選で3名にプレゼントします。QRコードからアンケートにお答えいただいたうえでご応募ください。 ※応募締め切りは2017年12月31日(日)とさせていただきます。 ※当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。 ※いただいた個人情報は、当機構プライバシーポリシー (https://www.carefit.org/privacy.php)に則り、適正に扱います。 応募QRコード https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/kizzna/14/ 応募締め切り2017年12月31日(日) 日本ケアフィット共育機構のフェイスブックページのご案内 日本ケアフィット共育機構の活動報告やイベント告知をアップしています。現場からの生の声もたくさん。あなたの「いいね!」をお待ちしております! https://www.facebook.com/ncsa.carefit/?fref=ts ? P31 すべての人に やさしい社会をめざして 日本ケアフィット共育機構がご提供する3つの学び 防災介助士 災害にどのように備えるか、 災害時にどのように 行動するかを 理解、実践する資格。 サービス介助士 高齢の人や障がいのある人を お手伝いするときの 「おもてなしの心」と 「介助技術」を学ぶ資格。 認知症介助士 誰もがなり得る 認知症について、 正しい知識と 応対方法を学ぶ資格。 わたしたちは、心豊かな共生社会の創造に向けて、共に育み、実践し、場をつくります。 ケアフィットファーム 耕作放棄地を再生、有効活用し、高齢な人や障がいのある人も共に働ける場をつくっています。 ボランティア活動 資格取得者を中心に広く呼びかけ、お手伝いする方、される方の境界線がない楽しいボランティアを目指しています。 各種コンサルティング 教材制作監修など、企業・自治体の共生サービスへ向けた取り組みをお手伝いします。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB:http://www.carefit.org/ ? H4 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2017 Winter Vol.14 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい Interview with leader ここは、“優しい空気”が流れる場所。 日本理化学工業株式会社 代表取締役社長 大山 隆久 特集:障がい者雇用 ?誰もが特性を生かして活躍できる社会へ? Interview 株式会社アクトコール CaseStudy 指定障がい者就労支援事業所 ケアフィットファーム