H1 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2016 Autumn Vol.9 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい ロングインタビュー 車いすテニスプレーヤー 田中愛美 Advance with the ambition 一歩ずつ、 その先へ。 未来創人/貝谷嘉洋 ボランティア活動TOPICS P2 KIZZNA vol.9 Theme 進む 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」紲。 第9号のキーワードは「進む」です。 スポーツを極めようとする人。それを支援する人。 音楽で人を励まそうとする人。仲間とともによりよい社会を目指す人。 今回登場してもらったのは、挫けそうになったり迷ったりしながら、 それでも未来を見据えて前進を続ける人たちです。 そんな人たちの言葉を読んで、自分も前を向こうと思ってもらえたら。 そんな思いを込めてお届けします。 P3 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2016 Autumn Vol.9 CONTENTS 04 ロングインタビュー 私はずっと、前を向いて進んでいたい。 車いすテニスプレーヤー 田中愛美さん 08 未来創人〜みらいつくりびと NPO法人 日本バリアフリー協会 代表理事 貝谷嘉洋さん 10 ケアフィットファーム勝沼レポート 今年もじゃがいもの収穫祭を開催! 11 ボランティア活動TOPICS 14 Universal × Tourism 私たち、学生団体flat〜ふらっと〜です! 16 care-fit通信 19 おも活 24 特集:障がい者スポーツ 知る人ぞ知る、障がい者スポーツの魅力。 25 もっと障がい者スポーツを知ろう! 29 Interview with leader 手を差し伸べ合える、共生社会の実現へ。 スポーツ庁長官 鈴木大地さん 発行人 畑中 稔 発行所 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 URL: http://www.carefit.org E-mail: toiawase@carefit.org 製作 タクトシステム株式会社 制作 株式会社フリート 編集長 中川純一 編集 城田晃久 安藤康之 取材・文 城田晃久 熊本美加 撮影 大木大輔 西原樹里 平野慎一 和田咲子 アートディレクション 笛木 暁 デザイン 田辺淳志 印刷 日経印刷株式会社 本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、転載することは禁じます。 Kizzna 2016 Printed in Japan P4-7 車いすテニスプレーヤー 田中 愛美 私はずっと、前を向いて 進んでいたい。 持ち前の明るさとポジティブ思考、そして周りの温かいサポートを得て、 車いすテニスプレーヤーとしての才能を開花させつつある田中愛美選手。 早朝からコーチとマンツーマンで練習に打ち込んだ直後とは思えない溌剌とした笑顔で、 インタビューに答えてくれました。 絶対学校に戻って、みんなと一緒に卒業したかった。 ―― 車いすテニスを始めたきっかけを教えてください。  高校1 年の冬に怪我をして、所沢にある国立障害者リハビリテーションセンター(以下国リハ)に入院したんです。そこではリハビリの一環でさまざまな車いす競技が活用されていたのですが、そのなかに車いすテニスがありました。私は学校でテニス部に入っていて、怪我はしたけれど絶対に部活に戻りたいと思っていたし、顧問の先生もプレーヤーとして戻ってこい、と言ってくださっていたので、もう一度テニスを頑張ってみようと思ったのがきっかけです。 ―― 怪我をしたときには落ち込みませんでしたか?  多少落ち込んだこともありましたが、あまり学校を休み過ぎると留年してしまうという現実的な問題があって、落ち込むヒマがなかったというのが正直なところです。私が通っていた学校は中高一貫校で、同学年のみんなとは中学からずっと仲良しで。だから絶対に一緒に卒業したかったんです。本当はもう少し入院が必要だと言われていたのですが、4ヵ月で退院してきちゃいました(笑)。 ―― 復学後はどんな生活だったのでしょう?  まずは学校生活に慣れるのが大変でしたね。運搬用エレベーターで行ける階の教室を中心に授業を受けさせてもらってはいたのですが、どうしても段差を越えなければいけないこともあって。そういうときにはいったん車いすから降りて段差を昇って、後から友だちに車いすを持ち上げてもらう。私の友だちはずっと車いす運びばっかりさせられてました(笑)。 ―― テニス部には復帰できたんですか?  はい。部活がある日は参加して、無いときには国リハの体育館を借りてチェアワークの練習。日曜日は一日じゅうコートにいました。とにかく無我夢中でテニスに取り組む毎日でしたね。最終的には、みんなと一緒に大会に出ることもできたんですよ。そのために奔走してくださった顧問の先生や苦楽をともにした仲間たちには本当に感謝しています。 ―― 車いすテニスプレーヤーの道に進んだのはなぜですか?  車いすの生活になってから、いろいろな人たちに支えられて学校生活を送ることができました。だから、もし私がパラリンピックに出場したり有名な選手になったりしたら、みんなに 喜んでもらえるかもしれないと思ったんです。 ―― 現在はブリヂストンスポーツアリーナ株式会社に所属されています。  高校在学中はトップランクの選手にはなかなか勝てなかったのですが、卒業後、環境の整った状態で練習に打ち込めるようになってからは、少しずつ勝てるようになってランキングも上がってきました。リオ大会に出場できなかったのは残念ですが、2020年を目指して今から準備していきたいと思っています。 ―― 車いすテニスの魅力はどんなところですか?   ルールが普通のテニスとほとんど同じなので、健常者とも一緒にプレーできるところだと思います。健常者と車いすプレーヤーでペアを組んでダブルスもできますし、ネットを挟めば誰でも一緒ですから。私も、部活に復帰して、以前と同じように仲間とラリーできたときには本当に嬉しかったです。 ネットを挟めば誰でも一緒ですから。 ―― どんな選手を目指しているのでしょう?  憧れているのは世界のトッププレーヤーである上地結衣選手です。小さな身体で海外の選手と対等に戦っているのはすごいと思います。でも、私は車いす歴が短いので、上地選手のようにチェアワークで勝負することはできません。とにかくハードヒットで攻める。そこを極めていきたいと思っています。一番大きな目標はもちろん東京でメダルを取ることですが、まずは年内に少なくとも世界ランキングで30 番台に入って、4年後までに4大大会の出場枠に入れるくらいのレベルになりたいと思っています。 ――車いすテニスの課題はどんなところだと思いますか?  正直、練習環境が整っているとは言えないのが現状です。私はたまたま学校が協力してくれたり家の近くに今の会社があったので続けていられますが、もっと車いす利用者が手軽にテニスを楽しめる環境ができるといいな、と思います。私は、いつか現役を引退したら、指導者として車いすテニスプレーヤーを育てたいという夢があるんです。今よりももっと車いすテニスを普及させて、テニスを習いたくても習えない人が一人でも少なくなるために役立ちたいと思っています。 ―― 障がい者スポーツの見どころを教えてください。  よく見てみると、自分ができることや、動かせる部分でどうやってその競技に臨むか、それぞれが工夫しているのがわかると思います。例えばテニスでも、手に麻痺がある人はテーピングで巻いて固定して、打ち方も工夫しています。車いすへの座り方もそれぞれですし、同じ競技でも、一人ひとりの身体の状態が違うので、そこをどうカバーしているか、またはどう生かそうとしているか注目してみると面白いんじゃないかと思います。 もう少し頑張ったら、なにかができるかも。 ―― 怪我をしても前向きになれた理由はなんだと思いますか?  「なにか楽しいことをするには、辛い思いもしなければいけない」という気持ちがあったからじゃないでしょうか。 他の人を見て、すごいな、羨ましいなって思っても、きっとその人たちは見えないところで苦労や努力をしているはずなんです。そういう部分も見るようにしないと、結局は自分ばっかり不幸に思えてしまう。そうじゃなくて「自分ももう少し頑張ったらなにかができるかも」って考えることが大事だと思うんです。 ―― そう思えるようになったのは怪我をしてからですか?  そうかもしれません。怪我をする前はイージーに生きていたところがあって、あるとき顧問の先生に「お前は合算して100% に収まるようにしている」って言われたことがあるんです。勉強と部活、その他の活動を足して100% にするのではなくて、それぞれ100% の力でやらなければ、手を抜いてるのと同じだって。怪我をしたのはその直後だったのですが、その言葉があったから、リハビリもテニスも勉強も無我夢中で取り組めたんじゃないかと思います。 ――今号の「紲」のテーマは「進む」なのですが、この言葉から連想することは?  父の名前が「晋(すすむ)」です(笑)。なんだか運命的ですね。あとは…私は、なにをするにしても後ろは向きたくないって気持ちは強い方だと思います。怪我をしたときも「後悔するのではなくて、前に進もう」と思えたからこそ、今ここにいられるわけですし。やったことのないことに挑戦するのも「進む」だし、横道に逸れるのも「進む」だと思いますが、私はずっと、前を向いて進んでいたいですね。 岩野耕筰コーチと。「練習に対する姿勢は申し分ありません。でも、24時間テニスのことを考えるようにならないと」と厳しくも愛のある言葉。 私服姿はイマドキの女の子。かと思えば「慣れないのでジャージに着替えて帰ります」とはにかむ。 Profile たなか まなみ 1996年生まれ。熊本県生まれ、埼玉県所沢市在住。中学、高校と硬式テニス部に所属。高校1年生のときに転落事故に遭い、リハビリの一環として始めた車いすテニスで頭角を現す。高校卒業後、車いすテニスプレーヤーの道へ。ブリヂストンスポーツアリーナ株式会社所属。日本ランキング:シングルス4位、世界ランキング:シングルス31位。(2016年6月現在) P8-9 未来創人 みらいつくりびと 未来を見据え、 どんな困難も 楽しみながら乗り越える。 そんな人生の達人を、 私たちは 『未来創人(みらいつくりびと)』 と名づけました。 NPO 法人 日本バリアフリー協会 代表理事 貝谷 嘉洋さん 「音楽」のチカラで、 バリアフリーな社会を目指して邁進中! エンターテイメント事業で、 障がい者の社会参画の場を 広げています。 電動車いすで颯爽と現れた貝谷嘉洋さん。自己紹介をお願いすると「私は24時間介護が必要な身体ですが、NPO法人日本バリアフリー協会の理事として、全国を駆け回り、打ち合わせをしたり、多くの人と出会ったり。時には海外へも出かけ、楽しく仕事をしています」と、穏やかな笑顔。「協会の活動方針は、音楽ライブを通してバリアフリーを広めていくことです。障がいのある人たちが中核となって企画を行い、印刷物・HP 制作は障がい者団体や関連団体に優先的に仕事を発注し、イベント当日の運営もできる限り障がい者が行っています。障がい者の就労を生み出すこともバリアフリーの社会を実現するには欠かせません」。ソフトなイメージとは裏腹に、貝谷さんはアグレッシブに活動に打ち込む未来創人だ。 夢のはじまりは、音楽の力を体感した デンマークの『グリーンコンサート』。 貝谷さんは中学までは普通学校に通っていたが、高校進学の際に障がいがあるという理由で受験・入学を拒否された経験を持つ。「自分はこんなもんじゃない、障がいのあるなしにかかわらず、本来の能力に目をむけてくれる世の中を創りたいと、負けず嫌いの性格に火がつきました」と、起業を果たす原動力となった体験を振り返る。音楽を事業の柱にしたきっかけは、デンマークで『グリーンコンサート』に参加したこと。毎年夏に行われるこの野外コンサートは、デンマーク筋ジストロフィー協会が中心となって巡業開催している、20万人規模のビッグイベント。各地の会場には車いす利用の観客への配慮がそこかしこにあり、多数のボランティアが活躍している。誰もが一緒に音楽を楽しむ光景は貝谷さんの脳裏に焼きついた。チャリティーイベントではなく事業として成立していることにも触発され、「同じようなイベントを日本で開催したい」と決意。帰国後、3年をかけて準備を進め、その日本版である『ゴールドコンサート』を立ち上げた。実は、貝谷さんは小学生の頃から行事係に立候補し、社会見学のサークルをつくったり、イベントを企画していたそう。「いろいろな仕掛けを考えて、みんなの驚く顔が見たいんです。いたずら好きなんですよ」と、苦労話などは一切せずに茶目っ気たっぷりに話す。 音楽に心を動かされるのはみんな同じ! 障がいのあるなしは関係ないです。 『ゴールドコンサート』は、選抜された障がいのあるアーティストが音楽で競い合うスタイルで、反響は年々大きくなっている。「お客さまは、障がい者が企画・運営していることに驚き、障がい者の素晴らしい演奏に心を動かされます。『障がい者は自分たちと同じ社会に生きているんだ』『素晴らしい才能を持っているんだ』と、言葉でどんなに説明しても伝わらないことが、音楽を介するとすっと伝わっていくんです」と手応えを感じている貝谷さん。近年、新たに著名なアーティストが出演する、日本初の障がい者が開催するエンターテイメント事業『GCグランドフェスティバル』も立ち上げた。「ロック・ポップスのライブシーンでは、障がい者は置いてきぼりにされがちなのを残念に思っていたんです。主催者側は見やすい座席を用意してくれますが、クラシックとは違いスタンディングで盛り上がると、車いす利用者はステージが見えません。だったら、最前列を車いす専用席にすればいいと考えたんです。これには、車いすユーザーだけでなくほかのお客さまも一緒に盛り上がれると想像以上に喜んでくれました。これからも、音楽を通じて心のバリアを取り払っていけるといいですね。ゆくゆくは、障がい者も気軽に楽しめる総合アミューズメント施設をつくるという大きな野望もあります」と、貝谷さんの目が輝きを増す。もちろん音楽が大好きで、特にブルースやソウルを聞くと元気になれると話す貝谷さん。次はどんな仕掛けで私たちを驚かせてくれるのだろうか。 昨年の『ゴールドコンサート』の様子。回を重ねるごとに規模が拡大している。 大高英樹 Profile NPO 法人 日本バリアフリー協会 代表理事 貝谷 嘉洋(かいや よしひろ) 1970年岐阜市出身。筋ジストロフィーを発症し、14歳から車いす全面介助の生活に。関西学院大学商学部卒業後、単身米国バークレイに渡り自立生活を始める。1995年カリフォルニア大学バークレイ校「ゴールドマン公共政策大学院」に入学し、1999年行政学修士取得。また在学中にジョイスティック車での全米横断やダイビングにも果敢に挑戦。帰国後上智大学後期博士課程修了。2001年NPO 法人バリアフリー協会を設立。現在は、障がい者主催の音楽イベントの企画・運営を手掛けるなど、多忙な日々を送っている。 NPO 法人 日本バリアフリー協会 2001年に重度障がい者への介護者派遣事業からスタート。2003年より、障がい者ミュージシャンの音楽コンテスト『ゴールドコンサート』を開催。さらに、2013年からは『GC グランドフェスティバル』を立ち上げ、障がい者の地位の根本的な向上を目指すべく、エンターテイメント事業を展開中。 ◆第13回ゴールドコンサート◆ 日時:2016年10月10日(月・祝日) 会場:東京国際フォーラム ホールC(東京/有楽町) お問い合わせ:NPO 法人日本バリアフリー協会 TEL:03-5215-1485 Mail:info@npojba.org 日本ケアフィット共育機構も、リレーションセンター「TASKAL」ブースを設置してお手伝いします。お困りの際には気軽に声をかけてください! WEB https://gc.npojba.org/ P10 ケアフィットファーム勝沼レポート 障がい者就労支援事業所 就労移行支援 就労継続支援B型 ケアフィットファーム勝沼の 日々をレポートします! ~ 障がいの有無にかかわらず、みんなが活躍できる場の実現を目指して~ ケアフィットファーム活動レポート Report1 今年もじゃがいもの収穫祭を開催! 7月23日に、じゃがいもの収穫祭が催されました。参加者は20名ほど。山梨県立盲学校高校2年生の甲斐 健志(かいたけし)さんも参加してくれました。健志さんは視覚障がい・知的障がいがありますが、土を触り、香りを確かめながら、じゃがいもを一つひとつ丁寧にカゴに入れていました。健志さんのお母さんの江美さんは、健志さんの満足そうな表情を見ながら「昨日から、今日は頑張る! と楽しみにしていたんですよ。ケアフィットファームの雰囲気はとても本人にあっていたと思います」とおっしゃっていました。これからも、農業を通して人と人との繋がりや沢山の笑顔を大切にしていきたいと思います! Report2 事業所説明見学会を実施しました。 7月25日に、山梨県立やまびこ支援学校の教職員21名、保護者1名を対象に、事業所説明見学会を実施しました。就労を目指し社会参加に必要な訓練を行うとともに、どんな障がいあったとしても、農業を通して大地の恵みを感じながら、働く喜びを感じてもらえるような支援や笑顔溢れる人としての関わりを大切にしているという説明を、熱心に聞いてくださいました。 Report3 新しい仲間が加わりました。 7月から就労支援員として勤務することになりました。障がいのある方の職業訓練や職場開拓、余暇活動などに携わってきた経験を生かし、共に働きたいと思います。就労支援としては、遠隔地就労を目指すとともに、「働き続ける力」をつけるために、体力づくりや、さまざまな方とのコミュニケーション法なども取り入れる予定です。人づきあいが苦手だと思っている方も心配しないでください。いつでも見学大歓迎です! 進路指導主事 丸山博稔まるやまひろとし先生 遠隔地就労という事業を斬新に感じました。当校の高等部には農園班があり、今後、農業に就労したいという生徒が増えていくと思います。11月の現場実習を、進路を考える貴重な経験にしたいと思います。 平野夏芽ひらのなつめ ケアフィットファームで待ってます! 平野 隆司  平野 夏芽  竹川 華 お問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 甲州事業所 ケアフィットファーム 〒404-0033 山梨県甲州市塩山赤尾650 TEL:0553-39-8681 FAX:0553-39-8682 E-mail:koshu@carefit.org WEB http://www.carefit.org/farm/ P11 ボランティア活動TOPICS 日本ケアフィット共育機構では、サービス介助士やボランティアの皆さんとともに、さまざまなイベント会場で、誰もが娯楽やスポーツを楽しめるお手伝いをしています。次はあなたも一緒に参加してみませんか? 「車いすテニス ワールドチームカップ」介助ボランティア 日本初開催の国別選手権をお手伝い!  5月23日(月)から28日(土)にかけて、有明コロシアム・有明テニスの森公園テニスコートで開催された「BNP パリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」において、介助ボランティアとして選手や観客の皆さんをお手伝い。延べ70名以上のサービス介助士の皆さんに参加いただきました。 加瀬 典之さん (トヨタ東京カローラ株式会社 渋谷店店長) 当社ではサービス介助士資格の取得を奨励しており、この大会では毎日10名ほどの社員がボランティアとして参加しました。スポーツ大会のお手伝いは初めてなのですが、業務や日常生活と同じように、おもてなしの心を持ってお手伝いすることが大切だと感じています。 森田 淑子さん (電機メーカー勤務) 昨年、勤務先が協賛した車いすバスケットボールの大会にボランティアとして参加して以来、いくつかの現場でお手伝いをさせていただいています。2 月にサービス介助士資格も取得しました。今回は国際大会ですから、得意の英語も生かせると思い、とても楽しみにしていました。 会場となった有明コロシアムには、随所にスロープなどのバリアフリー設備が仮設された。 リレーションセンターTASKAL/ボランティア活動予定日程 ■Jリーグ東京ヴェルディホームゲーム 9月18日(日) 味の素フィールド西が丘 9月25日(日) 味の素スタジアム 10月8日(土) 味の素スタジアム 10月30日(日) 味の素スタジアム 11月3日(木・祝) 味の素スタジアム 11月12日(土) 味の素スタジアム WEB http://www.carefit.org/taskal/ ■ 第13回ゴールドコンサート 10月10日(月・祝)  東京国際フォーラム ホールC 大高英樹 P12-13 ボランティア活動TOPICS 「ブラインドサッカー日本選手権」運営ボランティア ブラサカ日本一決定戦をサポート! 7月9日(土)、10日(日)に、調布市のアミノバイタルフィールドで開催された「アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」では、お客さまの誘導のほか、リレーションセンター「TASKAL」での音声ガイドの貸し出しや、誘導体験コーナー運営などを行いました。 社内でサービス介助士 資格取得を推進中! 狩野 弘樹さん (トヨタ東京カローラ株式会社 BRハートフルプロジェクト グループリーダー) 今日は、視覚障がいのある方を誘導する体験ブースの運営のお手伝いをしました。お子さんも多く、皆さんに楽しんで参加していただけたので、私も楽しかったです。資格を取って終わりではなく、こういったボランティア経験を現場に生かせるようにしていきたいですね。 堀込 彩夏あやかさん (東京都立武蔵高等学校1 年) サッカー部のマネージャーをしているので、迫力あるブラサカの試合を見られて楽しかったです。今日は音声ガイドの貸し出しを担当したのですが、視覚障がいのある方に対してはボタンの位置を指で確かめながら説明することを心がけました。これからは、困っている人がいたら積極的に声をかけたいと思います。 高校生も積極的に ボランティア! 斎藤 未来みくさん (東京都立田柄高等学校2年) 所属しているボランティア部の顧問の先生から紹介されて参加しました。視覚障がいのある方とあまり接したことがなくて不安だったのですが、普通にコミュニケーションが取れて安心しました。今日感じたことを、ボランティア部のみんなにしっかり報告したいと思います。 ジャパンウォークin TOKYO 1400名参加の ウォーキングイベント! 5月21日(土)、東京パラリンピックの会場ともなる豊洲周辺で「ジャパンウォークin TOKYO―オリンピアン・パラリンピアンと歩こう」が開催されました。本イベントは年齢や障がいの有無にかかわらず誰もが参加できる共生型のウォーキング大会。当日の参加者はなんと1400人以上! 日本ケアフィット共育機構では、当日リレーションセンター「TASKAL」を設置、大会前にはコース上にどのようなバリアがあるかをチェックし、ボランティア参加者に介助講座を実施しました。 写真提供:日本ケアフィット共育機構 Jリーグの試合前に介助体験ボランティア 東京ヴェルディホームゲームで 防災介助体験ブースを展開! 7月31日、味の素スタジアムで開催された明治安田生命J2リーグ東京ヴェルディ対ロアッソ熊本の試合で、スタジアム内に防災介助体験ブースを展示しました。試合開始前の1時間半で100名近い人が訪れ、防災グッズを手に取ったり、三角巾体験などに参加しました。搬送体験にはくまモンとヴェルディ君が遊びにきて、怪我をして立ち上がれないヴェルディ君を、くまモンと二人で担架に乗せて搬送するデモンストレーションを披露してくれました。ちょっとしたスキルを多くの方に覚えてもらうよい機会になりました。 吉野 充利さん (学校法人立志舎 専門学校 日本スクールオブビジネス21 教務課長) 当校では学生に、サービス介助士資格取得のかたわら、実践的なお客さま応対の経験のため、ボランティアに参加させています。今後のために今回は代表として参加しました。とてもよい経験になり、学生達にもぜひ参加させたいと考えています。 正村 葵さん (獨協大学 国際教養学部 言語文化学科2年) サービス介助士の資格を生かしたいと思って参加しました。炎天下で大変でしたが、たくさんの方に防災介助士体験ブースに来ていただけてよかったです。機会があれば、また参加したいです。 インドへの支援物資仕分けボランティア たくさんの支援物資が集まりました! 日本ケアフィット共育機構では、協力団体である「ケアフィットインド」を通じて、インドの障がいのある子どもたちやご高齢の方たちのための施設に支援物資を届けています。8月1日に、全国から送っていただいた支援物資の仕分けを行いました。ボランティアの方にお手伝いいただきながら、総勢20名で使用する人のサイズや性別、使用時期、使用目的など、受け取った人がわかりやすいように工夫して仕分け。なんと、衣類や衛生用品、文具など、ダンボール27箱分にもなりました。皆さまのお志が、きっとたくさんの人の笑顔に繋がることでしょう。ご協力ありがとうございました! 三浦 華さん (東洋大学 国際地域学部 国際観光学科4年 学生団体flat〜ふらっと〜所属) 初めての参加でしたが、集まったたくさんの洋服に驚きました。一人ひとりの少しの気持ちも集まると大きな想いになるんですね。この洋服たちが現地に届くのが楽しみです! P14-15 Universal Tourism 私たち、学生団体flat〜ふらっと〜です! 気の合う四人で始めた「学生団体flat〜ふらっと〜」。右も左もわからない、 でもなにか楽しいことがやりたい! そんな彼らの奮闘記をお届けします。 三浦 華(はな) 東洋大学国際地域学部 国際観光学科4年 マイペースに見えて不思議と説得力のある「flat〜ふらっと〜」のムードメーカー。 高野 真優(まゆつん) 東洋大学国際地域学部国際観光学科4年 ちょっと天然な癒し系(?)。「flat〜ふらっと〜」の立ち上げメンバー。 大野 泰平(たいちゃん) 東洋大学社会学部 社会福祉学科4年 アイディア抱負な「flat〜ふらっと〜」のアドバイザー的存在。車いすユーザー。 谷 麻衣香(まいきー) 東洋大学国際地域学部 国際観光学科4年 「flat〜ふらっと〜」代表。しっかり者の、みんなのまとめ役。 この三人と知り合ったら、 意識が変わると思います。 (たいちゃん) ―団体名の由来は? まゆつん 誰もが一緒に楽しめる場、という意味を込めています。表記は、誰でも読めるようにアルファベットとひらがなにしました。 まいきー 音符のフラット(♭)もいいね、って話してたんです。「半音下がる」という意味なんですが、サービス介助士の講習で教わった、一歩下がって相手を見守るっていう意識とも通じるね、って。 まゆつん …という理由は後づけで、最初はかわいさ重視だったよね。音符かわいくない? みたいな。 まいきー シー! それはヒミツ!(笑) ―たいちゃんとはなが参加したのは? たいちゃん ここでは、ボランティアや福祉といった言葉を難しく捉えずに、まずはみんなで楽しめる企画を立てて、そのオマケとして障がいへの理解がついてくるっていうやり方をしていて。その感覚が面白いな、と思ったんです。 はな 私は本当にふらっと(笑)。私はたいちゃんみたいな障がい当事者でも、まいきーやまゆつんみたいに将来の仕事として福祉を考えているわけでもありません。でもそんな私がいることで、みんなが立ち寄りやすい環境になったらいいな、って思います。 ―四人ともすごく仲良しですね。 たいちゃん たまに女子だけで集まってハブられることもありますけど(笑)。僕は、大学の授業などで障がい当事者として講演してほしいと頼まれることもあるんですが、いろいろな視点からの見え方を示せるように、なるべくメンバーと一緒に話すようにしています。“はなぺいトーク”とかいって、はなと僕とで話す時間を設けたりして。 はな 私、普段から素朴な疑問を遠慮なく聞いちゃうんです(笑)。 たいちゃん それが新鮮でいいんだよ。障がい者側も、この三人と知り合ったら意識が変わると思いますよ。支援する側、される側っていう壁が一切なくて、純粋に友だちになろうって思ってくれるから。 まいきー 後輩や他大学、社会人の方にも“ふらっと”参加してもらって、みんなで楽しいことがやりたいですね。 次号でも彼らの活動の様子をレポートします! お楽しみに! flat〜ふらっと〜って? サービス介助士資格を持つ東洋大学の同級生、「まいきー」こと谷麻衣香と「まゆつん」こと高野真優が中心となって立ち上げたボランティアサークル。大野泰平(たいちゃん)と三浦華(はな)を加えた四人で、「ユニバーサル×ツーリズム」を掲げて、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが楽しめるツアーを企画・運営しています。 活動レポート 7月2日(土) @小石川植物園 「自然を感じるまち歩きツアー〜文京区白山編〜」 19名の参加者で目・耳・鼻・舌・手の五感で自然を感じた後、押し花などの植物を使ったオリジナルの栞を作製。世界にひとつしかない栞が完成しました。暑いなか日影で涼みながらの活動でしたが、皆さんの笑顔が多く見られました。参加者同士の交流も生まれ、私たちが目指す“フラットな関係性”が垣間見えた1日でした。 7月16日(土)@高尾山 「ユニバーサルツアー企画第一弾〜高尾山編〜」 15名で高尾山ツアーを実施。聴覚障がい、脳性麻痺、車いすユーザーに学生や社会人とさまざまな方の参加を得て、シールラリーやパワースポット巡りを楽しみながら山頂を目指しました。朝はぎこちなかった参加者同士が、終わりを迎える頃には世代を越えた友人のような関係になれたのは、感動で鳥肌が立つような体験でした。 “ふらっと”いっしょに楽しみませんか? お問い合わせ otoiroka@gmail.com Facebook https://www.facebook.com/otoiroka/ P16 care-fit通信 認知症介助士トピックス 今からできる、認知症予防 将来の認知症リスクを下げるには、日頃から意識して予防に取り組むことが大切です。 ここでは、日本ケアフィット共育機構が監修したユーキャンの認知症介助士講座テキストで紹介されている認知症予防法の一部をご紹介します。 Point! 気軽な運動で脳の働きを活性化! 軽い筋トレやストレッチなどで筋肉を動かすことで、脳のさまざまな部位が活性化すると言われています。 鞄をダンベル代わりにして 腕の筋肉を鍛えましょう。 ビジネスバッグやトートバッグなど、片手で持てる鞄をダンベルのように使って、移動中や信号待ちなどの時間に腕の筋肉を鍛えてみましょう。 タオルを足の指で つかみましょう。 椅子などに座った状態で、床に広げたタオルを、足の指を使って自分の方に引き寄せて、足の指の運動をしてみましょう。足の裏の筋肉を鍛えることで、転倒防止にも役立ちます。 Point! 簡単な計算やコミュニケーションで脳を刺激! 目や耳からの情報を理解しようとしたり、人と積極的に関わることは、脳によい刺激を与えてくれます。 車のナンバーなどで 計算をしてみましょう。 通勤途中や散歩の途中、信号待ちをしている間などに、目の前を通り過ぎる車のナンバーを使って計算してみましょう。ナンバーのほかにも、街中の番地表示やデジタル時計の数字などでも挑戦できます。 一筆箋で感謝の気持ちを 伝えましょう。 一筆箋で、家族や同僚、友人などに感謝の気持ちを伝えてみましょう。長い手紙を書くのは難しいですが、2〜3行の手紙なら、無理なく続けることができます。 超高齢社会でニーズ大! 医療・介護業界やサービス業で即役立ち、ご家族の将来の備えにも。 ユーキャンの認知症介助士講座では、認知症に関する正確な知識と対応方法、さらに予防対策まで、わずか3ヵ月でバランスよく学べます。在宅受験で認知症介助士資格取得が可能なうえに、将来の認知症リスクを下げる予防にも取り組めるのが特長。医療・介護業界やサービス業に従事されている方、ご家族やご自身の発症を予防したい方におすすめです。 学 費 月々2,980 円×10 回払い 分割払学費総額:29,800 円 1 回の分割払学費:2,980 円 支払回数:10 回 支払期間:10ヵ月 一括払学費:29,000 円 ■添削回数: 2 回(添削1 回・検定試験1 回) ■標準学習期間: 3ヵ月(受講開始から6ヵ月までご指導) 詳細・お問い合わせはこちら! http://www.u-can.co.jp/ P17 防災介助士トピックス 特別寄稿 防災のために 企業ができること 被災から復興へ向けて一歩を踏み出すために 企業が社員を守るためにできる生活再建情報の周知 2016年4月に発生した熊本地震。甚大な被害からどうやって再建の道筋を描けばよいのでしょうか。被災者に対しては、支援制度の情報提供と、自治体窓口や専門家への適切な誘導が求められます。今回は、熊本地震における被災者支援の現場で重要となる情報について、その一部を取り上げて解説します。 再建の最初の一歩となる 支援制度は何か 〜自治体窓口へ誘導を 最も大切なのが【罹災証明書】です。家屋の被害程度を証明するものであり、市(区)町村へ申請し、調査を経て発行されます。被災者生活再建支援金の申請、税金の減免、公共料金の減免、各種融資の申請、義援金の受け取り等に必要となる場合があります。被害程度は「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊(半壊未満)」などに区分されます。金銭支援で特に重要なのは【被災者生活再建支援金】です。住宅に大きな被害を受けた世帯に、基礎支援金と加算支援金の合計で最大300 万円が支払われます。基礎支援金(最大100万円)は使途が自由で、災害直後の困難な時期には頼りになります。 住宅ローンの減免ができるか 〜専門家相談へ誘導を 自然災害で「個人」の住宅・事業・自動車・その他のローンが支払えなくなった場合に、一定の条件を満たすことで、【自然災害債務整理ガイドライン】(被災ローン減免制度)が利用できます。手元に一定の財産(現金・預金、義援金、支援金、弔慰金などの差押禁止財産、生活必需の自動車など)を残し、それ以外の財産で支払えない部分のローンが減免されます。信用情報(ブラックリスト)への登録はなく、連帯保証人へも原則請求されません。被災地経済復興の起爆剤として活用が期待されます。 仮設住宅に入居するためには 〜正確な情報収集を 家屋が損壊し居住が困難になった場合には、プレハブの【応急仮設住宅】が建設され、民間賃貸住宅の借上げによる【みなし仮設住宅】も手当てされます。熊本地震では、家屋の半壊や地盤損傷でも仮設住宅へ入居できる運用です。運用は、先例に縛られず、災害ごとに工夫されています。行政発信の情報にアンテナを張り、従業員や被災地に提供することが企業の対応としても求められるでしょう。 生活再建の知識を企業防災力に 〜恒常的な研修を 組織を構成する「人」は、災害時にどのような困難を抱え、どのような支援を求めるのか。支援制度の「情報提供」によって生活再建の一歩を踏み出せます。企業としては、平常時からの【人づくり】として、社員研修などで生活再建の知恵の習得を目指すことが有益となってくるでしょう。研修を通じて「被災」をよりリアルにイメージでし、組織のBCP【事業継続計画】や危機管理マニュアルを「自分ごと」として考えられるようになるはずです。 Profile 岡本 正 (おかもと ただし) 1979年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。銀座パートナーズ法律事務所パートナー弁護士。医療経営士やマンション管理士、防災介助士の資格も持つ。内閣府や日弁連の震災対応経験から「災害復興法学」を創設。中央大学大学院公共政策研究科客員教授、慶應義塾大学法科大学院講師、(公財)東日本大震災復興支援財団理事ほか役職多数。近著に『災害復興法学』(慶應義塾大学出版会)。組織の防災研修・社員研修・BCPコンサルティングを手掛ける。 http://www.law-okamoto.jp/ P18 care-fit 通信 サービス介助士トピックス サービス介助士導入レポート「株式会社さくらコマース」 地域の皆さまに、安心・安全を届けたい。 佐々木 惠美さん 株式会社さくらコマース 営業本部マネージャー 府中市を中心として、スーパー、パーラーなど地元密着型の店舗ビジネスを展開している「さくらコマース」。正社員と一部の契約社員にサービス介助士資格の取得を推奨しています。同社の資格取得者第一号であり、導入の旗振り役を担った佐々木惠美さんにお話しを聞きました。 サービス介助士は、当社の理念にぴったりの資格でした。 当社では創業当初から、「地域の皆さまに安心・安全をお届けしたい」という思いを大切にしてきました。ですから、サービス介助士資格の導入以前から地域貢献活動に力を入れており、従業員の救命技能習得や店舗へのAED設置などを進めていました。サービス介助士資格は、そんな社風とぴったりマッチするものだったんです。 最初に知ったのは偶然でしたが、すぐに上長から許可を得て、まず私自身が講習に参加しました。講習は、こう言ってはなんですが、和気あいあいとしていてとても楽しかったです(笑)。もちろん、とても勉強になりました。講習の最後に、「火事の現場から、聴覚障がいのある方を安全に誘導する」といった、シチュエーションと目的を決めて行うロールプレイングがあったのですが、当社の社員研修でも手法を取り入れさせていただいているほどです。 おかげさまで、目に見えて導入の効果が出ています。 サービス介助士の導入後、明らかに現場が変化していることを感じます。例えば、店舗のバリアフリーについて、それまで話題にもならなかった部分に従業員から指摘が入ったり、ご案内を評価していただけたのか、ある視覚障がいのあるお客さまの来店回数が、増えるといった嬉しい効果が上がっているんです。また、身内に介助を必要とする人がいる従業員にとっては、サービス介助士の技術を身につけられたことはとてもプラスになっているのではないかと思います。  大切なのは、資格を取得して終わりではなくて、更新もしっかり実施してアップデートを欠かさないことだと思います。今後も地域の皆さまへの価値の提供のために、サービス介助士資格を役立てていきたいと思っています。 さくらコマースの地域密着活動 同社の基本理念は「地域密着」。創業当初から清掃活動やリサイクル活動、地元行事への参加などを積極的に行ってきた。クリスマスにはサンタやトナカイの扮装をして、地域の福祉施設へ慰問に行くそう。「子どもたちは大喜びで出迎えてくれますし、私たちも楽しませてもらっています」。(佐々木さん) http://www.sakura-com.com/ P19 おもてなしの心、 おもいやりの心を大切に。 おも活 「そっと、さっと、あんしんを。」プロジェクト おも活とは・・・ 日本ケアフィット共育機構のサービス介助士・講師が小学校を訪問し、子どもたちに障がいのある方への案内方法やレクリエーションを通して、相手の立場になって考えることの大切さを伝える活動。日本ブラインドサッカー協会が開催するダイバーシティ教育プログラム「スポ育」実施校に対しても活動を展開し、2020年に向けてボランティア文化を育てていきます。 今年度もおも活がスタートしたよ! 第1回目は日野市立日野第七小学校。 体験してみてどうだった? アイマスクをつけてみて、見えないことの不安とこわさを感じました。 アイマスクをつけたら自分がどこにいるのか分からなくなりました。 でも、隣に人がいるだけで安心して歩くことができました。 目の見えない人やお年寄りなどを助けることができるといいな、と思いました。 思いやりのある行動をしていこうと思いました。 目の見えない人がいたら、道案内や信号の色を教えてあげたいと思います。 日野市立日野第七小学校 黒坂 依子先生(4年生担当) 去年体験した先生から、アイマスク体験などの具体的な活動が行えると聞き、子どもたちにも体験を通して気づいてほしいと思い、今年度も申し込みました。子どもたちは、これまで何気なくしていたことが、視覚障がいの方の邪魔をしていたことや不親切な行動だったと気づけたようです。また、クラスの友だち同士でも困っていたら助けようという気持ちがより自然に感じられるようになりました。 学校関係者、保護者の皆さまへ 日本ケアフィット共育機構では「おも活」に参加していただける学校、施設を募集しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB http://www.carefit.org/ P24(誌面構成に対応し、逆順で抽出。P20まで) 特集 障がい者スポーツ 知る人ぞ知る、障がい者スポーツの魅力。 リハビリテーションの一環と思われがちな障がい者スポーツですが、実際に観戦してみてその競技性の高さに驚き、ファンになる人も少なくありません。車いすテニスの国枝選手、上地選手、団体競技ではウィルチェアーラグビーやゴールボールなど、リオでメダルを期待される競技には特に注目が集まっています。 一方で、一般的にはまだ知名度が低い障がい者スポーツも少なくありません。今回の特集では、「知る人ぞ知る」競技種目のリーダーにお話しを聞きました。いずれも魅力に溢れ、将来の可能性を感じさせる競技です。ルールや観戦ポイントを今からチェックして、リオ、そして東京大会を楽しみましょう。 Interview シッティングバレー協会会長 真野 嘉久さん シッティング バレー Interview 日本車いすフェンシング協会理事長 小松 真一さん 車いす フェンシング P23-22(誌面構成に対応し、逆順で抽出。) 「盛り上がりをブームで終わらせないために “友だちづくり”に励んでいます。」 シッティングバレー協会会長 真野嘉久まのよしひささん 1965年、大阪府出身。東海大学体育学部社会体育学科卒業。中学から大学までバレーボール部に所属。1997年にシッティングバレーと出合い、翌年から日本代表の監督として普及と選手育成に努めている。2000年シドニー大会、2004年アテネ大会では日本男子監督を務め、2008年北京大会では日本女子を初めてパラリンピック出場に導いた。 障がいのあるなしは関係ない! シッティングバレーには 奥深い魅力があります。 シッティングバレーが他の障がい者スポーツと大きく違う点は、障がいのあるなしにかかわらずプレーできることです。例えば車いすの操作技術が重要な競技では、健常者は普段から車いすを操る選手に太刀打ちできませんが、座ってプレーするシッティングバレーなら誰でも同じスタートライン。まさにバリアフリーなスポーツなんですよ。それから、お子さんから高齢の方まで楽しめるのも魅力です。風船をボールに見立ててシッティングバレーを楽しんでいる高齢者施設もあるんですよ。 シッティングバレーがメジャーなイランでは、障がいのある子どもはまずシッティングバレーを学びます。日本の教育現場にもシッティングバレーが導入されれば、障がいのあるお子さんもきっと体育の授業を楽しめます。そんな希望も込めて、私たちは小中学校でのシッティングバレーの普及活動に力を注いでいます。子どもたちにはいつも、「私たちは好きなものを見つけて楽しんでいるので、君たちも何でもいいから好きなものを見つけてね」というメッセージを伝えています。 2020年の先を見据えて、 着実にファンを 増やしていきたい。 海外では体格の大きな選手ばかり。それでも日本の選手たちも勝つことにこだわってトレーニングを積んでいます。2020年には、勝利する姿をぜひ皆さんにお見せしたいですね。現在当協会には男子18チーム、女子12チームが所属し、年に2回開催される全国大会は年々盛り上がりを増しています。一般の方も観戦できますので、ぜひ足を運んでみてください。 我々の最大の目標はシッティングバレーを含めた障がい者スポーツの普及です。そのために、選手の名前と顔を覚えてもらう、いわば“友だちづくり”を意識するようになりました。ルールを知らなくても、友だちが頑張っていれば応援に行きたいと思いますよね。それが興味を抱くきっかけになれば嬉しいです。2020年に向けて障がい者スポーツへの注目が高まっています。これを一時のブームで終わらせないように、腰を据えた普及活動を続けることが私たちの義務だと思っています。 知る人ぞ知る、障がい者スポーツの魅力。 パラリンピック出場時の記念品。これを見るたびに意欲を掻き立てているという。 シッティングバレーってこんな競技 床に座ったままでプレイする六人制のバレーボール。1956年、戦争によって身体に障がいを負った人々によりオランダで考案された。ルールは基本的にはバレーボールと同じで、ラリーポイント制で勝敗が決まる。バレーボールよりコートは狭く、ネットの高さが低く設定されている。プレイ中に臀部(肩からお尻)がすべて床から離れてしまうと反則になるのが特徴。 「日本シッティングバレーボール選手権大会」 12月10日〜11日 武蔵野市総合体育館 大会、体験会については 協会までお問い合わせください! WEB http://www.jsva.info/ 真野さんのおすすめ競技 シッティングバレーと共通点が多い!? 「ゴールボール」 目隠しをしながら、三人ひと組で鈴の入ったボールを転がしてゴールを目指す競技です。目隠しをすれば健常者も参加できますし、チームワークが大切なところ、屋内競技であることなど、シッティングバレーとの共通点が多くあるので注目しています。音だけを頼りにボールをつないでいくプレイは、ハラハラドキドキで見ごたえ十分。女子はアテネで銅メダル、ロンドンでは見事に金メダルと実績もあります。今回も大逆転でリオへの切符を勝ちとりました。この勢いでぜひ金メダルを取ってほしいですね。 P21-20(誌面構成に対応し、逆順で抽出。) 「障がいの有無にかかわらず、 一緒に汗を流せる環境が理想です。」 日本車いすフェンシング協会理事長 小松 真一こまつしんいちさん 1954年、京都府出身。高校、大学とフェンシングの選手であり、国体出場経験も持つ。1990年、車いすフェンシング教室のコーチを依頼され、以来選手強化と普及に携わってきた。1998年、NPO法人日本車いすフェンシング協会設立。京都で経営していた写真スタジオは協会事務所兼練習場として使われており、現在、本業は休業中だという。 一瞬の集中力を競う、 歴史あるスポーツ 「車いすフェンシング」。  車いすフェンシングの魅力は、なんといっても一瞬の集中力です。車いすを固定して行いますから、フットワークを使える健常者のフェンシングとは違って相手との距離が常に短く、一瞬で勝負が決まる試合も多いんです。選手たちは、審判の「アン・ガルド(構えて)」から「アレ!(始め!)」の号令がかかるまでのほんのわずかな間にものすごい駆け引きをしています。極限まで集中して、ぎりぎりのタイミングでどちらが早く身体と剣を動かせるか。そこがこの競技の魅力であり、注目して見てほしいポイントですね。  車いすフェンシングは、第一回のパラリンピックから種目として採用されているくらい、ヨーロッパでは人気のあるスポーツです。一方日本では、これまで世界大会で実績を残した選手はいますが、現在協会に登録している選手は40名ほど。競技歴も浅い選手ばかりなので、4年後に結果を残すために基礎から強化を進めているところです。これまでは私がコーチ兼任だったのですが、近々、香港からアテネオリンピックの金メダリストをコーチとして招聘する予定です。 課題は練習環境。 体験会を通して強化・普及を 進めていきたい。  今抱えている課題は練習環境ですね。京都の練習の拠点は元小学校の教室を利用しており、車いすを固定するピストを5台設置して常に練習することができるのですが、全国的にはまだまだ。ピストの設置と撤去だけで練習時間の半分を費やしてしまう状況です。フランスなどでは、街ごとにクラブがあって、必ずと言っていいほど、健常者用と並んで車いす用のピストが設置してあります。そして健常者の選手も車いすに座って車いすフェンシングの選手と一緒に練習したりする。そんな光景が当たり前なんです。日本では、車いすフェンシングに限らず、健常者と障がい者が一緒に汗を流す場はほとんどないですよね。車いすを使った競技をやりたいと思っても、施設が借りられなかったりする。そこは日本と世界の大きな差だと思います。  私たちは、車いすフェンシングの普及・強化を進めるために、日本各地で体験会を開いています。体験会には健常者も参加できます。車いすに座ってしまえば条件はみんな同じですからね。車いすフェンシングの魅力を体感しに、ぜひ一度遊びに来てください。 知る人ぞ知る、障がい者スポーツの魅力。 道具は健常者フェンシングと同様。車いすに座れば健常者でも楽しめるのが魅力。 車いすフェンシングってこんな競技 「ピスト」と呼ばれる装置に車いすを固定して行われる以外は、使われる器具やルールは健常者フェンシングとほぼ同じ。障がいの程度によってA とB のカテゴリーに分かれている。体力や体格にあまり依存しないため、経験が無くても始めやすいとされる。年齢の高い選手が多く、他の車いす競技経験者が引退後に始める場合も多い。 車いすフェンシング 体験会/大会について 大会、体験会については 協会までお問い合わせください! WEB http://jwfa.jimdo.com/ 小松さんのおすすめ競技 試合は健常者にも負けない迫力 「視覚障害者柔道」 視覚障がいのある選手がやるだけで、見た目はほぼ健常者の柔道と変わらないです。勝敗もわかりやすいですし、組手が基本なので、組手争いで終始してしまうような健常者の試合より、もしかしたら面白いかもしれない。練習も健常者と一緒にやれているんじゃないかな。障がい者も健常者も一緒にできるというのが素晴らしいと思います。 P25 私たちの知らないスポーツの世界 もっと障がい者スポーツを知ろう! 歴史 History 日本の障がい者スポーツの歴史 1964年のパラリンピック東京大会が契機となり、1965年「財団法人日本身体障害者スポーツ協会(現 公益財団法人日本障がい者スポーツ協会)」が設立。国内でも積極的な障がい者スポーツの振興・強化が始まりました。その後、都道府県や競技別の協会も相次いで設立され、全国に障がい者スポーツ施設が開館。障がいのある人でもスポーツを楽しめる環境の整備が進められています。 大会 Tournament 毎年開催! 障がい者スポーツ大会 1965年から「全国身体障害者スポーツ大会」が毎年実施され、2001年から「全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック)」と統合されて「全国障害者スポーツ大会」として、国民体育大会(国体)終了後に同じ都市で開催されています。2016年は岩手県で10月22日〜24日にかけて「希望郷いわて大会」が行われます。 施設 Sports Center 全国に広がる 障がい者スポーツ施設 2016年現在、日本障がい者スポーツ協会に登録されている障がい者スポーツ施設は全国で25ヵ所となっており、その他の障がい者専用・優先スポーツ施設と合わせると100ヵ所以上。すべての都道府県にひとつは障がい者スポーツ施設が所在しています。 普及 Spread 誰もがスポーツを 楽しむために 1 環境の整備 付帯設備(テニスコートやトレーニングルームなど)が少ない施設もまだ多く、多様なスポーツを楽しめる環境づくりが期待されます。指導員の増員も課題です。 2 競技間の連携 健常者の競技団体との連携を進めたり、似た種目の団体が連携する例もあり、競技の垣根を超えて手を携える動きも活発になりつつあります。 3 観戦しやすさ 障がいのある人がスポーツを観戦しやすくするための環境整備も必要とされています。施設のバリアフリー化はもちろん、周囲の人々のサポートも大切です。 P29(誌面構成に対応し、逆順で抽出。P26まで) Interview with leader スポーツ庁長官 鈴木 大地さん 手を差し伸べ合える、 共生社会の実現へ。 昨年、初代スポーツ庁長官に就任以降、精力的に各地を飛び回り、スポーツの現場の視点をスポーツ行政に生かす「戦う長官」鈴木大地氏。「全国民がスポーツを楽しめる国になるには、障がい者スポーツの普及・振興は欠かせない」と語る鈴木長官に、スポーツを通じた共生社会の実現についてお話しを聞きました。 誰もがスポーツを楽しめる 環境づくり。 ――スポーツ庁についてお聞かせください。  スポーツ庁は、2015 年10月に文部科学省の外局として発足した組織です。スポーツ基本法の趣旨を踏まえ、国際競技力の向上はもとより、スポーツを通じた健康増進、地域や経済の活性化、国際貢献など、スポーツ行政を総合的かつ一体的に推進することをミッションとしています。  スポーツ基本法には「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であることがうたわれています。ですから、スポーツ庁としては、トップアスリートの競技力向上だけではなく、国民の皆さんの健康や豊かな生活を、スポーツを通じてサポートしていくことがひとつの大きな役割であると考えています。 ――障がい者スポーツへの取り組みについてお聞かせください。  障がい者スポーツに関しては、2014年度から厚生労働省から文部科学省に管轄が移り、それをスポーツ庁が引き継いだという経緯があります。ですから、スポーツ庁としての取り組みはまだ始まったばかりですので、まずは障がい者スポーツ団体や障がい当事者の方々とコミュニケーションを重ねて、どうすればよりよいサポートができるのかを検討しているところです。  そんななかで課題として挙がっているのが、障がい者のスポーツへの参加率が少ないという点です。健常者が40%を超えているのに対して、障がい者はその半分にも満たない割合の人しか、普段スポーツを楽しむ生活を送れていません。ですから、まずは障がい者の皆さんが日常的にスポーツに触れられる機会を増やさないといけないと思っています。  そのためには、施設のバリアフリー化が重要な取り組みのひとつであると考えています。現在の運動施設は、障がい者の皆さんがスポーツをする前提でつくられていないところが多く、たくさんのバリアが存在します。なかには、辿り着くのさえ難しい施設もある。そういったインフラを見直すことで、障がいのあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを楽しめる環境づくりを推進していきたいと考えています。 2020年、 そしてそれ以降に向けて ―― 印象に残っている障がい者スポーツはありますか?  スポーツ庁長官を拝命してからこれまで見させていただいたのは、車いすバスケットボール、車いすテニス、車いすマラソン、ゴールボール、それから水泳。どの競技も、選手の皆さんが素晴らしいアスリートとしてレベルの高い競技を展開されており、それまであまり触れる機会のなかった私にとっては目からウロコが落ちるような経験でした。  それぞれの競技が印象深いですが、なかでも印象に残っているのは車いすテニスでしょうか。実際に競技を体験させていただいたのですが、まず、チェアの操作に慣れるまでが難しい。そのうえでボールに追いついて打ち返さないといけないわけです。身体も頭も二重三重に働かせないとプレーできませんよね。これはすごいな、と感じました。 ―― 2020 年には東京でパラリンピックが開催されます。  この大会において、障がい者スポーツ競技者の皆さんが心置きなく競技して、自分を表現できるように、私たちも全力でサポートしていきます。もちろん、参加する以上は競技力の向上も大きな目標となります。スポーツ庁では全国で競技別の強化拠点として既存施設の指定を更に進めることとしていますが、障がいのある方々でも使いやすいように、ナショナルトレーニングセンターの拡充も予定しています。これらの施策を含め、2020 年以降においても、障がい者スポーツの選手育成、さらに選手の発掘といった取り組みを進めていきたいと思っています。 ―― 障がい者スポーツ発展のための課題についてどうお考えでしょうか。  先ほど申し上げたように、障がい者の方がスポーツに触れる機会が少ないことが大きな課題です。ですが、ここ数年、障がい者スポーツもメディアで取り上げられる機会が劇的に増えており、世の中の意識もだいぶ変わってきたように感じています。2020 年に向けて、国民の皆さんがメディアを通じて障がい者スポーツの持つ魅力をもっと知ることで、観戦したり体験する機会が増えていくのではないでしょうか。  また、現在、競技によっては障がい者と健常者の団体がひとつに統括されているものもありますが、多くは別々の団体として活動しています。今後は、一緒に活動することでお互いよい発展に繋がるかもしれない、という可能性を探っていくこともひとつのアイディアかもしれませんね。 寄り道しながらでも、 とにかく、前へ。 ―― 長官のイメージする共生社会とはどんな社会なのでしょうか。  私が身近で感じていることを述べさせていただければ、子どもをベビーカーに乗せて電車に乗ったり街なかを移動したりしていて、さりげなく手を差し伸べてくれた人がいたときに、とても温かい気持ちになったんです。共生社会とは、みんながそんな気持ちになれる社会なのではないでしょうか。  私が、子どもが生まれて初めてベビーカー移動の大変さに気づいたのと同様に、障がいのある方への理解も、そういった気づきの場を増やしていくことで進められるのではないかと思います。その気づきの場がスポーツの現場だったら、とても素晴らしいことですよね。そういった意味でも、2020 年の大会は、共生社会の実現に向けたとてもよい機会だと捉えています。 ―― 長官の実現したい夢についてお聞かせください。  私は子どもの頃からスポーツに関わり、スポーツに成長させてもらったと思っています。スポーツは、人それぞれが年齢や競技レベルに合わせて成長できる素晴らしい存在です。スポーツを通して、勝った・負けた、嬉しい・悔しいといったいろいろな感情を味わうことで、人間的な成長や他者への尊敬、感謝の気持ちを得ることができる。そういったスポーツの魅力をもっと皆さんに知ってほしいと思います。  そのためにも、スポーツ庁長官としての職務を果たし、普及や強化も含めてスポーツのステージを上げていくことが私の目標です。日本のなかでスポーツの持つ価値が上がって文化として根づき、国民の皆さんがスポーツの素晴らしさを理解して、なんらかの形でスポーツに関わる、スポーツ立国になること。元アスリートとしても、そういう国になってくれたらとても嬉しいです。 ―― 今号の「紲」では「進む」をテーマとしています。長官にとって「進む」とは?  いいテーマですね。私は背泳ぎの選手でしたから、常に後ろに向かって進んでいましたけどね(笑)。なにごとも、常に前進できるわけではないと思います。寄り道したり、ときに後退したりしながらでも、「とにかく前に進むんだ」という意志が大切だと思います。そんな気持ちをみんなで共有できる社会を、スポーツを通して実現できることを願っています。 車いすテニスの国枝選手とがっちり握手。障がい者スポーツの現場へも精力的に足を運ぶ。 バレーボール世界最終予選兼アジア大陸予選大会女子日本大会にて。熱い試合に応援にも力が入る。 Profile すずき だいち 1967 年、千葉県生まれ。1988 年、ソウルオリンピック男子100 メートル背泳ぎで優勝。日本競泳界に16年ぶりの金メダルをもたらした。順天堂大学教授、日本水泳連盟会長などを歴任後、2015 年、初代スポーツ庁長官に就任。 P30 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2016 Autumn Vol.9 CONTENTS 29 Interview with leader 手を差し伸べ合える、 共生社会の実現へ。 スポーツ庁長官  鈴木大地さん 25 もっと障がい者スポーツを知ろう! 24 特集: 障がい者スポーツ 知る人ぞ知る、障がい者スポーツの魅力。 19 おも活 日野市立日野第七小学校 18 care-fit通信 14 Universal × Tourism 私たち、学生団体flat〜ふらっと〜です! 11 ボランティア活動TOPICS 10 ケアフィットファーム勝沼レポート 08 未来創人〜みらいつくりびと NPO法人 日本バリアフリー協会 代表理事 貝谷嘉洋さん 04 ロングインタビュー 私はずっと、前を向いて進んでいたい。 車いすテニスプレーヤー 田中愛美さん 次号予告 『紲 Kizzna』vol.10は 2016年11月25日(金)発行予定です。 読者アンケート 今号の「紲」はいかがでしたか? 今後の参考とさせていただきますので、簡単なアンケートにお答えください。アンケートは、こちらのQRコードをスマートフォン等で読み込みいただくか、URLよりアクセスしてお答えください。 https://qooker.jp/Q/auto/ja/kizzna09/09/ P31 すべての人に やさしい社会をめざして 日本ケアフィット共育機構が ご提供する3つの学び 防災介助士 災害にどのように備えるか、 災害時にどのように 行動するかを 理解、実践する資格。 サービス介助士 高齢の人や障がいのある人を お手伝いするときの 「おもてなしの心」と 「介助技術」を学ぶ資格。 認知症介助士 誰もがなり得る 認知症について、 正しい知識と 応対方法を学ぶ資格。 わたしたちは、心豊かな共生社会の創造に向けて、 共に育み、実践し、場をつくります。 ケアフィットファーム 耕作放棄地を再生、有効活用し、高齢な人や障がいのある人も共に働ける場をつくっています。 ボランティア活動 資格取得者を中心に広く呼びかけ、お手伝いする方、される方の境界線がない楽しいボランティアを目指しています。 セミナー・シンポジウム 資格取得とは別に企業様向けの研修セミナーを展開。研究発表の場としてシンポジウムを開催しています。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町 2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB:http://www.carefit.org/ H4 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2016 Autumn Vol.9 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい Interview with leader 手を差し伸べ合える、 共生社会の実現へ。 スポーツ庁長官 鈴木大地 知る人ぞ知る、 障がい者スポーツの魅力。 真野嘉久 シッティングバレー協会会長 小松真一 日本車いすフェンシング協会理事長