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当たり前ってなんだろう。
誰もが、誰かのために、共に生きる社会を
「当たり前」にするために私たちができること。
私たちの生きるこの社会。とてもたくさんの人が、それぞれの人生を過ごしています。
私たちには「ちがい」があります。
ごくわずかな人だけが特にちがっていることもあれば、ほとんどの人がさまざまにちがっていることもあります。
その一方で、現在の社会は多数派にとっての「当たり前」で成り立っています。
そのほうが便利だから、便利だと感じる人が多いから、社会のいろいろなことは多数派の視点によってつくられています。それが当たり前です。
でも、それって、ほんとうに当たり前なのでしょうか。当たり前でいいのでしょうか。
ある人にとっては自然で便利なことが、別の人にとっては不自然で不便なことかもしれません。
「当たり前ってなんだろう?」
私たち「チーム誰とも」は、そんな問いとともに活動しています。
ちがっている私たちどうしが、お互いに支えあいながら、共に生きていく。そんな共生社会を実現することは、ほんとうは少しも難しいことではないはず。「チーム誰とも」の活動を通して、共に生きる社会に近づいていきたいと考えています。
「チーム誰とも」の正式名称は、「誰もが誰かのために共に生きる委員会」。母体になっているのは、公益財団法人日本ケアフィット共育機構(以下、日本ケアフィット)です。
日本ケアフィットの主な事業は、「サービス介助士」の普及・資格認定です。
高齢者や障害のある人も安心して社会参加できる環境を整えるため「おもてなしの心」と「安全な介助技術」を持つのがサービス介助士です。
日本ケアフィットが進めるサービス介助士の普及活動は、さまざまな企業の内側から共生社会を目指していく活動といえます。
「当たり前ってなんだろう」をキーワードに、一人ひとりの気付きとなるような機会をつくりながら、日本全体へと「チーム誰とも」ムーブメントを広げていきたいと考えています。
私たちには、目指しているものがあります。それは、あらゆる「ちがい」を超えて、誰もが他の人を支えながら、相互に作用しあう暮らしやすい社会(共生社会)を創っていくことです。
この「共生社会」という言葉は、あまり馴染みがなくて分かりにくいかもしれません。
少し具体的な例で説明したいと思います。
多くの人たちは、2本の足で歩くことができます。多くの人たちは、目が見えて文字が読めます。
そのような多数派の暮らしを前提としたうえで、障害者などの少数派も不便なく暮らせるように便宜を図る。それが、今の社会です。
「段差があると車いすの人には不便だから、スロープをつけよう」
これは、車いすユーザーに配慮した優しい考え方のように見えます。スロープが設置されること自体は、たしかに車いすユーザーにとって便利になることです。
しかし、私たちはその先に進みたい。“多数派が少数派に配慮する”というような発想を超えていきたいのです。
多数派にとっての
当たり前が前提の社会
車いす利用者などの少数派の人が多数派が前提の社会で不便なく暮らせるよう「段差」にはスロープをつける
目指す共生社会
車いす利用の有無など様々な「ちがい」があっても, 「ちがい」による不便を感じない
「多数派にとっての当たり前」によって社会は支配されています。
無意識に「これが当たり前」と思い込んでいることに気付くこと。
立ち止まって、周りを見直して、「当たり前ってなんだろう」と問いかけ続けること。
少数派も多数派も、「普通」も「特別」もない、さまざまな「ちがい」をもつ誰もが暮らせる社会を創っていくこと。
それが、私たちの考える共生社会です。
多数派にとっての当たり前を前提とした社会の仕組みが、少数派に「障害」を生み出しているという考え方を「障害の社会モデル」別のウィンドウで開くと言います。
社会の仕組みによって生まれてしまう「障害」にちゃんと注目して、無意識の「当たり前」に疑問を促す工夫を仕掛けていくこと。それが、「チーム誰とも」というムーブメントです。
「チーム誰とも」ムーブメントとして計画している活動のひとつが、「バリアフルレストラン」です。
2020年、「チーム誰とも」の活動は「バリアフルレストラン」というイベントからスタートしました。
これは「車いすユーザーであることが当たり前」「二足歩行する人が障害者」な社会を前提としたレストランです。今の社会における多数派と少数派をひっくり返した仮想世界を通して、障害は社会の仕組みから作り出されている、ということの体験を目的としています。
もしも、車いすユーザーが多数派の社会だったら。
たとえば、建物の天井は170cmくらいの高さが「当たり前」かもしれません。そのくらい低い方が、建設費などの面で経済的に合理的だからです。
レストランのテーブルには、いすは置かれていないでしょう。看板や案内表示なども車いすユーザーの目線の高さに設置され、二足歩行者にとっては読みにくいかもしれません。
そもそも、“車いすユーザー”という言葉自体が使われていないでしょう。
車いすユーザーが多数派の社会では、そこでは少数派の「二足歩行者」はさまざまな不便を受け入れることになります。
バリアフリーではなく、バリアフルなレストラン。このレストランを訪れることをきっかけに、バリア=障害とは何かを考えてもらえたらと思います。
たとえば「二足歩行ができないこと」を障害と呼ぶのではなく、そうした身体能力での生活が難しい社会であるということに障害がある。そんな考え方を体感できるプログラムです。
バリアフルレストランは2月13日〜15日にはトライアル版として、東京大学本郷キャンパスにて開催しました。イベントの様子は、こちらの記事外部リンクで詳しく紹介しています。
今年の秋には、一般向けに本格開催する予定です。
「チーム誰とも」では、バリアフルレストランのような体験型イベントのほかにも、共生社会を目指した考え方を身につけるワークショップを開催していきます。
小学生を対象にした「おも活」別のウィンドウで開くという出張授業や、企業などで働く方に向けた「ケアフィット発想ワークショップ」を実施します。
昨年までの「おも活」では、相手の立場になり、気付き、考え、行動するための体験授業を届けてきました。今回「チーム誰とも」の一環として、「障害の社会モデル」の考え方にさらに踏み込んだプログラムへとリニューアルしていきます。
「ケアフィット発想ワークショップ」は、多数派のあり方が当たり前だと思っている無意識を変えるための発想(ケアフィット発想)を身につけ、企業活動にも活かしていただけるようなプログラムです。
また、サービス介助士資格のカリキュラムも、「障害の社会モデル」をより意識した内容へと改定する予定です。
こうした「チーム誰とも」ムーブメントを通して、共生社会の実現を目指すうねりを創り出していきます。
私たちには「ちがい」があります。その「ちがい」には、上も下もありません。
しかし、その「ちがい」によって、格差が生まれてしまい、差別が起きてしまう。
私たちは、あらゆる「ちがい」を超えた共生社会を創りたい。
誰もが、誰かのために生きる社会。誰もが誰かを支えながら、共に生きる社会。
そんな社会を「チーム誰とも」は目指しています。
あなたにとって、この社会は当たり前ですか?
あなたの身近な人は、この社会で当たり前に暮らせていますか?
この記事を読んでくださったあなたも、私たち「チーム誰とも」の仲間として、共に生きる社会を創っていけたら嬉しいです。
誰もが誰かのために共に生きる委員会(通称“チーム誰とも”)とは
“誰もが誰かのために共に生きる社会”を創るための運動です。
私たちは、あらゆる“ちがい”を超えて、誰もが他の人を支え、その人がさらに誰かを支える、相互に作用しあう暮らしやすい社会を創りたいと考えています。
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