0172018 Autumn

ANAの掲げる、ユニバーサル&グローバルサービス

ANA 全日本空輸株式会社の皆さん

日本ケアフィット共育機構が発行するフリーペーパー『紲』。本誌vol.17では、全日本空輸株式会社(以下ANA)の小村さん、榎本さん、石井さんに、同社が推進するユニバーサルサービスとグローバルサービスについてお話を伺いました。「リベル・ケアフィット」では、本誌に収まらなかった同社の取り組みについて、ご紹介します。(取材日:2018年6月18日)

ANA 全日本空輸株式会社
空港センター 空港サポート室 旅客サービス部 旅客サービスチーム

マネージャー
小村 弘子(こむら ひろこ)さん

榎本 彩花(えのもと あやか)さん

石井 麻由(いしい まゆ)さん


現場視点の実践的なスタッフ教育

ーー“紲”本誌では、フロントライン(接客業務)のスタッフ研修において、実技面を強化していると伺いました。

小村さん普段の仕事で直接お客さまと接するフロントラインのスタッフは、必ず年に1回、リカレント(学び直し)訓練を受けることになっています。そのカリキュラムにおいては、単純なeラーニングだけではなくて、しっかり身体で覚えたうえでお客さまに応対できるようにすることを重視しています。

榎本さん訓練はロールプレイを重視しています。実際のお客さま応対を想定して、例えば、視覚に障がいのあるお客さまへの応対の訓練では、「何時の方向に●●があります」といった具合に、より基本的なご案内の方法まで復習・反復して、実際にご案内するシーンで慌ててしまったり忘れてしまったりすることのないような訓練を行います。

石井さん難しいのは、障がいのあるお客さまの応対をする頻度がスタッフによって異なるという点です。ですから、たとえ年に一度の応対であってもお客さまに不安を抱かせない応対ができるように、そして技術面はもちろん、ユニバーサルなマインドを持って接することができるように、このリカレント訓練を活用していければと考えています。

榎本さんもうひとつ私たちが重要だと考えているのが、「介助する側もされる側もお互いに気持ちがいい」お手伝いができるように、という方針です。ユニバーサル社会においては、どちらかに大きな負担がかかる介助の形は本意ではありませんからね。ハードの導入の基準も「介助する人も楽に」という視点を重視する方向に変化していますので、ソフト面も、お互いが気持ちよく、という基準は、今後目指していくべき部分だと思います。

ANAの旅客機

ーー日本ケアフィット共育機構の「サービス介助士」講習も活用していただいています。

榎本さんリカレント訓練は、各空港に当社の社員を派遣する形で行いますので、学びの“濃さ”が薄まってしまう点が課題だと考えています。サービス介助士の講習では、直接ケアフィット共育機構のインストラクターからサービスマインドや介助技術を学ぶことができるので、スタッフがユニバーサルの精神に直に触れることができる、とてもよい機会になっています。

石井さんサービス介助士の講習は応募制なので、スタッフも時間を捻出して参加する必要があるのですが、講習は常に満員です。私たちが考える以上に、フロントスタッフが熱心に学ぼうとしてくれているのが心強いですね。

小村さん当社の掲げる「ユニバーサルなサービスで世界トップレベルに」という目標に向けて、全社を挙げて取り組もう、という機運の高まりも、参加者のモチベーションにつながっていると思います。リカレント訓練とサービス介助士講習で吸収したことを、積極的に現場で生かしてもらうことを期待しています。

ANAオリジナルのサービス介助士バッジ

ANAオリジナルの
サービス介助士バッジ

「世界中どこでも同じサービス」を目指す海外研修

ーーANAでは、海外勤務者に向けた研修にも力を入れているとお聞きしました。

小村さんはい。当社の掲げる「ユニバーサルなサービス」では、文化や言語、国籍の違いに関わらず、ストレスなくご利用いただける施設やサービスを提供することをポリシーとしていますので、海外の拠点においても質の高いサービスを提供するための取り組みを進めています。

石井さん“紲”本誌でもお話ししていますが、当社独自のユニバーサル訓練は英語でも同じ内容のプログラムを実施していますし、海外勤務者向けのサービス介助士講習も始めたところです。難しいのは、文化や習慣が異なる場合ですね。例えば「車いす利用者の案内は専門の業者が行わなければならない」という空港もあるんです。

榎本さんですから、最初は「車いすの使い方は、私たちは覚える必要はありません」というスタンスで、もしかしたらあまり熱心には参加してくれないのかな、と思っていたのですが、いざ講習を始めてみると、彼らにとっても興味深い内容だったようで、例えば、車いすの名称について「車いすユーザーにとって車いすは座って休むための道具ではなく、移動のための手段なので、“アームレスト”ではなく“アームサポート”と呼びます」と、語源について教えるのですが、「ではなぜ背面は“バックレスト”なのですか?」とすぐに質問が飛んでくるんです。

石井さん日本だとその場で質問してくる人はあまりいないのですが、海外だとわからない場合はすぐに質問してくる。「教わる」というより「参加する」という意識で臨んでくれることが、とても新鮮で楽しく、教える側の私たちにとっても、得られるものがたくさんありました。

ーー皆さんのお話を伺って、これからますます誰もが安心して空港を利用できるようになることが確信できました。ありがとうございました

フリーペーパー『紲 Kizzna』Vol.17本誌は下記から電子ブック版をお読みいただけます。
フリーペーパー『紲 Kizzna』


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