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【障害者は賃貸物件が借りれない?】
〜障害のある方に賃貸事情を聞いてみた〜

障害のある方に賃貸事情を聞いてみた

新年度がスタートしてもう3か月、この記事をご覧の皆さまの中には、今まで生活したことのない土地や新居での新生活をスタートさせたという人もいるのではないでしょうか。
進学や転勤などを機に、知らない土地で暮らすことになり新天地での生活に不安を覚える方は多くいらっしゃいます。
そこで生活をしていくうえでまずとりかかることが部屋探しです。私たちは、駅から近い物件や、間取りが広い、徒歩圏内にスーパーがあるなど、自分の中でここだけは譲れないという優先順位を決め、さまざまなツールで情報を収集し、物件を選びます。
そして実際に不動産屋の担当の方と会い内覧し契約、生活をスタートさせるわけですが、では障害のある方が何を優先して、どのように物件選びをしているのかご存知ですか?
障害者差別解消法が施行されたことにより、不動産仲介業者などが障害を理由に入居や契約の拒否をすることが禁止されましたが、まだまだ周知が行き届いているわけではありません。
バリアフリーな物件も通常の物件より数が少なく、条件から選択できない場合もあります。

今回は障害のある方に物件選びで何を大切にしているのか?また不動産屋さんの応対について嬉しかったことや困ったことなどをアンケートで答えていただきました。物件を選ぶ際の着目点や、お客様への応対という点でも、参考になるコメントをいただきました。

物件選びにについて何を参考にしているか(見ているサイト、知人の紹介など)教えてください。

  • 手動車いすで介助者無しの為、内見や好きな間取り以前に、契約をしてくださる大家さんと出会うことが最優先だった。障害がある知人、会社の方に相談し参考にすることを優先した。

(介助者なし、手動車いすユーザー)

  • 特に賃貸情報サイトが多いですがこれと言ったサイトはない。ポストや電車広告に掲出されている物件情報を参考にする。

(男性 聴覚に障害のある方)

  • 不動産会社に勤務する、知人からの紹介

(新社会人 視覚に障害のある方)

内覧をする際、ここは必ず見ておくなど注視していることを教えてください。

  • 玄関までの道のりはバリアがないか(段差・傾斜・砂利・エントランス入り口の開きドア)
  • 玄関の踊り場の広さと形(手動車いすが玄関に入ってもドアが閉められる広さが必要)
  • ブレーカーの位置と高さ(ブレーカーが上がってしまった場合、復旧作業が困難の為)

(介助者なし、手動車いすユーザー)

  • キッチン周りの使い勝手
  • リビングの広さ
  • 風呂追い焚き機能付いているか

(男性 聴覚に障害のある方)

  • 部屋の階数(アパートやマンションの場合、何階の物件が空き家なのか)
  • トイレ・お風呂が独立しているか
  • 収納の多さ(点字本等を収納する場所が必要なため)

(新社会人 視覚に障害のある方)

住宅周辺の環境について大切にしていることを3つ教えてください。

  • 駅前(通勤がしやすい、バリアフリー化が充実している、商業施設が多い)
  • 坂道や傾斜が少ない
  • 役所が近隣にある

(介助者なし、手動車いすユーザー)

  • 公園や学校等公共施設が整っているか
  • 買い物による利便性
  • 犯罪等ないか安全な街であるか

(男性 聴覚に障害のある方)

  • 勤務地から近隣かどうか
  • 物件の近隣に、スーパーや病院などの生活するために必要な施設がそろっているかどうか
  • 物件が、人通りのある場所に立地しているかどうか

(新社会人 視覚に障害のある方)

不動産屋さんの応対について、嬉しかったこと、困ったことを教えてください。

【嬉しかったこと】

  • 車椅子使用者ということもあり、条件が厳しい物件にも関わらず、その条件に妥協を求めず、丁寧に応対をしてくれた。また、賃貸契約後も相談に乗って下さることがとても嬉しかった。

(介助者なし、手動車いすユーザー)

  • ※知人から紹介してもらう事が多かったために直接不動産屋さんに相談したことはありません。

(男性 聴覚に障害のある方)

  • 障害にかかわらず、こちらの条件を元に物件を決めさせてくれた。

(新社会人 視覚に障害のある方)

【困ったこと】

  • マンションには大家さんがいるが、ビルの管理は不動産屋で行うという物件に住んでいたころ、ある暴風雨の日ベランダの排水口に枯れ葉やゴミが溜り、水が上がってきてしまったことがあった。排水口とベランダの間には柵があったが、もしかすると健常者であれば、何か方法があったかもしれない。だが、自分には難しいので、管理担当である不動産屋に電話をすると、「そういった内容に関しては大家さんの判断になる」と言われ、大家さんに電話をすると「業者を呼んだが何時ごろになるかわからない」と言われた。3時間後、業者が到着し復旧したが、関係者全員が予想しない浸水が起きうるところだった。不動産屋と大家さんの役割が明確でない場合でも、障害者にとっては困難となりうるので、出来る限り役割を明確にしてほしい。だが、それをリスクととらえ障害者に部屋を貸さない方に意識が向いてしまうかもしれない。という不安が、最大の困りごと。

(介助者なし、手動車いすユーザー)

  • オーナーさんに連絡を取る際、障害があると伝えただけで内覧を断られてしまった。

(新社会人 視覚に障害のある方)

今後こういう物件があればいいな、こんな応対をしてもらいたいななど、ご要望があれば教えてください。

  • 管理人による多様なサービス
    管理人がいる物件をプラスにとらえ、電球の交換、1時間程度の家事等、長時間ヘルパーを利用することはできないが、短時間介助が必要な居住者へサービスを提供する物件。
  • 障害者も住めるシェアハウス
    健常者、障害者共に住めるシェアハウスがあるとよい。とは言え、介助が必要な障害者はきちんと介助者を別に確保する。但し、不測の事態の際には居住者に介助を求めることも可能。その際の月/介助時間数の上限は設定する。居住者の当月の介助時間数が上限にいたった場合、当月の家賃の割引をする。
  • 全室バリアフリーマンション
    現代社会において、全室バリアフリーマンションの建設がいち早くスタンダードになることを期待します。

(介助者なし、手動車いすユーザー)

  • ろう者でも一般の人とあまり変わりなく住宅選びをしていると思いますが、ドアフォンが鳴ったらランプが光る機器を設置する等あらかじめ、ろう者向けに相談出来る知識を持った不動産屋さんがあると嬉しいです。

(男性 聴覚に障害のある方)

  • 現在は、不動産会社からオーナーさんに障害の情報等が伝えられるが、オーナーさんの障害に対する不安を取り除くためにも、内覧前に、一度オーナーさんと直接話せるような時間を作ってほしい。
  • 補助犬については、一緒に住むことができる環境をもっと増やして欲しい。

(新社会人 視覚に障害のある方)

部屋

今回アンケートに回答いただいた方以外にも、

  • 聴覚に障害がある場合、家賃を滞納しても電話で督促ができないため、引き受けてくれる保証会社がいない
  • 車いす使用者の場合はバリアフリー化されている必要があるなど、建物のハード面での条件を考え物件を選ばなければならない。
  • 家主や不動産会社が障害者に対し、偏見を初めから持っている。

などの意見があがっていました。

物件選びでも私たちと同じようなところを注視されていたり、考えていなかったところが実はすごく大切だったり、人それぞれで優先順位は違うということが分かっていただけたかと思います。また、平成28年4月から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行されました。

この法律では、住宅の物件広告で障害があることを理由に入居を断るような内容を記載したり、入居後に障害を理由に退去を強要しないようにすること、努力義務として障害者がより生活しやすいようサポートすることが記載されています。
こういった取り組みを通じて、今後、障害者にとってより良い物件選びや住宅環境が整えられていくこと。そしてハード面だけではく大切なのはやはり人とのコミュニケーションです。
不動産屋さんの中には親身になってくれる人もいれば、そうでない人もいるかもしれません。障害の有無に関わらず丁寧に答えてくれる姿勢が大切なのではないでしょうか。これはビジネスシーン、特にサービス業のおもてなしにおいても欠かすことができません。
私たちも今一度、人との『接し方』を見直す必要があるかもしれませんね。

※アンケートにご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。


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