0162018 Summer

ブラインドサッカー、15歳の衝撃。【後編】

菊島選手

ブラインドサッカー(視覚障がい者サッカー)が盛り上がりを見せています。その主役は、今年高校生になったばかりのひとりの少女。埼玉T.Wings所属の菊島宙(そら)選手は、女子の世界大会で最多得点を記録し、日本選手権では男子選手に混ざって大活躍。いまや、パラスポーツ界で最も注目されている選手のひとりです。2018年2月24日に開催された「さいたま市ノーマライゼーションカップ2018」でも、素晴らしい活躍を見せてくれました。
本稿の前編では菊島選手のプレーで受けた衝撃をお伝えしました。後編では、本誌には書ききれなかった、インタビューの雑感をお届けします。

笑顔に拍子抜け?プレー中とのギャップにびっくり

「あれ?こんなふうに笑う子だったんだ…」。菊島宙選手へのインタビュー当日。ノーマライゼーションカップでは大活躍でしたね、という言葉にはにかみながら「ありがとうございます」と答えてくれた菊島選手の表情は、意外なほど明るく、素直な笑顔でした。 相手と衝突することも厭わずに激しくプレーし、「ボールこっち!」と味方に要求し、シュートが外れれば「くっそー!」と悔しがる。数週間前のノーマライゼーションカップのピッチで見た勝ち気なプレースタイルから、もしかしたら気性の荒い子なのかもしれないな…そうでなくても難しい年頃だしな…どうやったら言葉を引き出せるだろうか…と思い悩んでいたことがバカバカしく感じられるくらい、普通の女の子。インタビューは和気あいあいと進んだのでした。

菊島選手

「自分がやらなきゃ!」がスイッチに

まるで「見えているように」プレーする菊島選手。アイマスクを着けてのプレーに慣れるまで1年半かかったという言葉は意外でしたが、自由にプレーできるようになったエピソードも菊島選手らしいものでした。「カトケンが出られなくなっちゃったから、私が代わりにやらなきゃと思ったんです」。カトケンというのはブラインドサッカー日本代表の加藤健人選手。菊島選手と同じ埼玉T.Wingsでプレーしています。ある試合で加藤選手が怪我をして、頼れるエースが不在になったときに、それまでプレー中に感じていた恐怖や迷いが吹っ切れたのだそうです。
本人いわく、「年上にはつい甘えてしまう」でも「後輩からは慕われる」性格。自分が引っ張る立場になればなるほど実力を発揮できるのが菊島選手の強みのようです。張り切りすぎて怪我をしないようくれぐれも注意して、これからもたくさんのワクワクするプレーを見せてほしいですね。

菊島選手

15歳に教えられた、大事なこと

菊島選手のインタビューで印象に残っているのが、この春から進学する八王子盲学校での生活に触れたときの「みんなのなかでは私は見える方なので、どうやって声をかけてあげたらいいか、悩んでいるんです」という言葉。自分自身の不安よりも、自分が周りをどうサポートしてあげられるかを心配できる15歳に感銘を受けました。 また、小学生の頃は一般のクラブチームでサッカーをしていた菊島選手。視覚に障害があるなかでプレーするのは大変だったのでは?という問いかけに「見えにくいのは生まれつきだから、そのせいでうまくいかないと思ったことはないです」ときっぱり答えた言葉には、ハッとさせられました。自分の感覚は自分だけのものであり、周囲と比べるものではないはず。知らず知らずのうちに自分の感覚を他人に当てはめて考えていた自分に、改めて気づかされたのでした。

お父様と菊島選手

インタビューの合間に、お父さんの充さんと笑顔で1枚。

【前編】はこちら

菊島選手のインタビューを収録したフリーペーパー『紲 Kizzna』電子ブック版は下記からご覧になれます。
フリーペーパー『紲 Kizzna』

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